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第2話

   

「キーッ!」

 独特の鳴き声を上げながら、二匹のモンスターが飛び出してくる。

 肌の色は茶色くて、ガリガリに痩せた小人のような体型。緑色の帽子はナイトキャップみたいな形状で、手にした武器は小さなナイフ。

 最下級のゴブリンたちだった。

「一匹じゃなく二匹か。だけどお前たち程度なら、冒険者学院の課外実習でも始末したことあるから……」

 若者は敵を前にしながらも、無駄な独り言を口にしてしまう。まだ彼には余裕があったのだ。

 しかし、その直後。

 背筋が凍りつくような、ゾッとした感覚に襲われる。

 もちろん、目の前のゴブリンたちが原因ではない。

「まさか……」

 恐る恐る振り返ると……。

 数メートル離れた辺りで、いつのまにか三匹のモンスターが立ち塞がっていた。

 胸板は厚く、手にした武器は若者と同じようなショートソード。赤い帽子も最下級のゴブリンとは違う。

 下から二番目のレベルという意味で『セカンドゴブリン』と呼ばれる種類のモンスターたちだった。


「ひっ! セカンドが三匹も……!」

 若者の声が悲鳴に変わる。

 冒険者学院の課外実習でも一度だけセカンドゴブリンを目撃したが、あの時は十人がかりでも倒せず、結局教師の手を借りる形になったのだ。

 それが今回は三匹、しかも最下級のゴブリンも二匹いて、前後を挟まれている!

 冷静に考えるならば、いくら「前後を挟まれている」とはいえ、手強(てごわ)いのはセカンドゴブリン三匹の方のみ。もう片方は最下級のゴブリン二匹だけだから、サッサとそちらを撃破して突破、そのまま逃げ出すのが最善手のはずだが……。

 軽くパニックに陥った状態では、そのように「冷静に考える」というのが無理だった。

 ただアタフタと慌てながら、若者は前後を交互に見比べて、ショートソードを振り回す。

 自分より大きな子供と喧嘩する幼児が、届きもしないのに小さな腕をブルンブルン振り回す。そんな場面を彷彿とさせる有様だった。

「来るな! あっち行け! 近づいたら斬るぞ!」

 若者は声を上げるが、虚勢に過ぎない。

 モンスターの方でもわかっているとみえて、五匹はジリジリと近寄っていくのだが……。

   

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