表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三日月の幻想  作者: 保志野 奏汰
高校編
6/28

5話 信念とルールと

数学がどうしてもわからない。

今まで何とか授業についていっていたが、数ⅲはかなりの難敵だった。

テストも近い。

詩織は早々に諦めていた。彼女には受験にも必要じゃあないので、今後の人生において必要となることは恐らくこないであろうから問題はないと私も思う。

私も恐らく必要ないはずだが、どこを受けるかすら決めてないから、必要ないとは言い切れず何とか頑張っているのだが、どうにも自分一人ではどうにもなりそうにない。

昨日あいつにわかるか聞いたが、あっさりと根をあげて役にたたなかった。

仕方がないので最終手段である修一に教えを乞うことにした。

放課後、まだ席にいた修一に

「ここ教えてほしんだけど。」

「ああ、これか。難しいよな。でも、悪いちょっと無理なんだわ。これから部活のミーティングなんだ。」

今週末の試合に向けての打ち合わせがあるそうだ。

「おい、佐伯」と同じクラスのサッカー部員から声を掛けられ、

「わかってるて、今いくよ。ごめんな。」

と申し訳なさそうに教室をでていった。


「「さてどうしようか。」」

「「先生に聞くしかないんじゃない。」」

「「どうやって。」」

私の目線の先には数学教師にわからないところを聞いているクラスメートが数人たむろしていた。

「「…。自力で頑張ろう。」」

「「それができたら苦労しないよ。」」

「「仕方ないか。」」

「「?。」」

「「図書室にでも行こうか。」」

言っていることがよくわからなかったが、ここにいても教えてくれる人もいないので、あいつのいう通り図書室に行くことにした。


図書室に着き、端の机に座ると、

「「わからないとこの教科書のページ開いて。」」

「「いいけど。」」

「「…。確かこれを代入してこうするんだったよな。」」

「「?」」

暫くあいつは一人ごとを言っていた。もともと私にしか聞こえないし、一人事でも私には全て聞こえているからこれを一人ことというかはわからないけど。

暫くして「「こういうことかな。」」とあいつは言って、

「「間違っているかもしれないけど。」」と言ってわからないところを解説しだした。

ペンも持てないから解いて見せてくれるわけでもないから、説明もかかりはしたが何とか理解できた。

「「ふー。やっぱり解きながら説明や図を書かないで説明は難しいね。しかし、自分でも良く解けたと思うよ。」」

「「教えてくれたのはありがとうだけど、わかるんだったら始めに聞いた時に教えてよ。」」

「「なんかこういうことに口を出したくなかったんだよね。」」

「「小学校や、中学校までは教えてくれてたじゃん。」」

「「そうだったね。やってはいけないと思いながらつい口がでてしまっていたね。高校になって難しくなったから、自然と口が出せなくなっていたからね。」」

「「その勉強に口を出したらダメてのは幽霊のルールかなにかなの。」」

「「お化けには試験もルールもないよ。」」

「「じゃあなんで口ださないの。」」

「「自分のルールで決めてるんだよ。」」

「「そんなルール作らないでよね。」」

「「幽霊に物事を聞くてのはおかしいと思うからね。今ある環境でどうにかしてほしいと思ってるからね。」」

「「幽霊でも今ある環境の中には含まれるよ。実際霊能力者なんかはそういうものの力で商売してるんだから、私があんたから教えてもらうことに問題はないはずだし、苦労させられてる分それくらいの恩恵があってもいいんじゃない。」」

「「う…。意外とまともな正論をかざしてくるね。」」

「「意外てなによ。また私を馬鹿にして。」」

「「馬鹿にはしてないよ。確かにその通りだなと思って、僕のルールを変えさせるくらい正論なんで、関心したんだよ。」」

「「じゃあ、今後は方針を変えて勉強もしっかり教えてね。」」

「「世の中正論だけでは回らないんだよ。邪道とか間違っていたもそうせざるを得なかったり、あえてそうすることもあるんだよ。」」

「「なんだよそれ。」」

「「でも、今回は正論に従おうかな。」」

「「珍しいこともあるのね。信念みたいなものはいくらいっても変えないのに。」」

「「でも、高校の内容で僕が教えれれることはあんまりないから期待はしないでね。」」

「「わかった。で、ここもわからないんだけど。」」

「「早速さっそくだね。えっと、これは…。」


暫くして、日も暮れてきたので教科書やノートをしまっていると、

「お、いた。」

声のするほうを向くと修一がこっちに向かってきていた。

「さっきの問題わかった?。」

「うん。なんとか。」

「そっか。なら来る必要なかったな。」

「え、わざわざ教えに来てくれたの。」

「あのまま放っておけなくてな。」

「ありがとう。」

「珍しいな。足立がそんなに素直にお礼をいうのは。」

「佐伯は私をどんなふうに評価してんのよ。」

と言って笑いあった。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ