37.実技試験結果
ううっ、、、留年かも
初等部の学生の間では、実技試験合格者0
という結果で話されていた。
如何なる理由があろうとも始まりの迷宮からの
帰還者は0であり、帰還を証明する魔石を
持ち返った者が皆無であったからである。
参加者に死亡者はいなかったにせよ、
重傷、軽傷の違いはあるが、参加者全員が何かしらの
怪我を負っていた。
重傷者には、学院の講義室を開放し、
簡易のベッドを設置し、衝立と薄いシーツで
仕切りを製作して、治療にあたっていた。
誠一もそこへ寝かされていた。
強力な身体能力を一時的に得たが、
全身がその負荷に耐え切れず、悲鳴を
あげた結果であった。
意識不明の状態が続いていた。
となりのベッドに寝かされているヴェルが
たまに声をかけるが、反応は無かった。
夜を迎えると、意識のある重傷者も
いつの間にか眠りについていた。
真っ暗な闇の中を安否確認のために
治癒魔術に長けた講師が定期的に見回っていた。
とことこ、暗闇に響く靴音と
ほのかに光る杖が廊下を移動していた。
重傷者の眠っている講義室の前で、光は消え、
ドアを開ける音が響いた。
とことこ、靴音は、誠一のベッドの前で止まった。
「アル、ありがとう。志半ばで死ぬのかなと思った。
うん、これはお礼だから、好きとかじゃないから」
少女は意識を取り戻さない金髪の少年を
じーっと見つめていた。
意を決して、瞳を閉じ、ゆっくりと屈むと、
少年の唇に自分の唇を軽く重ねた。
唇が離れると、少女は顔を真っ赤にしながら、
もう一度、意識の無い彼に言った。
自分の気持ちを押し殺すようにその言葉は、
やっとのことで絞り出された。
「本当に好きとかじゃないから。
ありがとう、アルフレート。
ううん、セイイチと言った方がいいのかな」
真っ赤な頬を一筋の涙が伝わり、
彼の頬を濡らした。
彼女は誠一の頬からそれを拭うと、
とことこと靴音を響かせながら、講義室を後にした。
朦朧とした意識の中にある誠一は、
唇に何かが触れた感触だけが妙に生々しく残っていた。
何かを語り掛けられていたような気がするが、
ほとんど聞き取れなかった。
しかし、誠一というフレーズが聞えたような気がした。
考える気力もなく、誠一は再び、深い眠りに落ちた。
主城の地下室に拘束された講師たちは、
各部屋で各々、夜を徹して、尋問を受けていた。
尋問を受けている部屋は、魔法の明りが
灯されていたが、到底、部屋の雰囲気を
明るくする一助にはなっていなかった。
「いい加減にこちらの質問に答えろ!」
「神の対峙には、強力な武具が必要なのです。
神はおわしますが、決して世間で
語られるようなものではありません。
敬う必要はありません」
「バッシュの手の者か?」
尋問官の何気ない一言に彼は激昂した。
「ぎいいぃ、キサマ、我らが君を
あのような下賤な者と一緒にするなぁー。
奴の名を口にするなぁ。不快、不快、不快」
狂ったように叫び始める元講師。
目は血走り、唾をそこら中に吐き出し、
身体を震わせていた。
「では、その我が君について、教えて貰えないかな」
尋問官が改めて、問うた。
「我が君は全能にて、全知なり。
選ばれしクラスの者しか知り得ないわ!
キサマ如きノーマルランクの者が
知ろうとするなど、おこがましいわ」
部屋中に響き渡る笑い声、その声は尋問官が
何を言おうとも収まることはなかった。
やばー




