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玩具幻想

作者:Kan
 大学へ向かう途中の道だった。青空が広がっているところに、ビルが建っていた。それを見た時、僕はなんだか不思議だった。それは、まるで模型だった。子供の玩具(おもちゃ)がそこに置かれているような気がしたのだ。その時、僕はこのように思った。これがもしもビルではなくて、巨大な土器ならば、爽快な眺めだろうと。

 その日から、僕は街に並んだビルやマンションを、そっくり大きな土器に変えてみたいと思うようになった。あの土の匂いがしそうな、ひびの入った縄文土器が、ビルのように所狭しと並んでいたら、さぞ痛快だろうと思った。

 ある朝、空に真っ赤な風船が浮かんでいるのが見えた。アドバルーンかと思った。しかし、よく見たらこれは子供の手に握られているような小さな風船と同じだった。ところが、この風船はおかしなことに、アドバルーンのような大きさで、青空にぴたりと静止していた。

 僕は、おかしな心地だった。今度は、電車に乗っていると、僕は子供の玩具(おもちゃ)の中にいるような気がした。電車の模型の中に座っているんだ。そうして、窓の外を見ると、土のこびりついた土器が、ビルのように並んでいた。

 駅を降りてみると、そこは本当に模型の世界のように張りぼてで、中は空っぽだった。そこにピエロの人形が立っていた。彼はかつて、手で握れるほどの大きさだったに違いない。その赤い服の色は、ズボンにはねていた。真っ赤な口も、頰まで色が広がっていて、目は黒くつぶれていた。

 僕は、駅を飛びだした。ここはどこだろう、どこだろう、と思った。そして、僕は荒い砂漠を走って行った。いつの間にか、砂だらけだ。僕は、わっと叫んだ。大きな砂の山の向こうに、天まで届くような、鉄の塔がそびえていた。ところが、それは鉄の色がにじんだスコップだった。

 見ると、逆さまの林檎が、目の前に転がっていた。これも、僕よりも大きかった。砂がこびりついていても、てかてかと赤く光っていた。

 僕はもう一度、わっと叫んだ。

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