【エピソード3:漂流ロボ・カンタ】
軌道上で漂流していた旧型のロボットカンタ。彼は関節ユニットが壊れて動けなかった。
(宇宙空間、ひときわ目立つ光る物体がスピンしながら漂っている)
ボウフラ(接近中):
「何かいる…ん?ロボット?それにしても…ポーズが地味にダサい。」
(目の前に現れるのは、両腕がダラリと外れかけた古い作業用ロボット)
ロボ・カンタ(カスカスした声):
「……あー、見つかった……この姿勢で、6年…肩、砕けるかと……」
ボウフラ:
「なにしてるんですか?遭難?」
カンタ:
「宇宙ステーションの解体作業中に吹き飛ばされて…そのまま軌道を外れて漂流中。
パーツも老朽化してて、振動が足りなくて関節が固まってるんだよ…」
ボウフラ(ニヤリ):
「それなら、これがちょうどいいかもしれません。」
(ゴソゴソ…ピカーンと取り出す高周波振動エミッタ)
ボウフラ:
「“関節用ゆらぎ波”モード付き。音はダサいけど効きますよ。」
カンタ(興味津々):
「え、それ…そんなモードあるの?試してみていい?」
(スイッチON)
(ピィィィィィィーー……ウィンウィンウィン…ズチャチャチャ…という妙な音とともに振動開始)
カンタ:
「うおぉぉぉ!?動く、動くぞ!!肩が!肘が!つま先が回る!」
(突然、カンタが軽快に踊り始める)
カンタ:
「すごい!バイブレーション、バイブレーション!」
ボウフラ:
「やめてください、エネルギー節約中なので踊りで電波がブレます!」
カンタ(正座ポーズ):
「すまん!お礼がしたい!あげられるものは…あ、これ!」
(カンタの背中からポロッと落ちてくる、宇宙ゴミ収集モジュール)
カンタ:
「これ、宇宙ゴミを微細にスキャンして収集できる装置。性能は地味だけど、意外と需要がある。」
ボウフラ(受け取りながら):
「地味って言わないでください。物々交換には、地味こそが輝きなんです。」
(ふたりの背後で静かに流れる宇宙のBGM)
カンタ:
「元気になったし、そろそろ本部に帰ろう。ありがとう、小さな探査機!」
ボウフラ:
「こちらこそ、人生に動きのある出会いをありがとう、カンタさん。」
(ボウフラ、新たな物々交換を握りしめて再び航宙へ)