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私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末  作者: コツメカワウソ


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「エリーさんには北方は身分差があまり無いって話、以前しましたよね。祖母は王都から来た人なので、それを良く思っていませんでした。環境に馴染もうとしていましたが、父が英雄と呼ばれるようになって変わってしまったと。平民だった母と結婚する事が気に入らなかったんですよ」


 まぁよくある話です、と寂しそうにソフィアは笑う。


「祖母から『本当にバードナーの血を引いているか分からない子は認められない、すぐにライオネルと別れろ』と言われ、その際に母の師匠リリス様の事も悪し様に言われたそうです。リリス様は高い魔力を持っていますが元々平民でしたから。でも母はそれがどうしても許せなかった。母から話を聞いた父は伯爵家と縁を切ると言いましたが、母は頑固な人なので結婚はしないと譲りませんでした。話し合いの末、事実婚のような形で家族として暮らす道を選びました。父は一応貴族籍は残しましたが、私と母は平民なんです」


「…そう」


 それ以上エリーは言葉を発しなかった。


「その後弟がニ人産まれました。ニ人とも膨大な魔力があったし、師匠夫婦に子供がいなかったのでバードナー家の養子になる事も考えて、弟達は父の庶子となっています」


「シモンからは聞いていたが、大変だったんだな」


 フェイの声は優しい。


「とても幸せだったんですよ。家族は皆愛してくれたし、良い人達にも出会えました。リリス様は孫のように可愛がってくれて、公爵家の末娘マーガレットと一緒に教育も受けさせてもらえました。私がバードナー家の家門魔法が使える事が分かった日、父は『母上を見返しに行こう!』とその足でバードナー家に乗り込んで、『ソフィアは俺の子だ!ずっと分かっていたが、母上を黙らせる為に証拠を見せに来た!』って私を抱きしめてくれました。本当に愛されていたんです。ただ…」


 そこでソフィアは言葉を詰まらせた。

 心の中にいつでも棘のように刺さっている、そんな思い。


「…私の存在が両親の未来を変えてしまったのではないかと、思うこともあります。私がいなければこんなに拗れる事も無かったのかな、と」


 駄目だ、泣いてしまう。

 ずっと誰にも言えなかった。

 英雄と言われた父、そんな父が家を捨ててまで側にいる事を選んだ母、膨大な魔力を持ち将来が期待されている弟達。

 その中で、一人平凡な自分。


「北方騎士団の人達は優しかった。誓約魔法をかけられているであろう人達は特に。でもそれは、彼らが私の微妙な立ち位置を知っていたからに他ならない。それに気づいた時、北方の地を離れたいと思うようになってしまったんです」


 ソフィアは心を決めるように紅茶をグイと飲み干した。


「だがら、私が対価として取られなかったのは、やるべき事があるからなんじゃないかって、そう思うようにしたんです。私はアルフォンスがどれほど魔導騎士になりたかったのか知っています。彼のことを愛しています。だから私も彼のために魔力回路の治癒をしたい。それが西方の、ひいては国の安定の為になるなら尚のこと。それが、私が生かされた理由でありたいと思うんです」




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