137.閑話 とあるモニターでの情景1
ガチャにハマる!
帰って自炊する気になれず、
千晴は帰宅途中にあるスーパーで
値引き品の総菜を物色して、ビールを
何本か購入した。
3連休、特に予定もなく、明日は
だらだと過ごすことに決めていた。
実家は、顔を出せない程、遠くはなかったが、
両親の結婚やお付き合いへの皮肉が煩わしく、
足が少し遠のいていた。
「さてと、さっきのアイテムでも確認しようかな」
お風呂から上がり、さっぱりすると、
ビールとつまみを準備して、ゲームを起動させた。
アルフレートは、どうやら討伐でもしているようで、
悪鬼羅刹のごとくゴブリンやコボルドを叩き潰していた。
このゲームは、グラフィックにかなり力を
入れているため、そのリアリティさに
若干の不快感があった。
メインゲームウインドウを小さくして、
アイテム欄のチェックを始めた。
清涼や莉々子ほどではなかったが、千晴も何気に
ゲームにハマっていた。
「うーん、大したものないな。
無料チケットもあるから、全部、使っちゃおう」
千晴は、知らぬ間に溜まっていた
ガチャチケット214枚を全て使い切った。
214回の連打により右の人差し指が
痙攣しているようだった。
排出されたアイテムはどれもこれも
カスばかりだったが、黒いローブが67枚、重複していた。
確か同じものは合成できるはず。清涼の言葉を
思い出して、全て合成してみた。
合計六回、合成でき、幸運にも失敗が一度もなかった。
「名称が変わっている。黒いローブから
漆黒のマントになっているけど、レア度も上がっているのかな」
どうやらランクも上がっているようだった。
気をよくした千晴は、他に重複している武器、防具、
アクセサリーを合成してみた。
成功、失敗を繰り返し、アイテムが尽きたため、
誠一に下賜しようと思い、ゲーム画面に戻した。
どうやらグロいシーンは終わっていたが、
誠一と同行している冒険者たちが慌てふためいていた。
千晴には、誠一がシエンナに膝枕を
されているだけにしか見えなかった。
誠一の状態表示をすると錯乱となっていた。
どうやら錯乱を解除するためのアイテムや魔術が
このチームにはないようであった。
大人の連中が何やら深刻な話をしているが
読むのがめんどくさくなり、飛ばした。
パチパチパチパチ、千晴は誠一へ書き込みをした。
『大丈夫ですかー。起きてください。朝ですよー』
無反応だった。
『起きろー。遅刻するぞー。
査定に響くぞー。上司がうるさいぞー』
無反応だった。
『単位を落とすぞー。留年するぞー』
ぴくり、少し誠一に反応があった。
前の話が本当だとすると、彼は、転移する前は
高校生?大学生?位であったのかもしれない。
激レアは排出できないようにプログラムされていません!
引きです!引きの強さです!




