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五話:重量級の一押し

「オレと手合わせしろ」


厳つい鎧を着たその人は、私にそう言った。とても低くて響く声だ。




「まさか勇者様が、しっぽ巻いて逃げる訳ねぇよな?そうだろう? 黙って俺と戦え」


彼は私の顔を覗き込むように肉薄した。兜の中がぎらりと光る。睨んできているようだ。……なんだか嫌な感じだ。

彼は怒っている。そうじゃなければ騎士同士の一騎打ちなんて、とんでもないことを提案してくるはずが無いのだ。




とりあえず私は、一歩下がって聞いた。



「あの……私なにかしましたか? そこまでして怒られている理由がわからないんですが……」



「あぁ? お前が信用に足るかどうかわざわざ手合わせして確かめてやろうってのに、てめえはそれが納得出来ねぇってのか?」


「はい……めちゃくちゃだと思います」





私がそう言うと、彼は頭を抱えた。


「あーもう、めんどくさいなお前。ツラ貸せ」



「え? ちょっと!?」



彼は私の手を引いてどこかへと向かう。本当に押しが強い人が多いなここ……。

仕方が無いので付いていくと、私がこの館に入ってきた道を戻るようだった。

そのまま私たちは、孤児院前の草原に出た。




「ここなら院の中が血で汚れることも無い」


「 そんなことなら、手合わせなんかしない方がいいんじゃないですか!? 絶対子供の教育に悪いですよ!」


「知ったこっちゃねえよ」





そう言って彼はどこからか、大槌を引っ張り出してきた。彼の背丈ぐらいある。持ち手の先に立派な彫刻がされた柱の先端のような装飾が付いていて、見るからに重そうだ。

根元から先まで、全て金属でできている。

鉄塊を彼は右肩に担いだ。そして、彼は私の方を睨んだ。



「オレはこの手できちんと殴りあったやつしか信用出来ない。さあ……俺と戦え!!! 」



どうやら、退路は絶たれたようだ。


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