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勇者辺獄編 -この女神、悪魔に魂を売ってるんですが-

(´・ω・`)今一なろうの書き方がわからない件

ここは一体……


俺はブラックホールの中に浮かんでいるような奇妙な空間にいた。


ソファーの上に座っていたが、床はなく、目の前には事務机で仕事をしているマジステルがいるだけだ。


俺が状況を読み込めず、マジステルを茫洋とした目で見つめていると、マジステルが作業していたタブレットを持ってデスクチェアから立ち、歩いて対面にあるソファーに座った。


マジステルはちょっとバツが悪そうに三角帽に手を突っ込み頭を掻いた。


「いきなりつれてきてすいませんね」


「連れてきたって、ここはどこなんだ?」


「まあ落ち着いて聞いてください。ここはなんというか……その、あれです。あなたたちの世界

でいう辺獄、LIMBO、三途の河原、転生先と転生前の中間地点


――――要は死後の世界―――――」


死後?

 俺が突拍子もないことを言うマジステルに反論しようとすると、マジステルは手でそれを静止した。


「まあそういう人のためにこういうものを用意してます。


あなたが死んだ後の映像です」


マジステルはタブレットを俺の目の前に掲げると、俺が死んでからの動画を流した。


俺は死んでから救急車に運ばれてろくに診察もされず、そのまま霊安室に運ばれて、1日経ったら火葬場で焼却されていた。


一部始終の映像を見た感想としては奇妙だった。確かに俺なのだが、全く別の人間が葬られているような……何の感慨もわかない映像だった。


ドッキリにしては手が込みすぎているし、ワザワザ自分のような一般人にそんなことをやる意味がない。俺はあっさりこの状況を受け入れることにした。


「確かに俺は死んだようだな」


「よかった。ここら辺で俺は死んでない!とか、これは夢だ!って人多いんですよ」


「ただ一言だけ言いたい」


「なんですかぁ?」


「お前、俺殺しただろ」


ピシリと空間が固まった音がした。


マジステルは目をそらしてへったくそな口笛を吹いていた。


「えーうーまー、あっ今日のご飯の献立考えなきゃ何がいいかなー」


「いや、何ごまかそうとしてんだよ!この動画よく見てたらな。なんか工場現場の足場の上で明らかに俺を狙って鉄骨持ってる女がいんだよ。お前と同じ服着てんの!お前の同僚かなんかだろ。あれ!」


マジステルは脂汗をだらだら流していた。


「せ、正解」


「お前、はぁ!? なんでそんなこと」


マジステルはパンッと手を合わせて平謝りした。


「ごめんなさい!ノルマがきつかったの」


「ノルマ??」


「そう、女神長からのお達しで今月は3人の異世界転生やらなくちゃいけなくて。だから、なんかツイッターでテキトーに不幸そうな人見つけてぶっ殺して異世界転生しちゃおうかと」


「女神長って!?お前女神だったのかよ。なんで女神が人間平気で殺してんだよ!」


「ノルマは……命より重いっ……」


いや、カイジの利根川かよ。


「ごめんなさい~私転生課の中で一番成績低くて、そうしないと女神クビになりそうだったの。だからっちょっとコンプライアンス的に問題があるのは解ってたんだけど~やっちゃった!」


「やっちゃったじゃないんだよ。人殺す重み解ってないんですか?この女神様は!?あーもーねー。うん。はぁ……」


とはいえ、あのまま日本にいても、なんかろくなことなかった感あるし、別に身寄りがあるわけでもない。低収入だし、童貞だし、友達いないし、ブサメンだし、英語しゃべれないし、陰キャだし、ああああああああ


「考えてると鬱になってきた。まあいいや死んでしまったものは。別世界でがんばろう」


「童貞その粋やよし!」


「うっさいわアホ。少しは反省しろ」


「あっ、じゃあ転生システム説明するわね。これが説明書よ」


マジステルはタブレットをフリックして操作するとそれを見せながら、転生システムの説明をした。


この転生システムのキモは自由な設定項目にあるという。


性別、容姿、能力をそれぞれ自由にパラメータで割り振ることができ、基本的にどんなチート状態でも転生先で始められる。またそれらのパラメータとは別に特殊能力というものがあり、これは最初に設定した文言がそのまま能力として付与される。


但し、これには代償があった。



【転生前のパラメータより大きいパラメータを追加した場合及び特殊能力を付加した際は、その追加パラメータと特殊能力に応じた魂を支払う必要がある】



「なんか悪魔の召喚儀式みたいだな……」


ますますこいつが女神なのか疑わしくなる。


「失礼ですねぇ。物事の全ては等価交換。能力が与えられれば、それだけ何かの代償を得なければならないのです。これが自然の摂理。私たちもねぇ。泣く泣くやらざるをえないんですよ」


マジステルはハンカチを片手にヨヨヨと泣いている。


嘘くせ。


普通の転生システムでこんな話聞いたことないし、そもそもこの平気で人をぶっ殺す女神の言うことを信用しようってのが無理な話だ。


「本音は」


「その魂のエネルギーを悪魔商人に売ってお金にしてます」


言った後、マジステルはハッとした顔で俺を見る。


あんまりなセリフに俺はあいた口がふさがらなかった。


「もう女神様っていうか邪神そのものじゃねぇか」


「しょうがないでしょ!うちは寄付金少ないから悪魔商人とそういう取引しないとやってけないのよ!このタブレットだってやっと買えたんだから!前までは黒板で説明してたのよ!この時代に黒板!このソファーも前まではニトリのパイプイスでした!今ですら、同期は大体カップ麺生活なの!あなたたちの世界じゃ人件費上がってるらしいけど、少しは神様に寄付しなさいよ寄付!」


だめだこの女神たち、悪魔に魂を売ってやがる。文字通り。


「グチグチ文句言ってもどーせ元の世界に戻れないんだから、さっさとチート能力つけて、魔王倒しちゃいなさいよ。そうすれば、私たちは魔王の魂を売って臨時ボーナス出るんだから。グヘヘ」


女神としてっ……いや、人として終わってるだろこの女神たちっ……


俺は頭を抑えてはぁっとため息をつく。


「で、どういう能力がオススメなんだ?容姿をマイナスにして潜在能力値上げるとかか?」


「あー……その戦略やってきた人いたけど、ダメね。それだと基礎パラメータ上がるけど、特殊攻撃に対して弱すぎたのよ。いくら能力値上がっても眠りや麻痺なんかは完全に防げるものじゃなくて、魔術師が数十人がかりでパラライズを仕掛けてお陀仏」


「それは特殊能力で防げるようにすればよかったんじゃないか?」


「”全ての特殊攻撃を無効化し、ダメージを0にする”ってやった人もいたけど、これもダメ。魔王軍100万の軍勢と戦って特殊能力を発動したけど魂切れ。おしかったんだけどねぇ。残り1000人くらいで暗黒騎兵隊に蹂躙されたわ」


「ちょっと待て、特殊能力は一回使うごとに魂を消費するのか?それだと使いものにならんだろう。後半になるごとに弱くなるじゃないか」


「ちょっと違うわね。特殊能力はリース商品なのよ。チートな特殊能力は人間の魂だと足りないので、借金して特殊能力を付与してるわけ。で、強力な特殊能力程、金利が高くなっててね。この人の場合は毎月10%の利子を払う契約になってたの。しかし戦争が長引きすぎたせいで倒した魔物の魂で利子を支払えなくなった」


「100万もいたのに?」


「”全ての特殊攻撃を無効化し、ダメージを0にする”って文言で気づかない?」


「あっ……」


「そう、それだと全然魔物倒せないのよ。この人は自分を盾にして仲間に魔物を倒してもらってたの。でも魂は自分の手で倒さないと取得することはできない。だからすぐに利子が払え無くなって魂切れを起こして死んだわ」


「でもそれなら攻撃力と防御力に特化すればいいんじゃないか?」


「そういうバランスタイプは全然ダメ。全て特化させようとしたら利子が膨大になって魔王にたどり着く前に時間切れ。これが一番よくあるパターンなんだから」


マジステルはぎりっと爪を噛んだ。


悔しそうに言葉をつなげる。


「この世界の魔王は頭が良くてね。どんな戦闘スキルを持った勇者が来ても的確な対策を立ててくるのよ。一枚も二枚も上手というか。しかも用心深く慢心がない。居場所もコロコロ変えていて足取りすら掴めない。未だに姿かたちも謎のままよ」


打つ手なし。


そうマジステルはそう言いたげだった。


だが、その時俺に電流走る。


それはこの転生システムに対する逆転の発想を思いついた。


特殊能力には何が必要なんだ?魂だ。しかし魂ってのは金に変換できるものなんだろ?


つーことはだ。


逆に”金を魂に変換して、その魂で特殊能力を買えばいいんじゃないか?”


「俺に良い考えがある」


(´・ω・`)後で修正しやす

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