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宇宙物々交換 ボウフラ航宙記  作者: 和子


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11/27

【エピソード11:ゆっくり光る、ボウフラの胸のランプ】

ミニョン星での夜。

演目は終わり、料理の湯気も消えかけた頃。

ボウフラは、広場のはしっこで、ひとり佇んでいた。

挿絵(By みてみん)

その内部で、感動炉のコアが、ふんわりと点灯する。

まるで胸の奥に、小さな提灯がぶら下がっているような感覚。


ピトピト(そっと近づく):

「……泣いたりはしないのね。あれだけの拍手を受けても。」


ボウフラ:

「うん。でも、少しだけ音が変わったんだ。」


ボウフラの中にある記録回路では、

あのとき厨房から聞こえてきた包丁のトントン音が、微妙に変わっていた。

前より、ほんのすこしだけ——柔らかく、穏やかに。


ボウフラ:

「記録音が、ほんの少し“やさしい”周波数に変わったんだ。

 それが僕の……たぶん、“感動”なんだと思う。」


ピトピトは、それを「よくわからないけど、いいね」と笑った。

そしてふたりは、人工星空の下で静かに並んで座る。


そのとき、ボウフラの胸のランプが、ぽっ、と1.2秒だけ強く光った。

誰も気づかなかったけれど、確かにそれは——

「ありがとう」と言いたいけど、言わない気持ちだった。


それでも、発電はされている。

わずか 0.8ミリワットの出力。

でも、それは確かに感動炉が反応した証だった。


ピトピト(帰り道にぽつり):

「……無音で泣く、って、ちょっと憧れるわね。」


次なる交換の旅は、もっと小さく、もっと静かな贈り物かもしれない。

けれどボウフラの内部には、確かに「小さな光」が残っていた。

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