表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストミッション  作者: 雪男
1/2

噓と裏切り

クリスマスの夜大男におそわれた僕は、目が覚めたら謎の部屋に閉じ込められていた。隣には友達の木村カイトの姿も。そこでゼロと名乗る男にゲームをさせられることになる。第一ミッションはこの部屋から脱出すること。制限時間は30分。果たして2人は生き延びることができるのか!?

(くそ!どうすればいい?)僕は頭をかきむしった。今の状況を整理すると、僕はこの鍵のかかった部屋から脱出しなければならない。しかし、鍵を解錠するには、8桁の英語を入力しなければならない。今のところそれらしきものは見当たらない。(必ずどこかにあるはずだ!)落ち着いた頭で考える。僕がゼロだったらどこに隠すだろう。一番探す中で目立たない場所は…(床か!)そう思い床を細かく探す。1か所だけ、タイルの間に隙間があった。(これだ!!)隙間に手をかけ持ち上げる。中は空洞で、紙が2枚置いてあった。急いで1枚を広げる。紙には【残酷】と書かれている。残酷。ざんこく。zannkoku。(zannkokuか!!)急いで出口に向かう。タブレットに【zannkoku】と入力する。しかし、流れたのは、軽やかなチャイム音ではなく、重いブザー音だった。(なんでだ!?)確かに入力した。文字もあっているはず。何度も入力するが、結果は変わらなかった。少しずつ焦り始めながら2枚目を広げる。中には汚い字だが、なんとか読み取れる文章が書かれていた。【己の秘密は他者の鍵であり、他者の秘密は己の鍵である。】己の秘密…他者の鍵…頭の中で電球がついた。(そういうことか!!)残酷は僕の部屋の鍵ではなく、カイトの鍵だったんだ!!急いで知らせないと。僕はガラスを叩いた。けど、カイトは入力するのに夢中で、こちらに気ずいていない。(まずい!)その時スピーカーから声がした。『残り10分。』焦りがどんどん募っていく。急がないと電気ショックを食らうことになってしまう。(考えろ考えろ考えろ!)はっと気ずいて瓶をみる。よかったまだ完全には割れていない。僕は瓶を掴み、思いっ切りガラスに向かって投げつけた。バリン!と音がしてカイトが驚いたようにこちらを見た。(やった!)しかし、肝心なことを忘れていた。(しまった!どうやって伝えればいい!?)ガラスに向かって叫ぶが、やはり防音でできているのか、カイトは首を傾げていた。(くそ!)とその時1つの案が浮かんだ。水道に向かい、水を垂らす。ガラスに向かって鏡文字で文章を書いた。【床の隙間を持ち上げて、紙を見つけてくれ。】カイトは分かったというように頷いて急いで床の捜索にあたり始めた。3分もたたないうちに、カイトが戻ってきたが、どうやら向こうには水道が無いようで、なんとか伝えようとしているが、何と伝えようとしているのか全く分からない。その時、またスピーカーから声が流れてきた。『残り3分。』(まずい!まずい!)このままだと本当に電気ショックを食らうかもしれない。その時、カイトが思いついたようにして、ある動作をした。まず、ピースサインを逆向きにした動作、次に、人差し指を左右に動かした動作、そして親指と人差し指で何かをつまんだような形をして、親指だけ下におろす動作。まるで玉結びをやるような動きをしていた。最後にまた人差し指を左右に動かした動作をした。これを見て僕ははっとした。これは指文字だ。最近学校で聴覚障害を持つ人のためのコミュニケーションの学習をしたのを思い出す。今の動きからして、カイトが伝えようとしていたのは、な、ん、も、ん、難問だ!!(よし!!これで出られる!!)と出口に向かう。が、大事なことを忘れていた。カイトに答えを教えないと!!しかし、時間がない、スピーカーから『残り時間30秒。』という声がした。(やばいぞこれは!!)急いで水道で手を濡らす。けど、立ち止まった。(待てよ?これ、そんな難しいこと考えなくていいんじゃないのか?)僕は答えの書いてある紙をガラスに叩き付けた。カイトは顔を明るくして出口に向かっていった。ほっと胸をなでおろす。しかし、スピーカーから『残り10秒。』と流れ、カウントダウンが始まった。(今度はこっちがピンチじゃないか!!)僕は全速力で」ドアに向かい、8桁の英語を入力して、部屋の外に出る。『2,1,0。30分が経過しました。』同時に、ドアを思いっ切り閉めた。

ピピピピピピと腕の機会が音を立てるが、電気ショックは流れなかった。思わず床に座り込む。隣からカイトがよろよろと歩いてきた。「カイト!!無事だったんだな!!」「ああ、お前があんな行動をしなったら、俺は今頃電気ショックを食らっているよ。」「いや、カイトのおかげだよ。あんなすぐに指文字が思いついたし。思いついても、普通あんなすぐに指文字なんてできないよ。」「まあな。俺のじいちゃん、耳が聞こえなくて。それで指文字の練習し始めて。もしやってなかったらって想像すると。ゾクッとするよ。」「とにかく、無事でよかった。」「お前もな。」喋っているうちに、頭が落ち着いてきた。一度周り見渡す。部屋を出ると細長い道が続いていて、カイトがいた部屋も廊下とつながっていた。左側は暗くてよく分からないが、右側は少し進むと左に部屋があるようで、向こう側は明るかった。「あそこへ行ってみよう。」と部屋に向かう。その部屋は鍵がかかっておらず、簡単に開いた。中は広く、食堂のような部屋だった。けど、僕ら2人ではなく、中央にもう3人いた。3人とも男で、1人は気が弱そうな背の高い子で、手が小刻みに震えていた。もう1人は無表情で、何を考えているか分からない。ただ、ぼんやりと上を見上げていた。最後の1人は気の悪そうな性格で、苛ついているのか、時々舌打ちをしながら歩き回り、隅に設置されている防犯カメラをにらみつけていた。[ああ、よかった。まだ他にも参加者がいたんだね!!」僕たちが入ってきたことに気がついた気の弱そうな子が安心したように言った。「他にもって、俺らの他にも参加者がいたのかよ!」驚いたようにカイトが言った。「当たり前だろ。ここはお前ら2人だけで脱出できるような場所じゃない。」気の悪そうな子がカイトをにらむ。「なんだと!」カイトがつかみかかろうとする。「やめたほうがいい。暴力は禁止だ。まあ、電気ショックを食らいたかったらいいが。」無表情な男の子が止める。「その子の言う通りだカイト。まず、自己紹介を――――」僕の声は、スピーカーの音にさえぎられた。『お話し中に悪いね。いきなりだけど、第二ミッションを行ってもらう。ミッションは、この階から脱出すること。制限時間は1時間だ。そして、このミッションでは、1番取り組まなかった人に電気ショックを食らってもらうよ。頑張ってね。』ブツッと音がなり、スピーカーの音が切れて、周りがざわついた。このミッションでは、必ず1人は電気ショックを食らうことになる。なんとしても逃れないと。お互いがお互いの顔をにらみつける。緊張した空気が漂う中、第二ミッションが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 天才!ていうかよく「己の秘密は他人の鍵であり、他人の鍵は~」ていうの思いつきましたね。 [気になる点] 主人公のセリフ「ああ。よかった。他にも参加者が…」というところの「が[になっていまし…
[良い点] かみ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ