美月
昨日に引き続き更新です。
意味わからないと思いますが、なんとなく考察しながら読んでいただければ幸いです。
二学期始め、始業式の日、春奈のクラスに転校生がやってきた。
少し細めの女子だった。
「蒲田美月といいます。親の転勤の都合で、こちらに転校することになりました。宜しくお願いします。」
簡単な紹介、簡単な挨拶。
特に目立った特徴もなく、クラスの大多数はいわゆる「普通のやつ」だと認識した。
しかし春奈はなぜかそう思わなかった。
彼女の少し短めの前髪や、なんだか覇気のない瞳、肩まで伸びたストレートの髪、真っ直ぐ伸びた背中…
誰も気にしないような彼女の小さな特徴がなぜか春奈を引き付けた。
なんだか懐かしいような…それと…
「それって、いわゆる一目惚れってやつ?」
友人の優里の予想外の一言に飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
今日は午前中に学校が終わったため、帰りに仲のいい優里を誘って昼ご飯を食べに行き、食後に転校生への違和感について彼女に相談したのだった。
「ち、違うよ!てか、その子女の子だし!」
すぐに否定する。
「あ、女の子なのね。だって、気になるって言うからさ…そんなに美人な子だったの?」
優里は春奈とはクラスが違うため、美月の顔を見ていない。
彼女は自分の親友が他の女子を気にしているのが少し不満であったので、美月というのがどんな人間なのか気になっていた。
「美人…か?いや、そうでもないような…いわゆる普通って感じ。誰もそんなに気にしてなかったし。」
「へー、前に会ったことでもあるんじゃない?」
「んー…」
彼女を見た時の感覚を思い出してみる。
「なんだか懐かしい感じがして…そうだね、会ったことがあるのかもしれない。」
それともう一つ、感じたことがあった気がするのだが、上手く言葉にできなかったため、心の奥にしまった。
「なーんだ。春奈にもようやく春が来たと思ったのに。」
「それ、シャレのつもり?女の子で残念でした〜。」
ふふっと2人で笑う。
食後に運ばれてきたコーヒーを一口飲むと、優里がまた話し出す。
「まあ、会ったことあるんなら、また仲良くしたらいいんじゃない?」
「いやいや、まだ会ったことあるかなんて分かんないし。」
「忘れてるだけじゃない?ほら、春奈ってば未だにクラスの人全員覚えてないんでしょ?そんなに普通っぽい人ならより覚えられないでしょ。」
「んーそうなのかな…」
忘れるほどの関わりしか持たなかった相手に対して、あんなに細かい特徴が気になるものなのだろうか。
やはり出会ったことがないとしたら、気になるのは仲良くしたいという意味で一目惚れに近いものなのかもしれないが…
「ま、いっか。それより優里、次の中間で赤点は絶対取っちゃだめだよ。」
「げ、なんでまだ二学期初日なのに中間の心配するの〜。」
優里がげんなりした顔をする。
春奈は真面目な顔で畳み掛ける。
「夏休みに、二学期から頑張るって言ってたじゃん。日頃から少しずつ勉強しとかないと。後できつくなるよ?」
「いやいや、皆テスト前に慌ててやるのが常でしょ〜春奈が偉すぎなんだって。毎日勉強なんて、きつくないの?他に楽しいことたくさんあるのにさ。」
「ん〜めんどくさいけど…だって勉強しといた方が後々楽じゃん?私、特に目立った才能もないからさ。日頃こつこつ勉強して、普通に大学いって普通に就職するのがベストだと思うんだよね。」
自分のコーヒーを飲みきって春奈は再び優里を見てにっこりする。
「それに、勉強めんどくさくても、たまにこうして優里と遊んでるだけで充分楽しいしさ。」
「春奈のそういう所、ほんと尊敬するわ…。あ、そろそろ店出てもいい?部活の集まりがあって…」
「あ、ごめん、長居させちゃって。出よっか。」
会計を済ませ店を出ると春奈は優里と別れて、1人で家に歩いて帰った。
歩きながら考える。
今日も楽しかった。
久しぶりに友人と会って、ご飯を食べて、おしゃべりして。
帰ったら明日の授業の予習をしよう。明日のために。自分のために。
毎日が充実していて楽しい。
また明日も頑張ろう。
小さいが確かな幸せを噛み締めながら、春奈は歩いていった。
お読みいただきありがとうございます。
内容ほとんど同じですみません…。
一応意味はあるような無いような…。笑
しばらくこんな感じで訳分からないかも知れません…考察は読者の方におまかせします。