3話 進路と将来
体育の時間以外ではネックレスは見えることはほとんどなく、学年が変わった時をのりこえれば、あとは問題にはならない。
「今年もこれで安泰ね。」
と一人ごとが口にでた。
「いやいや、今年は受験もあるし、寧ろこれからでしょうが。」
と詩織が真面目なつっこみを入れる。
「「そうだよしっかり勉強して、進路考えなよ。」」
「わかってるわよ。」
「え。何で怒ってるの?」
「ごめん。怒ってないよ。つい大変そうだなっと思ったら語気強めちゃっただけ。」
「そうなの。ならいいけど。」
「「いきなり入ってくるな。おかげで変な弁明させられたじゃない。」」
「「くくく(笑)。ごめん、まさか声に出して答えるとは。」」
「「嘘。完全に狙っていったでしょうが。」」
「「ばれたか。しかしここまでうまくいくとは予想外だったのは事実だよ。」」
「「く。毎度毎度。覚えてなさいよ。」
一通りあいつとの話を終えて詩織との話に戻る。
「結希は大学行くんでしょ。」
「え、詩織はいかないの。」
「私は看護の専門学校にしようかなと思ってる。」
「もう決めてるんだ。」
「まあね。あとは頑張るだけなんだけど、なかなかスタートが切れないのよね。」
「私はざっくり大学行くとしか決めてないから、まず学部決めないといけないのよね。」
「佐伯君と同じ大学行くんじゃないの。」
「なんで、あいつと同じとこにいくのよ。詩織とも別れるのに、あいつと同じとこは意地でもいかないよ。」
「あんな仲いいのに別々になるんだ。」
「そんなに仲良くはないと思うけど。ホント腐れ縁だよ。」
「そうしときますか。ちなみに彼はK大にいくらしいよ。」
「それ、どこからつっこめばいいの。」
「さあ。」
そう言って詩織が笑い、私は苦笑していた。
「「で、進路どするつもりなの。」」
「「ゆっくり考える。ダメ。」」
「「いいと思うよ。しっかり悩んで決めれば。」」
「「悩みたくないな。」」
「「いきなり前提条件をひっくりかえしたよ。」」
「「あんたはどうすればいいと思う。」」
「「k大の薬学部にして、薬剤師目指すと将来安定していいと思うよ。」」
「「なにその面白くなく、安定志向は。最近の若者はどうしてそう安定志向になるわけ。冒険してでも、もう少し面白い人生になるようなものにしなさいよ。」」
「「いや、まず君の学力ではかなりの冒険だけど。で、君はその最近の若者だよね。」」
「「何か言った。」」
「「理不尽だ。」」
「「世の中理不尽だらけよ。」」
「「君が言うか。」」
てことで私の進路はまだ暫く定まりそうになかった。
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