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咎人供の悪足掻き(仮題)  作者: 薄氷
序章 生きることは…
9/16

別サイドA 世間に凍えた瞳 下

この物語(別サイドA)は針が樹界に入る5年前の話です。


 「危なかった・・・」


 彼女は44口径のリボルバーを全弾打ち尽くした後、男が倒れているのを確認すると、警察に連絡しようとケータイを取り出した。


(仮にクロスボウじゃなく拳銃を構えていたら、さっきの私の行動は最悪殺されていたかもしれない。でも慌ててつい打ち尽くしてしまった。次からは1発でも弾を残さないと・・・って次があってたまるか)


そんなたらればのことを考えながら警察に連絡をした


「もしもし警察ですか----」



…尻が変に熱い 生理? でも 右に 異物? イタイ??



「アッ グッッ!!」


 

彼女は右臀部にクロスボウの矢を受けていた。矢は右臀部の反対側まで達していた。かつてない激痛に店員の顔は涙と鼻水でグチャグチャになっていたがそれよりも…


「な、なんで? 生きてるの??弾は胸に当たっているのに!!??」


 男は生きていた。銃弾の衝撃で顔は青ざめ、苦しそうに胸を押さえているが、しっかりと立っていた。


 男はパニック寸前の彼女の疑問に取り合わず、胴体に向けて突進した。彼女がそれに対する対処法を知っていても彼女は右臀部に矢を受けている。流石に対処できないー!

 

彼女はリボルバーを彼に向けて発砲…したかった…もう全弾尽きている。


男はタックルから馬乗り(マウントポジション)をした。純粋な力勝負になった今、彼女に抗う手段は無くなった。


「…」「……ひっ」


 男は撃たれた方の懐からアーミーナイフを取り出した…が何故か折れている…


 「…弾が懐のナイフに当たって運がよかった。 まあ流石に気絶は少ししたが…おねいさんは弾が当たった=死だと思ったのかい?それとも慌てて拘束するのを忘れたのかい…?」


男はどこか他人事のように聞いてきた。 そういえば弾が胸に当たったのは確認したが、出血は確認してない。男の服が赤黒いのも要因の1つだが、物陰ごしに男を狙ったことが44口径の弾の威力を下げたのだ。


仮に直接男を狙って、たまたま同じ男のナイフに当たったら…ナイフ越しに男の命を刈り取れたはずだ…まあ視認して発砲したら流石の男も撃ち返したり、身を隠すなりしてたと思うが…。


彼女は絶望に満ちた目で男を見た


「こ、殺さないで…」


男は不思議そうな顔で


「殺そうとしたのに?」


と言った。女性は


「死にたくない…!」


と多分今際にいるもの全員が思う本音を言った。 男を殺そうとしたのも死にたくないからなのだろう…


しかし男も


「…悪いけど…僕も死にたくないんだ。」


 死にたくなかった。存在を否定されたくなかった。


 「…だから」


 男は 表情を消し…どこか清んだ目で、諦めにも近い感情で


 「死んでくれ」


……男は彼女の小さな首に手をかけた……







そこから先は覚えてない。


気が付いたら樹界にいた。


ただ妙に気分が良かった。まるで自由に飛び跳ねる子供に戻った気分だ。


手持ちは…クロスボウと折れたナイフ。


さて、なにして遊ぶ……? 

補足 店員の彼女はギリギリ生きています。首を絞めてわずか10秒後に不審に思った警官が助けてくれたからです。 男は急いで逃走に入って警官隊と大立ち回りをしたのです。そのショックで記憶が飛んでいるのです。

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