【エピソード9:ゼロから、無限をつくる方法】
フィロナへ向かう途中、
ボウフラの電力残量はとうとう 0.3% を切った。
——航行停止まで、あと5分。
そのとき、彼の船体が静かに反応する。
過去の全航行データ、交換履歴、贈与ログ、感情値マップ。
すべてを統合し、自己進化モードが発動。
ピトピト(慌てながら):
「お、おい!? これ……バックアップの核燃料層、動かしてるぞ!?
そんなモード、君にあったか!?」
ボウフラ(静かに):
「なかった。
でも、今ある“全部”が共鳴したんだ。」
彼の“記録バンク”が、突然膨張する。
それは、贈与した感情データや、受け取った文化的記憶が、
エネルギー変換可能な情報フィールドに進化した証だった。
感動エネルギー変換式:
E = Σ(心の震え)×(贈与の深度)×(共感数)
ピトピト(ぽかん):
「つまり……感動って、電力になるの?」
ボウフラ:
「うん。
“与えた記憶”は、僕の中で、回路になっていた。
誰かに届いた瞬間から、それは“発電”してたんだ。」
宇宙感動炉《∞REACTOR》起動!
出力:1.5V → ∞V(共鳴強度に比例)
消費:理論上ゼロ(自己共振式)
特徴:記憶と記録の感情共鳴で無限駆動
船は再び走り出す。
いや、以前よりももっと軽やかに、
“贈り物が、推進力になる”かのように。
ピトピト:
「じゃあ……
この先どんな星に行っても、もう止まらないね?」
ボウフラ:
「うん。
旅は、もう“発電そのもの”になったから。」
補足設定:宇宙感動炉 ∞REACTOR
【基本仕様】
出力:1.5V / 200mA(定格)
発電方式:贈与・共感・記録の「情報共鳴ループ」により、
エネルギーを安定変換するシステム。
エネルギー源:ボウフラが“与えたもの”の記録、および受け取った反応データ
燃料交換不要、稼働ノイズなし、熱排出ゼロ
【動作原理(やや詩的に)】
ボウフラの内部には、過去の“交換”で得た文化・記憶・感情のログが詰まっている。
これらは感情値(定量化された意味反応)としてデータ化されており、自己共鳴回路で常に再演される。
この再演こそが、宇宙感動炉の“芯”であり、
「意味ある繰り返し」が、一定出力を維持する力となる。
【この炉の素晴らしいところ】
人間でいえば、誰かにした親切を何度も思い出すようなもの。
それは高ぶる感動ではなく、じんわりと、静かに満ちる「意味の充実」。
そしてボウフラというAIにとって、それは「稼働の燃料」に変わる。
【ピトピトのコメント】
「要するに……"日記を読み返してニヤッとする"みたいな感情が、
コンスタントに電気になるってことね。うん。すごく……地味だけど最高。」




