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55/990

55.とある席での情景1

千晴さん、登場!

会長の誕生日祝いの公休の翌日、

島崎は、上機嫌であった。

終始、ニタニタと笑っており、

千晴へのちょっかいもなかった。

何があったか知らないが、平穏無事に会社で

過ごせるなら、千晴にとってこの上なく

嬉しいことであった。


「佐藤さん、知ってます?

会長の誕生祝いで、島崎の奴、

随分と株を上げたらしいよ」

社内の噂好きの同僚が給湯室で

話しかけて来た。


千晴は適当に相槌を打った。

「へえーそうなんですか?」


「そうらしいのよ。

島崎の準備した余興に随分と会長が

感動したらしく、その場でべた褒め。

その上、今後の会社の行く末を

任せられる一人だとまで言ったらしいよ」


あんな男がそこまで評価されることに

この会社の行く末を心配する千晴だった。

少し暗い表情になってしまったのか、

同僚が忠告のようなことを言って、

給湯室を出て行った。

「まあ、あんたの場合、アレだから、

面白くないでしょうけど、辞める気ないなら、

島崎課長に逆らわずに、多少のことには

目を瞑る事ね」


ご機嫌の島崎は、日も暮れぬ前から

スキップを踏みながら、帰社した。

夕日をバックに彼の影も楽しそうに踊っていた。

他の面々は、厄介者がいなくなったことを

幸に気分の赴くままに仕事を再開した。

無論、残業も適当に付けて帰社した。

千晴も1.5時間ほど残業し、溜まっていた仕事を

片付けて、帰社した。


コンピュータから音楽を流しながら、

ご機嫌で食事を取る千晴。

昨日は公休、今日はつつがなく過ごせたことで

沈んでいた気分が幾分、回復していた。


相変わらず画面の片隅を占拠する

「ヴェルトゥール王国戦記」に

軽い苛つきを覚えながら、ネットサーフィンに

興じる千晴だった。

こちらの指示を一切受け付けない

クソキャラ「アルフレート」に

千晴は完全に興味を失っていた。

そして、彼を中心として演じられる

友情物語が千晴を苛立たせた。


ふと、千晴が画面の片隅を

占拠するヴェルトゥール王国戦記に

目を向けると、画面が暗がりに支配されていた。

何これ気味悪っ。

そう思い、何が起きているのか

確認するために画面を拡大した。


ベッドに臥せっている少年に身体を屈めて、

顔を近づける少女。

二人の唇が暗がりの中で重なっていた。

無論、その後、千晴が想像したような

下劣な行為はなく、少女は名残惜しそうに

彼の唇から離れ、何事か一生懸命、

弁解するとその場を去っていた。


イライラ、千晴は、折角の快適な気分が

この甘ったるいゲームキャラの行動の

せいでぶち壊された。

この糞キャラ、削除してやる。

そう思い、ネットで有効な方法を検索した。

検索していると、アルフレートの

ゲットした称号「神々への反逆者」に

関しての項を見つけた。

千晴はその情報を読んだ。

要約すると、ゲームキャラが

プレイヤー指示を拒否することが

できるスキルのようだった。

この称号を得た時点で、キャラを

コントロールすることはほぼ不可能となるらしい。

キャラクターを自分の思う通りに

成長させたい場合、どうやら新しく作成し直すことが

手っ取り早いということが理解できた。

キャラクターは放置または削除で問題ないようであった。

 

千晴は良案を思いついた。

アルフレートはそのまま放置して、

新しいキャラクターメイキングで

作成して、こいつらの所に潜り込ませて、

この苛つく友情物語を壊してやろうと。

部屋には千晴一人だけであった。

「ヴェルトゥール王国戦記」の画面に

向けてニヤリとした。

そして、ヴェルトール王国戦記攻略関連のサイトを

閲覧し始めた。


中々、心が晴れない千晴さん。

良い子なんだけどなー

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