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ラストミッション  作者: 雪男
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絶望の裏切り

クリスマスの夜大男におそわれた僕は、ゼロと名乗る男にゲームを提案される。第一ミッションは何とかクリアできた。第二ミッションは、今度はこの階から脱出することで、しかも誰か1人は電気ショックを食らうことになって!?

「またミッションをやらないといけねえのかよ!!」気の悪そうな子が机を叩きながらいった。「死にたくない。死にたくない。」気の弱そうな子は隅でガタガタ震えていた。「落ち着いて、名前が分からないと呼びづらいから、まず自己紹介をしよう。」気の悪そうな子は納得したのか黙り込んだ。「矢神英治やがみえいじ12才。銀座のゲーセンで変な男につかまって、気づいたらあの部屋にいた。」下を向いたまま気の悪そうな子が言った。それを見て流れるように気の弱そうな子も言う。「き、岸田健斗。(きしだけんと)12才。英治君とは同級生で、同じクラスだ。英治君と同じようにいきなり大男におそわわれて、気がついたら英治君の隣の部屋に閉じ込められていた。」そう言うと健斗も下を向いた。「今度は俺か。木村カイト。12才だ。他の奴と同じようにあの大男につかまって、気づいたらあの部屋にいた。」そう言うと、カイトは僕に視線を送り、言うように促した。「僕は武村拓馬たけむらたくまみんなと同じよう12才で、そこからはみんなと同じだ。」僕はそう言うと隣の子に先を促した。「最後は僕か。えっと、阿久津圭斗。(あくつけいと)過去にも1度このゲームに参加したことがある。」僕の耳に想像しなかった内容が入ってきた。圭斗の周りにみんなが詰め寄る。「どうやってクリアしたんだ!?」「全員生き残れたの?」「あのゼロってやつは何者?」圭斗がみんなを振り払う。「僕はゲームをクリアしたんじゃない。逃げたんだ。」カイトが首を傾げた。「逃げたってどういうことだ?」「逃げたんだよ。この建物から。」「逃げた後はどうなったんだ?」「絶望だよ。」今度は怯えたように健斗が聞く。「絶望って?」「文字どうりだよ。『絶望』。にげたあとそこは空き地だった。空き地と言うよりも草原だった。周りに小さな山があって、そこからここがどこか分かると思ったんだ。けど、そこから見えたのは・・・」圭斗はそこで言葉を切った。「で、そこから何が見えたんだよ?」痺れを切らしたように英治が聞く。圭斗が呟くように言うが声が小さくてよく聞こえない。「何?」カイトがしゃがみ込んでよく聞こえるようにした。「・・・森だ。」今度も小さかったがはっきり言った。「森が広がってたんだよ。どこを見ても。地平線の遠くまでな。そしたらさっきいたところにフードを被った男が来て。たぶんあいつがゼロだったんだと思う。右手にスプレーを持っていて、殺されると思ったから、僕はゼロとある契約をした。」「契約って?」「毎回このゲームに参加する。その代わり、僕を殺さないこと。それだけだ。」「その後はどうなったんだ?」「スプレーを顔に吹きかけられて、気が付いたら自分の部屋で寝ていた。夢だったのかもしれないと思っていたが、同じゲームに参加していた同級生が、それっきり学校に来なくなって。事情を聞いたら行方不明になっているって言っていた。」「じゃあ、俺たちも行方不明になるのかよ!?。」英治が唾をまき散らしながら怒鳴る。「いや、ゲームをクリアしたら帰れる。実際に帰った人もいるらしい。」僕は話を聞きながら焦る。ゲームをクリアできなかったら行方不明になってしまうのか。しかも、逃げた所でここはどこだか分からない。森のどこかだとしても、今住んでいる所の近くには、そんな大きな森はないし、今回は場所が違うかもしれない。根気強く森を歩いても、海外の場合、どうすることもできない。しかも、地平線まで森が広がっているような所など、海外でアマゾンくらいだ。いくら逃げたところで、森にすむ動物や虫に殺される可能性のほうが、逃げ切れる確率よりも断然高い。てことは、生き残るためにはゲームをクリアするしかないようだ。全員で生き残れる方法はないか・・・そう思いながらみんなをみんなを見渡す。あれ、1人足りない。そういえば1人だけ声が聞こえなかった。急いでドアを見る。ドアが少し開いていた。先に行ったのは、健斗だ。「英治!!」「なんだ?」英治のいらだった声が返ってきた。「健斗が1人で階段を探し始めた。」「別にそのくらいいいじゃねえか」「いや、もし先にクリアしたら、僕達の中の1人が電気ショックを食らうことは確定だ。」英治の顔から、少しだけ血の気が引いた。急いでみんながドアに向かう。ドアの下にこの階の見取り図のようなものがあり、現在位置から遠く離れた場所にペン書きで非常階段と書いてあった。圭斗も同じ事に気づいたようだ「急ごう。」圭斗の落ち着いた声が何故かたくましく聞こえた。


暗い廊下を、1つの影が通り過ぎた。「はあ、はあ、はあ、」自分の荒い息が聞こえる。もう少し、もう少しで階段につく。(ごめんね、英治君。)謝るように心の中で言った。非常階段のドアを開ける。「え・・・・」僕はその場で立ち尽くした。


僕達四人は、全力疾走していた。僕はサッカーをやっているから、走りには自信があるけど、みんなも運動神経がいいのかまったく疲れた様子が見えない。カイトだって、汗一つすらかいていない。(カイトにも、こんなところがあったんだな。)僕は内心ビックリしていた。「ここを曲がれば非常階段だ。」後ろから圭斗の声が聞こえた。思いっ切り角を曲がると、健斗が呆然と立っていた。「どうした!」と英治聞く。「無理だよ。」後ろ向きのまま健斗がこたえた。「この先は、崖だ。」健斗が振り向く。目が落ち窪んでいて、不気味な薄笑いを浮かべているその顔に僕は寒気を覚えた。「崖ってどうゆう事だ?」4人でドアを開ける。誰かが、息を吞む音が聞こえた。階段は、作られたいなかった。ただ、大きな穴が出来ているようで、下を見ると、終わりがないくらい下が続いていた。その様子は、まるで崖のようだった。


「おい、どうする?」カイトが僕に聞く。「いや、どうって僕に聞かれても分からないよ。」「何か手はないのかよ?」「いや、打つ手はある。」一瞬圭斗が言ったのかと思ったが、その言葉を言ったのは、英治だった。「どけ」入口の前に立つ僕らを脇にどかし、後ろに下がった。「何をするんだ?」「前にはしごが見えるだろ。」約1メートル先の壁にはしごがついていた。「まさか!」英治は後ろに下がったのではない。助走をつけていたのだ。「やめろ英治 !!」急いで止めるが英治はもう走り始めていた。「先にまっているぜ!!」そう言い残して英治は飛び降りた。慌ててはしごを見ると、少し下の方で英治がはしごを下っていた。「よーし。今度は俺だ!!」そう言ってカイトも飛び降りた。ガシャンと音がして、カイトがはしごにしがみついているのが見えた。「お先に。」圭斗も飛び降りた。僕は、健斗を見た。「健斗はどうする?」「僕は最後に行くよ。みんなに申し訳ないから。」健斗は申し訳なさそうにい言った。「そうか。」そう言い残して思いっ切り飛び降りた。はしごは意外と新しく、少し滑るのでしっかり掴まないといけなかった。「おーい、そろそろ降りてきていいよ。」上を見上げて健斗を呼ぶ。けど、健斗が飛び降りる様子はなく、ただ冷ややかな目で下を見下ろしている。「バカなのみんな。」そう口にした健斗の声は、驚くほど冷たかった。「そんな所から底に着いたって、どうせドアなんかないし、ここを閉めたら君たち出られなくなるよね。」僕はようやく健斗の目的に気づいた。「健斗やめろ!!」英治が怒鳴った声は、いつになく必死だった。「じゃあな英治。せいぜいそこで暴れまわってろ。」英治は、人感の変わった友達をただ呆然と見上げていた。健斗が笑いながらドアを閉める。ドアが閉まりきり、ガチャリと音がして、走り去る音。その音が消えた後には、最悪な空気と、絶望の沈黙しかなかった。

前々回から間違ったところに投稿してしまい、ご迷惑をおかけしました。次話投稿のやり方が分かったので、次からはそこに投稿します。

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