70.鍛冶場5
誠一さん、ガンバって!
「じゃっ次は私ね。よろしくお願いします」
美少女が殊勝な表情で頭を下げた。
ラッセルは悪い気がしなかったのだろう、顔がにやけていた。
「よろしい、構えなさい」
先ほどと同じように剣が揺らぎ始めた。
リシェーヌは下がり、距離を取った。
そして、エアカッターを乱発した。
「なっななっ」
ラッセルは慌てて回避した。
その際に剣の揺らぎは止まってしまった。
リシェーヌは距離を詰めた。
交錯する剣撃、しかし、ラッセルの剣士としての技量は
リシェーヌに到底、及ばないようだった。
圧倒され、剣を飛ばされて、降参した。
誠一はあれほど激しい動きをして尚、
太もも露わにするだけで下着を見せぬ
そのスカートの防御力に感心していた。
スカートが舞うたびにドキリとする自分がいた。
それはどうやら、ヴェルもヨークも同じようであった。
「ふん、合格だな。
おまえら一体、何者だ。
特に娘、貴様の足の運び、
見事と言わざるを得ない」
「あいつ、一体、いつあんなに剣技の訓練を
していたんだ?ありえないだろう」
誠一はヨークも自分同様にリシェーヌの太股を
注視していたのかと思っていた。
そして、ヴェルまでもが同じようなことを言い、
我ながら、自分が恥ずかしくなってしまった。
「最後はお前だな、アルフレート。
俺が相手をしてやる。
おまえは何を見せてくれるんだ?」
戦斧を振り回して、やる気満々な気分を表現していた。
誠一は意を決して、杖を構えた。
二人のように短時間で示せるような秀でたものは
誠一には何もなかった。
強いて言えば、エスターライヒ家の秘技であったが、
それは何か違うような気がた。
然らば、借り物でない鈴木誠一が誇れるものは、
魔術院で鍛えられた杖術しかなかった。
「お願いします」
そう言って、ヨークに打ちかかった。
何度も打ちかかるが、都度、弾き返される。
愚直に丁寧に何度も繰り返した型を打ち出した。
「ふむ、魔術に頼らず。
その杖術で納得させるつもりか、その心意気は良し。
しかし、武具を扱うものは、同世代であっても
貴様の何倍もの時間を費やしているだろう。
貴様が極めんとしている道程はこの路ではなかろう」
戦斧で杖を叩き飛ばした。
ヨークの息は全く乱れていなかった。
誠一は、息を整えながら、答えた。
「はぁはぁ、文武両道が魔術院の教えですから。
ふうぅ、今はまだ、自分の言葉で表現できません。
はぁはぁいつか、学院長ファウスティノ・ソリベス・セドゥのように
己の信じる道を語れるようになりたいです」
ヨークは大笑いした。
「おまえら、あの有名な魔術院の学生か。
道理で納得、納得。ラッセル、いいな?」
「ええ、これは先行投資ですね。
今後もご贔屓にして頂きたく」
ラッセルがうやうやしく頭を下げた。
うーん、誠一さん、、杖術マスターを目指しているのか???




