【エピソード14:思い出の取引所・モネール星へ】
大変失礼しました。投稿先を間違えて、田中オフィス第八十話を燃せてしまいました。お詫び申し上げます。
マリナーテの軌道から、ボウフラは再び1ミリの転位操作を実行した。
今回の跳躍座標は、銀河標準時で約7,000光年先、
恒星コロレオの第3惑星・モネール。
この星は、「物質と記憶の等価交換」を信仰と文化の中心に置く、
とてもユニークな文明が栄えていた。
ピトピト(転移直後のきらびやかな空間を見て):
「……まるで脳の中に降り立ったみたいね。色が全部“気持ち”でできてるみたい。」
眼前には、都市のような“記憶群”が広がっていた。
建物、街路、塔、広場——
それらはすべて、“誰かの思い出”によって組み立てられている。
ボウフラは、軌道に設けられた入域ポート「記憶門」で一時停止した。
自動的に、入星の目的が問われる。
記憶門の管理AI(冷静な声):
「ようこそ、モネール。入星には“ひとつの思い出”をご提出ください。
等価の“物質情報”が返還されます。」
ボウフラは少し迷ったが、
先ほどマリナーテで受け取った、
“沈黙の記憶”を提出することにした。
一瞬、ゲートの内側に柔らかな虹色の波紋が広がり、
その後、小さな箱状の情報物体が現れた。
記憶門AI:
「記録された“沈黙の記憶”は、7,000ノスタルク単位と評価されました。
こちらが等価物——“記憶操作用オブジェクトファイル・K-38型”です。」
ボウフラはその箱を、分析ポートに転送した。
内部には、“記憶を編集するためのツール”が収められていた。
ピトピト:
「……思い出を、編集する? これって、危ない技術じゃない?」
ボウフラ:
「いや、必要になるかもしれない。“記憶のカケラ”をきれいに交換するには、
“記録としての自分”に手を加える覚悟が、時には必要だ。」
ピトピトはちょっと不安そうにうなずいたが、
それ以上は何も言わなかった。
モネール星は、次なる交換を求めて、彼らを静かに迎えていた。
過去と未来の間で、“今の自分”を取引する星。




