口裂け女 ~エピローグ~
3話まとめて投稿してます
「何見てるの?」
とあるコンビニのイートスペースで、ボーイッシュ娘が眼鏡娘へと尋ねた。
眼鏡娘が読んでいる雑誌は、フリーの賃貸物件雑誌だ。
「大学に進学予定だからさ、相場どの位なのかなーって」
「と言っても、都内に行くんならここらへんの2倍以上はするんじゃないの?」
「だよねぇ」
眼鏡娘がコーヒーを口に含み、ページを捲る。
「安くても、風呂無しは無理だし、トイレ共同も嫌だなぁ」
「それよりさ、口裂け女の話、全く聞かなくなったね」
ボーイッシュ娘が、から揚げを口へと放り投げる。
眼鏡娘は頷き、息を軽く吐いた。
「まぁ都市伝説も鮮度が落ちると消えて行っちゃうからね、埋もれるのは仕方ないよ」
「それにしてはある日突然消えた気がするけどなー」
眼鏡娘がふと、店外へと目を向けた。
外灯は煌々と光ってはいるが、そこに飛び交う虫は、少ない。
明後日から新学期が始まり、季節は秋へと入る。
当分はまだ暑いだろうが、寒暖差が激しくなるんだろうなと、再びコーヒーで喉を湿らせた。
「あはは、何これ、両面宿儺だって」
「ん?……変なの。フェイクなんじゃないの?」
ボーイッシュ娘のスマフォに映った、ドライブレコーダーの静止画。
男の背中があり、その肩辺りから男女の顔が映えているのだ。
男の方はなぜか血塗れで、女の方は口が裂けていた。
何故両面宿儺に口裂け女が混ざる。
仕事の雑さに、二人は一瞬でその画像に興味を失った。
ボーイッシュ娘が、先ほどの賃貸物件雑誌に、再び目を向ける。
「二人で部屋を借りるのもありかもねー」
「シェアって奴ね。でも、あんた進学希望だったっけ?」
「んーん、私はバイトで食いつなぐ予定!」
「親泣かせめ。……あ、これ安い」
眼鏡娘が指差す物件。
造りは最近のモノだが、周りに掲載されてる家賃よりはるかに安い。
たしかに安いが……。
「止めなよ、事故物件かもよ」
「やっぱかぁ。自殺か、他殺か、孤独死か」
「市役所近くに一軒家あったよね、まるで幽霊が暮らしてるような家、って」
「一家が外で殺された事件の、あの家か。まぁそういう事件の後には曰くが付いちゃうね」
「まぁ事故物件ならちゃんと書いてて欲しいよね、ユニットバス付き、幽霊付き、ってさ」
「あはは、何よそれ」
そんなのは、よほどのモノ好きしか借りないだろう。
そういや学年の裏掲示板が凄い事になっている、と。
二人の談笑は、そのまま続いた。
次回から通常の流れに戻ります




