88.策謀の果てに3
陰謀渦巻く王都なのだー
「ふーむ、予想外じゃのう。
魔術院の卒業者が加担しているとは、残念じゃ。
なかなか教育の理念は伝わらぬのう」
全てを黒一色でおおい、肌の色さえも
黒く塗りつくしている魔術師、
否、賢者が死人の中央から歩いて出て来た。
「ファウスティノ、貴様の教えに
何ら共感するものはない。
邪魔するなら、恩師とはいえ、容赦はしない」
「ひさしぶりじゃのう、デルガド。
どうやら堕ちるところまで堕ちたようじゃな。
路を誤った教え子を正すのは教師の勤めかのう」
かつて、魔術院で天才の名を欲しいままにした男の
なれ果てであった。
しかし、怪しげでおぞましい魔術に
傾倒しようともデルガドの才能が
その魔術を極めさせた。
「おい、ファウスティノ、この期に及んで
情にほだされるなよ」
フリッツが叱咤した。
「ああん?おんしは、一体、誰に向かって口を
聞いているのじゃ?」
その声は決して大きくなかったが、
フリッツだけでなく、対峙する者たちに
悪寒を感じさせた。
「死霊魔術も魔術体系に組み込まれているが、
それを否定するとは、どうもファウスティノ、
あなたは視野が狭い。
これを見て尚、おぞましいと言うか。
新たに宿りし魂よ、我に従い、我に捧げよ」
デルガドは震える自分を叱咤し、恐怖を抑え込み、
死人を操り、ファウスティノに襲わせた。
しかし、死人はファウスティノを
襲う前にぐちゃぐちゃにされた。
「おい、聞こえていただろう。
この爺とは、俺がやると。
くだらない人形遊びは他所でやりな」
バルフォードの拳が肉片の血で汚れていた。
「きっ貴様、何てことを」
デルガドは駒を潰されて、激怒しているが、
脳の片隅に冷静な自分がいた。
所詮、あのアホウでは、ファウスティノを
殺すことはできない。
しかし、相当なダメージを負わせることはできるだろう。
その後、なぶり殺しにすればいいと判断し、
引き下がろうとした。
「デカルド、下る必要はありませんよ。
ここであなたを屠ります。
魔術戦であれば、私たちにも勝機は
ありますから、お相手をしましょう」
デカルドの目がつり上がり、眉間に皺がよった。
「付け上がるなよ、その他大勢の講師どもが。
そんなに死に急ぎたいなら、そうしてやる。
死人として、永遠に彷徨わせてやる」
屋敷内より様子を窺っていたシャクマトは、
心底、畏怖していた。
無論、クーデターに失敗したダンブルにでなく、
機制を制したファウスティノの智謀でもなかった。
今、ここにいないバッシュの一派にであった。
スタンピード討伐に乗じて、ダンブルの杜撰な計画を
上手く調整して、元女王の周りの警戒を
手薄にしただけでなく、魔術院の警戒までも
手薄にしてしまった。
魔術院の最深部に眠る知識と秘宝、
神への頂きへ達するための情報を持つナージャ、
おまけで迷宮を成長させるための
程よく成長した生餌のウルトラレア、
そして、緑の国の国力を削ぐための
この杜撰な反乱、成功すれば、一挙両得どころの
話ではなかった。
フリッツの率いてきた者たちの囲いを掻い潜り、
この場を去るのは、シャクマトほどの暗殺者に
とっても容易でなかった。
戦場が混乱の極みを迎えたときを見極めて、
ここを去ることに決めた。
魔術院は誰が行ってるのかなー




