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38.愛する人との幸せな時間

短いです!

移動した私室にはアレンとミアが待機していた。予定より早い時間で予定外のエレナを連れて転移してきた僕に驚いているが、すぐに片付けて部屋を後にした。


二人気になると告げたら驚いていたが、ミアは部屋の外で待機するのだろう。


「シオン様の部屋?」


「そう。初めて女性を招き入れた」


ソファーに腰掛けエレナの額に口付ける。


「男性と部屋にいるなんて知られたら、お嫁にいけないわ」


「それは大変だ。僕がお嫁にもらうから安心して」


なんて、馬鹿なことを話して目が合った。見つめ合った後に、どちらともなく目蓋を閉じて唇を重ねる。


それはもう、甘い麻薬のようだ。

互いを求め合い貪る。


息があがり朱に染まる頬、首筋、きっと制服の下の肌も朱に染まっている。

ドレスなら胸元が開いていて口付けできるのに。


ソファーに押し倒した態勢で角度を変えて何度も唇を奪う。口内を僕の舌で犯し、どちらのか判らない唾液が口の端から溢れる。


胸元のリボンに手をかけ、シュルリと解く。

その手を制止されたから、エレナの手を取り甲へと口付けた。


「エレナが欲しい」


「まだ結婚してないわ」


「女神ルミアスに誓った」


「教会ではないわ」


「女神ルミアスは、そんな細かいことは気にしていない」


「私が気にするわよ!!」


「エレナは僕が欲しくない?」


むぅっとした表情は何を言わせる気だってことかな。


「シオン様は、もう私のものです」


「そうだった。入学式の日から僕の全てはエレナのものだった」


プイっと顔を背けて『その日のことは知りません』だってさ。僕の愛の大きさが伝わっていないようだ。


「名前で呼んで」


「シオン様?」


「もう夫婦になるんだ。さま、は、いらない」


「し……シオン?」


言葉と同時に唇を塞ぐ。

深く舌を絡めて唇を離すと、つーっと糸を引いた。


ソファーから起き上がると、物足りない顔をしている。耳元で『少し待ってて』と囁き耳朶を喰むと耳まで真っ赤だ。



扉を開けると護衛とミアが待機していた。

ミアから話を聞いているのか、護衛の二人も部屋に女性がいることは知っているようだ。



「明日の昼まで人払いを。箝口令も敷いておけ。ミア、私のいつもの就寝時間にメイキングを。明日の朝食は手紙を飛ばす。それと、ウェスタリア侯爵家へ遣いを出しておくように」



心得た、とでも言うように三人は頭を下げ、ミアは持ち場へと戻った。

もう一度だけ、扉の前の護衛には『何が合っても絶対に通すな。レイが来たらアレンに対応させろ。連絡係として護衛を一人増やしておくように』と告げた。



念には念を入れて結界を張る。

レイは何をしでかすか解らない。

転移陣と攻撃魔法避けの結界を張っておけば部屋への侵入を防げるだろう。



明日は休みだ。

急ぎの仕事もない。

一日だけってのは物足りないが、婚姻の手続きもあるから仕方なしと、諦める。

その後からでも十分に堪能できるからね。



室内へ戻るとソファーに寝転んだまま状態だけ起こしているエレナがこちらを見ていた。ドレスと違い、丈が膝下しかないスカートからスラリとした脚が見えている。


近づくと座り直したエレナの前に跪き左足を持ち上げて足の甲に口付ける。

絹の靴下は薄いから、唇の感覚はエレナにも伝わっているはず。


靴下を脱がしたくて指を這わせるとエレナに抑えられた。


「靴下留で留めているの。引っ張っても脱がせないわよ」


「残念。ごめんね、女性の服の構造を知らなかった」


「今まで脱がしたことないの?」


「全く。そもそも興味がなかった。外しても?」


「スカートの中に手を入れるつもり?」


「そのつもり。嫌なら脱がしてからでも」


首を横に振って『恥ずかしい』なんて言うから、脱がすのは諦めて、足の甲から膝へと向かって下を這わせると身体がビクリと反応して僕を受け入れる。


ギュッと目蓋を閉じている。その瞳に僕を映して?


「目蓋を開けて僕を見るんだ」


「むっ……無理!恥ずかしいわ!!」


「なかなか見られない光景だと思うけど?王太子が跪いて足の甲に口付けるなんて。次はいつするかわからないよ?」


ま、すぐにでもするんだろうけどね。

ゆっくりと目蓋を開けたエレナが見下ろし、僕は口付けたまま目線を上げて口の端を上げニヤリとすると、エレナの顔は真っ赤で、脚も朱に染まっている。


もう少し足を上げると中が見えそうだけど、スカートを抑えているエレナの手が邪魔をして閉ざされている。


一頻りエレナの脚を堪能したら、もう我慢の限界だ。

抱き上げて隣の部屋の扉を開けて場所を移動する。


寝台を見て驚いたのか僕の顔を見上げたエレナは不安そうだ。


「お父上には明日の昼過ぎまで帰らないことは連絡したから。それと、部屋には誰も来ない。二人きりだ」


寝台に優しく降ろすとエレナが困っている。


「いや?」


「ち……違うの。あの……私……作法を知らなくて」


「作法?」


「ね……閨の作法……何も」


「お母上は何も話していなかった?」


「婚約者が出来てからって」


「それなら大切なことだけ教えるよ」


「なに?」


「夫に身を任せておけばいい。初めては痛いらしいから、それでも無理ならそう言えばいい。自分が感じた通り素直に反応して」


「はい」


口付けながらエレナを押し倒し両手は指を絡める。


何も知らない、母親からすら何も教わっていない無垢なエレナに色を落とすのは僕だけで、これからエレナの全てを僕の色で染めていく。


.

.

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.

.

.



昼近くになって目が覚めてから『おはよう』と挨拶すると恥ずかしそうに僕に背を向けて顔を隠した。


愛おしい人と迎える朝は最高だ。

朝まで何をしていたかは、お月様の『僕は婚約者を溺愛する:番外編』の『SS051.<IF>僕は婚約者を溺愛する38〜愛する人との幸せな時間★初夜〜』にて公開しています。

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