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Prologue
初のファンタジーなので、コメントとか頂けたら精進します。よろしくお願いします。
この世は汚い
この世は美しい
この世ははかない
この世はずる賢い
この世は…
己の手さえも拝むことの出来ない、そんな闇のなか。
ゴぽリ…
「ぁあ、あぁ、ぁぁ、ああ…」
ヒト科の人間が悲鳴とも言える、嬌声をあげた。
「あぁあぁあぁ…」
断続にあげられる嬌声。
「…ぁ……ぃ…ゃぁ…あぁ……」
途切れては、再度あげられる嬌声には、恐怖の念が織り込まれ始めた。
「…わたしのいとしいひと…」
闇は闇でしかなく、それなのに、全てを包みこんでくれるような、そんな優しさがあった。
全てを暴き、さらけ出してしまう光よりも、闇はただただ無口で優しい。
その生物は、そんな闇の優しさから産まれ落ちた。