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三日月の幻想  作者: 保志野 奏汰
高校編
8/28

7話 雨と最悪の思い出2

次の日。学校に行くと、このネックレスははずことのできない呪いのネックレスだと噂が流れていた。

噂を流したのは確かめるまでもなく彼女であることは間違いなかった。

この時、詩織や修一とはクラスが違いクラスにもあまり馴染めていなかった。


いつもつけて先生が注意してもはずさないので奇妙には思っていたはずなので、その噂自体は特に問題はないしかえって好都合ではあったが〝呪いの“というのは苛立いらだちを覚えた。

クラスの反応としては3分の1ほどは怖がったり、気味悪がっていた。残りは様々で興味を示すものや、無関心なもの、そして一番厄介な心配するもの。

なぜ厄介かというと、ネックレスがはずれないことや、悪霊に取り付かれていることを前提に心配してくるからである。

よく内容を知らないのにその時の状況だけでされる善意とは無下むげにはできないが、その行為自体は害はあっても良くはならないからである。


そして、そうじて言えることがあればクラスのほとんどがこのネックレスを呪いのネックレスだと判断していた。


すぐに対処しなければならないのだろうけど、人の思いや考えをそう簡単に変えることはできない。

色々考えているうちに数日が過ぎた。

良かったのか悪かったのかはわからないが、変な空気ではあったが大きな問題も起こる事はなかった。

楽観視らっかんししていたわけではないが、このままの状態が暫く続くだろうと思い、喧嘩中のあいつと仲直りするきっかけの方を優先して考え始めていた。

この数日全く話しかけることも、話かけられることもなかった。

もともと、話す時だけ現れていたので、現れなくなると本当にいるのかどうかどころか存在していたかどうかさえあやふやになってしまいそうだったので、放置できなかった。


しかし、思いとは裏腹に事態は悪い方向に進んでいく。

例の彼女、北村きたむら 由紀ゆきが担任の先生に呪われたものを身に着けている人がいるといつ自分に災いが来るかわからないから、授業に集中できないと訴えたのである。

その日の放課後に私は担任の先生に進路指導室に来るようにいわれた。


「足立それははずせないのか。」

「試してみます。」

「いや、お前がそういうはずれないというなら信じるが。どうなんだ。」

私にとって一番答えにくい質問をしてきた。

嘘をいってしまえば終わるのだが、私は無理にネックレスをはずそうとせず、私を信じると言われたのにそれに嘘で返すことができずに、

「はずしません。」と答えた。

先生は私の答えを聞いて溜息をついて、

「そうか、はずさんか。」


「このネックレスは呪われてません。」

「わかってる。」

先生から私にとって以外な回答が返ってきた。

「中学入学してから今までお前はずっとそれを付けてるが、呪われているようなことは一度もなかった。小学校からつけていたと聞いているが、その間もおかしなことはおこってないからな。それに例え起きていたとしてもそれがそのネックレスが原因かどうかは立証りっしょうできんだろう。」

「だったら、問題ないじゃないですか。」

「そうだな、だが、今回の問題はそこじゃないんだ。」

では、なにが問題なのか私にはわからなかった。


そんな私を見て先生は話だした。

「今回の一番の問題は、お前のネックレスが呪われていて、他の人に害があると思っている奴らがいるということだ。

先ほどそのネックレスでおかしなことは起こっていないと言ったが、今後起きないとはだれにも言えない。なにか起こった時にそのネックレスのせいだと言われても違うとも立証できない。それは、呪いとかいうものの類は簡単に言ってしまえば、わからないことでもあるからだ。わからない、理解できないことを人は恐れる。特に自分たちに害があるものはな。

防衛本能というやつだな。

そんなものが身近にあれば確率がどんなに低くともそれを排除しないと安心しない。」

そこで、先生は一区切りおいて、

「と、いうことだが今回は俺が何とかしてみる。ただお前もこれから大変なことだけは覚悟しとけよ。」

「ごめんなさい。先生。」

「なに。あやまることじゃない。ただ他の奴らが悪いわけでもないことは覚えとけよ。」

「わかりました。」

「あと、なにかされたり、言われたりしたら俺に報告しろよ。お前は自分で抱え込むからな。」

「努力します。」

「ならいい。長いこと悪かったな。帰っていいぞ。」


先生がどうするつもりなのかはわからなかったがなんとかしてくれそうで、自分でこれ以上悩んでもなにもできそうになかったので、任せることにしてこれ以上考えないことにした。


お読み頂き有難うございます。

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