92.策謀の果てに7
まだまだ、戦いは続くー
「ぐあああぅあぅあー」
男が絶叫をあげた。強大な力を誇ったが故に
痛みなどを感じるのは久々だったのだろう。
敵味方を不愉快にさせる程の醜い痛がり様だった。
男は半狂乱の態でロングソードを掴んだ。
リシェーヌは噛み切った肉片を男に向かって、吹き出した。
男の頬にぺしっと当たった。
「あなたのでしょ、お返しするわ」
「コロス殺す殺すコロスころす」
ロングソードがリシェーヌの顔を潰そうと
何度も振り下ろされた。
都度、リシェーヌは避けたが、ダークグリーンの髪が
切り下ろされた。
リシェーヌの髪は、長さが不揃いでまだら模様のように
なってしまった。
僧侶が何かしらの回復魔術をかけたために戦士は、
呼吸を乱してはいたが、落ち着きを取り戻していた。
やっとの思いでリシェーヌは吐き捨てる様に戦士に言った。
「情けない男。ざまあみろ」
「我慢ならぬ。
現女王には悪いが、城を半壊させてしまいそうじゃ」
4大精霊がナーシャの周りから離れて、
狂ったように室内で踊った。
その踊りはまるで、ナーシャの怒りを
紛らわせようと、怒りを鎮めようとする
様であった。
精霊使いは、精霊たちの恐怖が分かるのか、
この世の終わりの様な表情でその場に蹲り、
必死に許しを請うていた。
4大精霊たちは突如、消失した。
室内は静寂に包まれた。
「くそっ、ビビらせやがって。
お前も死ねっ。瞬閃千斬切」
戦士がナーシャに向かって、必殺の一撃を放った。
魔術的刻印のされた強力なロングソードが
奇妙な形に捻じれた。
そして、持ち主の戦士も拉げて、捻じれていた。
「女王ヨ、我が一族に慈悲ヲ」
蛮族風の男は大斧を放り投げて、床に拝跪した。
「ふん、そんなこと知らぬわ。
一族の安寧は、一族の力で掴み取るがいい」
ナーシャは、額に汗を流しながら、
やっとのことでそう言った。
拝跪したまま、男は安心した表情で言葉を紡いだ。
「ありがたきお言葉」
その直後、蛮族風の男は破裂した。
魔術師は必死になって、魔術を唱えていたが、
全く効果が表れず、混乱の極致いた。
精霊使いは達観したような表情で魔術師に
語りかけた。
「全ては無駄だ。
ここに顕現しているのは、精霊の王たる一角、エレメンタラーだ。
何をしても無駄だ。
逃げることも戦うことも無益。
座して死を待つのみ」
その言葉を聞いた瞬間、魔術師は大量の魔晶石を
ナーシャに向かって放り投げた。
ミスリルの光沢を放つ杖の先端をナーシャに向けるが
何も起きなかった。
魔晶石は床に落ち、静寂の支配する部屋に
カランカランと音を響かせた。
こわっ!
逆鱗に触れたー




