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探偵嫌いの探偵さん  作者: Aluera
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探偵を志す者達(2)

日付時刻ランダム投稿です。大体1週間位をめどにしたいです。ご了承下さい。


ーーー当日。

 最寄りの上野駅を降りる。春らしい晴れた空に涼しい風が吹き抜けた。こんな平日にも観光客でごった返している事には驚く。ギリ東京の地元とは大違いだ。

「こんなに鬱な日はトーナメント以来だ。」

と言うかプレッシャーかな。

‥昨日、桐生にプレッシャーに打ち勝つ方法メールで訊いたが、

『グットラック!!!』

とのみ言われた。酷いダチだ。


「駅から3キロってそこそこあるぞ。なんでタクシー禁止なんだ。てか最寄り駅がそこしか無いって‥ここ東京だろ。」

 今僕が言ったように、余程の山奥とかじゃない限りはタクシーを使っちゃいけないのだ。別に歩くのがって理由じゃない。タクシーがダメならバスを使えばいいからだ。‥1番は、


「あ、あの子トーナメントの子だよね?!うっわ、生で見るとより可愛いな。」

「ショ探偵現る。これでDM 送ろ。」


ーーこうやってガシャガシャと写真を撮られるからだ。僕は一般人だし、肖像権違反してますよー。有名人ってツライ。

「ああもう、なんで近くにバス停が無いとこなんだ。東京だろ。」

珍しく沢山愚痴る。仕方ない、だって写真勝手に撮られるんだよ?精神的に、ね?


 バス停から降り1キロ位歩いた所で、僕のスマホのナビはピコンと可愛く鳴った。

〔目的地周辺です。〕

うん、このビルのどこかだな。

〔ナビを終了します。〕

「え、ちょっと、まだ着いてない‥」

ナビ終了を伝える音声がより不安にさせた。


 仕方ないのでビルの人に訊くことにした。自動ドアが開く。

「‥いらっしゃい‥」

「?!!」

 その店はおそらく不動産会社だろう。だが、(他に社員が居ないから多分)社長らしき人はどう見てもゴクドーの人だった。サングラと白スーツが輝いている。嗚呼、人生はここで終わるのか‥

「すいません!ここに行きたいのですが!」

早くこの場を去りたくて推理家事務所と書かれたメモを盾にするみたいに突き出す。

「ーーッ!そこに?」

ゴクドー社長は急に怯え始めた。ぇ、もしかしてもっとゴクドーな事務所?

「ボク、そんな危険なところに用なのかい?ーーあ、高1?なんかごめん‥」

 ゴクドー社長は僕の両手を握った。ゴツゴツの手は大きくて僕の小さめの手は見えなくなった。

「⁉︎」


「気をつけて!弱みだけは握らせるなよ?私は応援するぞ!」

「‥え?はい。」

人は見た目によらないらしい。ってか怯えてたのそれが理由か。成る程。


「入口を右に曲がって裏に回って。そこに螺旋階段があるから4階に、直結だから分かるだろうけど。」

「あれ?どうしてエレベーターで行けないんですか?」

ゴクドー社長は首を振った。

「構造上の事で無理だ。簡単に言えば、このビルの上にレ○ブロックみたいに別のビルを乗せちまった感じだ。」

うっすらとしかイメージ出来なかったが頷いた。

「気をつけるんだぞ!」

「はい‥」


 僕は不動産会社を後にして裏に行く道に入った。結構薄暗く、空以外煉瓦で囲まれている。そこにツタが生い茂り、アクセントのお洒落な街灯が雰囲気を作り出していた。

あと少し歩けば隠れ家的なカフェとか出てきそうだ。


「わっ!すみません!」

周りを見るのに夢中で前を見ていなかった。大きなお腹に僕の顔が埋もれる。‥上を見る。

「(ギロ‥‥‥)」

ヤバイ、金取られるやつだ。

「ごめんなさいぃーーーー!!」

「?」

大きい人の股の下を潜り、一気に通りを駆け抜けたーーー


「わっ、凄い。外国みたい!」

 目の前に見えたのは鬱蒼とした広場。周辺のここから見えるビルはこちら側だけ煉瓦の壁だった。それらが作り出す世界はここが東京である事を忘れさせた。「通り側と印象違うな。あ、屋根が三角になっていたのか。日当たり良さそう。」

 早速螺旋階段を登り4階に辿り着く。インターホンらしきボタンを押す。

〔ピンポン‥〕

チャイムが鳴ると直ぐに、

〔あ、お客さん?少しお待ちを。‥おいルパン、テメェ所長なんだから行けよ。え?いや行けっーーー(ブツッ)〕


 なんか、聞いてはいけないものを聞いた気がする。

 30秒程するとドアが開かれた。観音開きしたドアから出たのは、言い合いに負けた事務所の所長(多分)。

 僕はその姿に息を呑んだ。なにせ、小説から飛び出して来た様な姿だったからだ。焦げ茶のスーツに身を包み、全く同じデザインの帽子を被っていて靴は珍しく白い革靴。白っぽい肌と茶髪に、濁ったなんとも言えないカーキ色の目、おそらく帰国子女なのだろう。


「いらっしゃい、おや?お子さんが来る所では無いですよ。」

「いえ、先日連絡頂いたインターンの者です。」

一応訂正する。所長は笑った。

「要らん冗談だったな。入ってくれ。」


 僕は遂に僕の運命の場所へと足を踏み入れた。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

作者名と同じ名前でTwitterに生存しています。

思いつきで作った変な名前なので他には居ないと思っております。

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