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19.閑話 とある会議室の情景

よくあることー

佐藤千晴は、会議室に呼ばれていた。

室内には、千晴、島崎、そして、島崎の上司で

親戚筋の部長がいた。


「佐藤さん、彼から聞いたよ。

夜遅く何をしていたのか知らないが、

心配して様子を見に来た彼に暴力を

振るうのは如何なものかな?」


千晴は部長の言っていることに唖然とした。

島崎の言い分を100%受け入れているような言葉に

どう答えていいか分からなかった。


部長はため息をつくと、島崎に手振りで

何かを指示した。

立体モニターが立ち上がり、昨夜の状況が映し出された。

暗がりに島崎が転がり、それを見下ろす様に

千晴が立っていた。

島崎にとって都合の良い部分のみが切り取られて、

編集され、再生されていた。


「これを見ても何も言うことはないのかな、佐藤さん?」

部長は立ち上がり、千晴の後方に立つと、

右肩に手を置いた。

そして、ゆっくりと彼女の鎖骨のあたりまで

手を伸ばして、撫でた。

島崎は終始、にやにやとしている。


千晴はびくりと身体を震わせた。


「まあ、今回は、双方の誤解ということで、

島崎君も了解してくれた。

今後は、こういったことがないように頼むよ。

上司と上手くやることも仕事のうちだよ、いいね」

部長は、楽しそうに鎖骨から首筋を撫でまわした。

そして、この件は終いだと二人に伝えると、

会議室を後にした。

千晴は怒りと恐怖で震えていた。

そして、島崎を睨みつけた。


「佐藤さん、部長の言葉が理解できなかったのかな。

それじゃ、非常にボク、困るよ。

教育が必要になるからねぇ。

千晴、君にそんなことはしたくないけど、

仕方ないことになる」


千晴は、名前を呼ばれた瞬間、怒りと恐怖に加えて、

凄まじい嫌悪を島崎に感じた。

「仕事に戻ります、失礼いたします」

負の感情を振り払うかのように

勢いよく席を立ち、会議室を出た。


島崎の馬鹿にしたような笑い声が会議室に響いていた。


その後、千晴はいつ仕事を終えたのかも

帰社したのかもよく覚えていなかったが、

部屋のベッドに倒れ込んでいた。

起きると午前2時であった。

幸いなことに明日は、休日だった。


スーツを乱暴に放り投げ、部屋着に着替えると、

音楽を流すためにコンピューターを起動させた。


起動が完了すると、昨夜、確かにcloseした

「森の国編 ヴェルトゥール王国」

が立ち上がっていた。


学院のグランドでアルフレートと

リシェーヌが対峙していた。


「はっ?なにこれ」

Closeしようと×ボタンを探すが、見当たらない。

ゲームは閉じられず、物語は進行していた。

千晴の眼には、世間を知らないガキどもが

学園生活を楽しんでいる様にしか映らなかった。

ゲームとはいえ、周囲から喝采を

浴びる美人のリシェーヌを

眺めていると、妙にイライラした。

彼女の来歴をクリックして読むと、

千晴の心をどす黒い感情が支配した。


 はっ、大逆者の犠牲者、孤児、薄幸の美女、

天涯孤独、天才、容姿端麗、不屈の闘志、

努力家、勇者の資質、etc.だって、

なんなのこいつ、何が不幸だよ。

十分にゲームで優遇されているじゃん、

この肩書なら、どうやっても勝ち組じゃん。

 暗い部屋の画面の前でアルフレートを見て、

千晴はニヤリとした。

こいつ、皆の前で、犯し、殺そう。

そう決意すると、アルフレートへの指示を

書き込み始めた。


 画面の前でアルフレートがリシェーヌの後方に回り、

ぎちぎちに硬くなった逸物を形のいいお尻に当てて、

腰を振るっていた。


 千晴は笑ってしまった。ざまーみろ、 

本当の不幸はこれからだ!

と画面に向かって言った。


「ん?」


アルフレートがリシェーヌより離れて、

苦しみながら、何かを必死に伝えようとしている。

それを見た千晴は、一瞬で怒髪天を突き、

次々に書き込みを続けた。


「黙れ、殺せ、コロセ、殺せ、ころせ、犯せ、ヤレ」


アルフレートは命令に抗っている。

そして、苦しんでいた。

それを見て尚、千晴は、書き込んだ。

ゲームの癖に何で思い通りに動かないのよ。

何でヨ!ゲームに向かって叫んでいた。


白髪の如何にも魔術師のような爺さんが現れ、

アルフレートが光に包まれると、

その場に倒れ込んでしまった。

何を書き込んでもアルフレートはピクリとも動かず、

千晴は馬鹿らしくなり、書き込みを止めた。


千晴はどこからか観察されているような気がした。

周囲を見渡すが、当然、部屋には誰もいない。

ゲームの方に目をやると、アルフレートを

抱きかかえるリシェーヌと爺さんに

画面越しに観察されているような気がして、

恐ろしくなり、千晴は、コンピューターの

電源自体を切った。


千晴さん、がんばって!負けるな!

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