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941. 北方出陣3

誠一たちが退出した後に

ジュリアスは、側近を集めた。

集まった側近は、アルフレート、キャロリーヌ、

そしてマリアンヌの容姿について口々に話始めた。

諸将の口軽くなったところで、ジュリアスが話始めた。


「やれやれ困った女王だ」

ジュリアスが嘆息した。


齢40半ばで政治、軍事に

最も脂ののっている時期であった。

幼少の頃よりバリーシャを見てきたジュリアスは、

他の女性の見た目の美しさに惹かれることはなかった。


「女王の意向を無下にする訳にもいかず、

ストラッツェール候のような立場に置かれるのも

願い下げだな」

苦笑を収めたジュリアスは、嘆息した。


「女王様のお気に入りなれば、

あからさまに邪魔者扱いする

訳にもいきませんな」


「南方での戦績は無視できません。

恐らく本人の実力というより

取り巻きが優秀なのかと。

そこは利用させていただきましょう」


本国の内偵からの報告を

鑑みるに現在の戦況をどうにか

好転させたい思いは、皆同じだった。


「とりあえずジェルミラ領の北部から

後方へ広がる闇の森方面に向かって

貰うことにしましょう。

闇の勢力の抑えになるだけも助かります」

ジュリアスは側近の献策を受け入れた。

「よかろう。明日にでも使者を送っておけ」


ジュリアスの言葉を最後に話は

ジェルミラ領攻略と北関奪還の方策に移った。


誠一はキャロリーヌと拠点に

戻るために馬をすすめていた。

「ストラッツェール候よりはましかな。

邪険に扱われるでもなく、予想の範囲内だね」


「まあそうよね」

何か思い当たる節があるのか

キャロリーヌの言葉に普段のキレがなかった。


「キャロ、何か気になる事でもあるの?」


「いやちょっとね。

女王様のお気に入りのアルだし、

ジュリアス・フョードロヴナは幼少の頃から

バリーシャに恋心を抱いているって噂よ。

だから恋敵にもう少し嫌がらせをしてくるかなって

思っていたんだけどね」

誠一の表情は険しくなった。

与り知らぬ所で余計な恨みを買うことは御免被りたかった。


キャロリーヌがくすりと笑った。

「怖い顔しないの!

フョードロヴナ候は、公私をきちっと

区別する人でしょう」


「確かにそうだね。そういう印象は受けたよ」

誠一の表情が和らいだ。


「まーいずれどこかで一騎打ちでも

申し出て来るかもしれないけどね」

誠一の表情は曇ってしまった。

キャロリーヌに表情をコントロールさているようで

癪であったが、まだまだ、表情を取り繕うことは

苦手であった。


「アルは、それの方がいいわ。

駆け引きに長けるアルかー。何かやだな」

戦場の緊張感など感じさせないような会話をしていると、

いつの間にか誠一とキャロリーヌは拠点に到着していた。


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