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149.遠征8

剣豪、ちょっと本気を出す!

「ぬぅあああっー」

己を奮い立たせる雄叫びとと共に

極限まで薄く鍛えられた刀を振るった。

単に早く振るうだけではこの刃は、

揺れてしまい、まともに斬るどころか

曲がるか折れて使い物にならなくなるだろう。

恐ろしく長きにわたる修練の果てに

扱う事のできる刀であった。


斬るだけに特化された刀。


無論、攻撃を受けることなどもってのほかであった。


一、二、三閃、四、五、六、七閃、

面、胴、小手、脚と縦横無尽に斬撃が魔人を襲った。


刀は直接、魔人には触れていなかった。

刀が切り裂くのは大気であった。

切り裂かれた大気は、空気の断層を成形し、

かまいたちのような現象を生じさせて、魔人を切り刻んだ。


魔人は身体能力にものを言わせて、

大きく後方へ避けたが、全身血まみれになっていた。


「むっ、腕の一本くらいは不能にしたかったものだが、

そう上手くは行かぬな」

剣豪は手を止めて、その場で脱力した。


それを見た魔人もつられて、集中を解いてしまった。

魔人には剣豪が下から上に刀を振るうのが見えた。

その所作にあまりにも殺気がなく、

自然だったために何が起きたのか全く分からなかった。

魔人の右腕が肩口から切り落ちていた。


見事な斬り口であった。


「ぐっぎいいー」

空気を震わすその声は、魔人の咆哮ではなかった。

いままで魔人は、その力により痛みなど無縁であった。

始めて感じた痛みに凄まじい悲鳴を上げていた。


「やれやれ、化け物の悲鳴なんぞ

おぞましくて聞くに堪えぬ。

さっさとその首を貰い受ける」


魔人は額のサークレットを地面に叩きつけた。

そして、ひいひいと言いながらも何かの魔術を唱えた。


地面より魔物が現れた。


オーガ、オーク、トロル、ホブゴブリンが数十匹現れた。


「奴をコロセ」

現れた魔物は一斉に剣豪に向かって動き出した。

魔人は地面に転がる右腕を拾うと、

血の噴き出る肩口に無理やり捻じり込んだ。


「どうしたものやら。

都合よく援軍でも現れないものかのう」

流石に魔人との一連の戦いで剣豪も消耗していた。

表情に出さないところは流石というべきであろうが、

どうにもあの大軍を相手にするのは無理そうであった。


 刀を切り替え、背中の大太刀を引き抜いた。

太刀を大地に突き刺し、ふらつく身体を支えた。


「くははっ!所詮は人の子、己の限界を知れ」

心底可笑しそうに笑う魔人だった。


「ん?なんだアレは、一匹、雑魚が増えたのか」

怪訝そうな表情で剣豪の後方に現れた小物そうな男を

注視した。


誠一さん、参戦!


読んで頂き、ありがとうございます。

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