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宴会

よろしくお願いします

三月は投稿できなくてすいませんでした

「逃げろ!!オオイノシシが出たぞぉ!!」


そんな叫び声が響き渡る


何が出たって?大石さんが出てきた?

なに、大石さんが出てきたらやばいの?


叫び声のほうを向いて目を凝らしてみると、そこには大きなそれは大きなイノシシが暴れ回ってこちらに突進してきていた


大石さんではなくてオオイノシシと言ってたのか〜


オオイノシシかぁ、ゲームの序盤に出てくる魔物の1匹だよなぁ......


ってそんな呑気なこと言ってる暇ないんじゃないか?


なんだよ、あのでかいイノシシはしかもこっちに向かってきてるじゃねぇかよ!!



「まずい!!逃げるぞ!!」


キースさんの叫び声が耳に届く


今にもオオイノシシは大きな牙をランスのようにして俺たちを突き刺そうとしている


俺たちは皆慌てて逃げようとする


あんな大きなイノシシ...というかイノシシ自体見るのが初めてだが...恐怖と焦りが俺の心を塗りつぶす


「きゃっ!」

「リナ!!」



一緒に逃げていたリナちゃんが何かにつまづいて転んでしまう


そしてオオイノシシは転んだリナちゃんをターゲットにしてしまう


キースさんがリナちゃんを助け出そうと慌てて駆け寄っている姿が見える

でもあれじゃ間に合わない、二人とも巻き壊れてしまう!!







.........あれ?なんかキースさんの動き遅くないか?


というかリナちゃんに突進しているイノシシの速度もすごい遅いな


みんな遅すぎないか?何が起こってるんだ?



ちょっと待てよ?思ったけど...俺って今ステータスがLv.200の身体だよな


それが指すことは俺はこの世界じゃとても強いってこと...つまり...つまりそういう事だよな


これがLv.200の戦闘感覚ということか!!


今俺が体験しているのは思考加速という現象だな。マンガでよく見る世界の流れが遅くなるってやつだよな


ふっふっふ、わかってきたぞ

だったらやれることはただ一つのみ!!


もう恐怖心はない...目の前のイノシシはただ子豚ちゃんにしか見えないな



俺は一歩前に出すと世界の流れは遅いまま俺の動きはいつも通りだ


なにこれ、すごい面白いんだけど...喋ることは出来ないが、身体は自由に動く


あ、キースさんを追い抜いた



そして俺はその流れが遅い世界を走り抜けリナちゃんの元まで走っていく


イノシシは既にリナちゃんのすぐ側まで来ていた


まずいな間に合いそうだけど、どうしたらいいんだろうか

何も考えてなかったぞ、やばい調子乗ったかもしれん!!.....えっと...えっと...えっと──!!


俺は焦り、そして何故か無意識のうちにイノシシの豚鼻に拳を打ち込んでいた


その瞬間に世界の流れが元に戻る



「リナぁ!!」

「お父さんっ!!」


2人の互いの名前を呼ぶ叫び声が響く

俺の目の前ではイノシシが宙を舞って飛んでいく姿が流れる


「「.........あれ?」」


そして2人の抜けた声と後イノシシが地面に激突する



ビクビクと痙攣してるがイノシシが起き上がる様子はない


俺はただ拳を突き出したポーズのままかたまる


無意識でパンチしてしまったんだが、イノシシがぶっ飛ぶとは...Lv.200の肉体、恐るべし


リナちゃんとキースさんは何が起こったかわからないと言った感じで、ただひたすら俺と転がってるイノシシを交互に見ている


俺は自分のスーパーパワーにビックリして固まる


3人ともそれぞれの理由でぽかんとしてしまう



パチパチパチパチ、そんな拍手が聞こ始める


なんだ?と思ったが、俺たち同様イノシシから逃げ、そして隠れていた村人たちが俺に向けて拍手をしていたのだ


時折「すごいぞ!!」「やるな嬢ちゃん!」などの賞賛の声が聞こえてくる


「すごいすごい、すごい!!クロエさんすごいよ!!」


俺たちとは別方向に逃げていたノエちゃんがこちらに駆け寄ってくる



「あ、えっと...あはははは、あは、は...」


俺はどう反応したらいいか分からず、微妙の笑い声をあげる



「ほ、本当にクロエちゃんがやったのか?」

「キースさんだって、見てたでしょ?クロエさんがパンチ1発でイノシシを吹き飛ばしたところ!!」


俺は「いや〜あはは」って感じでキースさんに顔を向ける


自分より後ろにいた人間がいつの間にか自分を追い越して、そしてオオイノシシを殴り飛ばしてたとなりゃ驚くに決まってるか



「...お姉さんが私を助けてくれたんですか?」

「うん...リナちゃん怪我はなかった?」

「はい、転んだ時に膝を擦りむいただけです...」

「それはよかった...じゃあ膝の擦り傷だけ治しておくね」


俺はリナちゃんの膝に手を添えて「ヒール」と唱える


ここまでの一連の傷を治す動作がどんどんスムーズになってるな


というよりは昔よくやっていた格闘ゲームをは久しぶりにやってみて、やってるのちに操作法を思い出すみたいな感じだな


俺なりの例えだったけど、言いたいことはこの治療行為は何回も...というより、長い間やって来たような感覚がしてくる


まるで身体が覚えてるみたいな感じで...もしかしたらゲームをプレイした時のクロエの記憶がこの身体に残っているのかもしれない


さっきのパンチもそうだ

武道など1度もやった事がないのにあの見事なパンチ


ゲーム時代のクロエという人間をオレが引き継いでいるという可能性がありそうだな


色々な可能性が見えてくる、最悪これが本当は夢っていう可能性もまだあるわけだしな...


「......出来れば、夢じゃない方が」

「クロエさん?おーい、クロエさんっ!」

「...えっ?」


顔を上げてみれば、さっきよりも人が増えていた


「すごいな、嬢ちゃん!!」

「あのオオイノシシをやるたぁ、大したもんだ!!」



俺に向かって口々に賞賛の言葉を送ってくれる


確か最初の村の村人達の平均レベルは5くらいだったよな?それでオオイノシシは確かレベル7くらいが基本で──


「──あれっ?」


突如身体の力が抜けるような感覚がし、吐き気をもよおす


だがそれも一瞬のことですぐに治まる

なんだ今の車酔いしたみたいな感覚は?特に自分の身体に異変があるわけじゃなさそうだから問題はないと思うけど



「──とにすごいよ、クロエさん!!こうだったよ、こうっ!!」



ノエちゃんがテンション高めにさっきの俺の真似をしている


周りの村人達も祭りのように騒いでいる


とりあえずなんか楽しい雰囲気だから別にいいか──







ダンッ!!!





「わはははっ!!どうだ、これで十連勝だぞ!!」

「くぅ!!嬢ちゃん、どうしてそんな細い腕からこんなパワーが出るんだ!!」



俺は10人目の村の男との腕相撲に勝利をし、高笑いをあげる



「勝ったクロエの嬢ちゃんにはもう1杯!!」

「ありがとうございますっ!!」



そしてもう何杯目か覚えてないが、俺は再びジョッキいっぱいのビールを飲む



あのオオイノシシ襲撃事件の後俺は見事の村の皆様に迎え入れられ、その晩...つまり現在俺の歓迎会が村の中心部の広場で行われている


広場の真ん中には巨大なキャンプファイヤーがたかれ、俺が殴り飛ばしたオオイノシシが丸焼きにされている



「クロエさーん!!こっちー!!」

「んお?おーおー、ノエちゃんかー、今から行くよー!!......ってわけで、おっちゃん悪いけど勝負は終わりねぇ」

「おうよ!!そんじゃ今夜は楽しんでくれよ!!」



俺は「ういーっす」と答えて、未だに少し遠くで手を振り続けるノエちゃんの元まで向かう


そして俺を呼んだノエちゃんの元にはキースさんとサナさんがいて、そしてセクハラ大魔王のログ爺さんは何故か地面に伸びていた


この爺さん、飲んでる最中に何回か村の娘さんたちの尻をもんでひっぱたかれてたからな

絶対長生きするタイプの人間だな



「クロエちゃんは楽しんでるみたいだね、ほら座って座って」

「どもども、それじゃあ失礼します」


4人が円になって楽しそうに飲んでいたところに俺も混ぜてもらい、再び酒が入ったジョッキを手を受け取り今度はおしゃべりを楽しむためにチビチビと飲んでいく


リナちゃんの姿がいないと思ったが、どうやら良い子はもう寝る時間だから家で寝てるんだとか



「私は見てなかったんだけど、本当にクロエちゃんがあの大きなイノシシを倒したのかしら?」

「本当だよサナさん!!こう、クロエさんがギュンっ!!って動いて、気づいたらズバン!!とオオイノシシを吹き飛ばしてたんだよ!!」



ノエちゃんがほぼ効果音の説明をする

さてはノエちゃんO型だな?


というか異世界の血液型ってどうなってんだろ?X型とかあったら夢がありそうな気がする


しかしノエちゃんの説明だけではやはり未だに信じられないみたいだ


そりゃクロエみたいな細身の美人さんがあんなでかいイノシシを一撃で倒したら驚きますよね




「ホントだよサナ、クロエちゃんのおかげで俺とリナは助かったんだから。クロエちゃんは本当に命の恩人だよ」

「そうだったわね!!クロエちゃん、私未だにあなたがあのイノシシを倒したなんて信じられないけど...夫と娘を助けくれてありがとう」

「あはは、いいんですよ。俺はキースさんやサナさんの家でお世話になってるんですから気にしないでください」

「本当にありがとう......おれ?」

「あ、やば......あはは、すいません。私酔っちゃうと俺ってつい言っちゃう悪い癖があるみたいなんですよ今思い出しました!!」



あぶね、「私」キャラと記憶喪失キャラを同時に潰すところだったぞ



「私はクロエさんの俺って私はいいと思うよ!!クロエさんかっこいい系の美人なんだし、それにこの村の誰よりも強いんだから今度は「俺」って言った方がいいって!!」

「いやいや、やっぱり俺は流石に恥ずかしいよ」

「そうかなー?クロエさんお酒の飲みっぷりとか...あと今も!!今もあぐらかいてる所とか見ると男の人っぽいし全然いいって」



おぅ、普通にあぐらかいてたな。言葉使いはどうにかなるが女っぽい仕草とか動作はやったな事ないな、これからはなるべく気をつけないと



「......って、ノエちゃんもあぐらかいてるじゃないか」

「別に悪いことって言ってないって、クロエさんみたいに美人だとあぐら姿も絵になるってこと!それに私はサナさんみたいにおしとやかなタイプじゃないから、こっちの方が似合うでしょ?」

「確かにうちのサナと違ってノエちゃんは快活系の可愛いって感じだから、あぐらも似合ってるかもねぇ」

「ちょっとあなた?何、若い子に色目使ってるの?」



サナさんの優しい笑顔にキースさんが「ひいっ」と小さな悲鳴をあげる

キースさんいい人なんだけど、やっぱり軟派な人の見えちゃうんだよねぇ


しかし酔っ払って素が出るのはまずいよな

でも酒を我慢するのは無理だから、そこそこ飲んで素が出ないように気をつけるのが一番だな


そしてその後も楽しく談笑してるうちにキースさんからとある話題が出た



「そういえば思ったんだけどね、クロエちゃんはやっぱり貴族の家の者だと思うんだよ」

「?どうしてですか?」

「クロエちゃんの強さがわかったからなんだけどね。あのイノシシを倒せるくらいなんだからクロエちゃんはきっと高レベルなはずなんだよ」

「レベルと貴族に何か関係があるんですか?」

「あぁ基本的に貴族の人たちはいいものを食べてるから、それが経験値になったり...あとは大金を払って凄腕のハンターなどを雇ってレベル上げをしてもらったりしてるからだよ」

「なるほど...」


確かにそんな設定もあった気がするな

基本的に「トリニティ」ってゲームは大体のNPCは仲間に出来る。物語の序盤で貴族の奴がめちゃめちゃ高レベルなんだけど、そこで「よっしゃー!」って感じで仲間にしていざバトルに使ってみると、高いのはレベルだけでスキルとか装備熟練度がカスすぎて役立たずなんだよなぁ


その理由としてはキースさんが言った通り、経験値があるものくったり、寄生でレベル上げたりしてるだけで内実本人の実力は全くと言っていいほど上がってないからな


とは言ってもこの世界じゃレベルの高さ=強さと考えるのが常識になってるから、キースさんが考えたことが間違いってことを完全に否定は出来ないんだけどな



「というわけでクロエちゃんも強いからそうじゃないかってね、ステータスカードはもう確認したかな?そこに書いてあると思うんだけど」

「あぁステータスカード......えっとここに...」



俺はスボンのポケットからステータスカードを取り出す


でも俺レベル1なんだよなぁ......




「ってあれ...?レベル5になってる」


どうしてだ?......あぁそうか、オオイノシシを倒して経験値が貰えたからだな


そういえばあいつを倒した直後に違和感みたいのがあったけど、あれがいわゆるレベルアップの感覚というわけか

ついに俺もあの感覚を味わうことになってしまったのか...テンション上がるわ



「で、どうだったかな?」

「──あっ、あぁすいません...確認しましたがレベルは5でした。貴族の線はやっぱりないかもしれません」

「そうかぁ...いい手がかりになると思ったんだけどなぁ」

「そうね、クロエちゃんがずっと記憶喪失のままというのも可哀想だし」


キースさんとサナさんが残念そうに言い合う

俺のためにそこまでなってくれるだなんて、ほんとにいい人たちだ



そうだ、この際だからお願いしてみようかな




「私考えたんですけど、私も何かここで出来ることがあればって。それで思いついたことがあるですけど...それがですね───で、───なんですけど?」

「おぉそれはいいじゃないか!」

「えぇ、みんな絶対喜ぶわよ」

「そうですか?許可とかいらないですかね?」

「んー...逆にこちらからお願いしたいぐらいのことだし...一応村長に話してみたらどうかな?ほら、あそこにいるのが村長だよ、行ってきたらどうかな?俺もついて説明を手伝うために手伝うからさ」


キースさんがお酒を飲んでる一人の老人を指さしている


そして俺は「よろしくお願いします」と言ってキースさんをお供に村長さんのところへ向かう



村長に自己紹介をして、俺の提案をすると二つ返事で了承してくれて、早速明日からやってくれと逆にお願いされてしまった


どうやらデモンストレーションで村長の腰痛を治したのが効いたみたいだ



そんじゃ明日から頑張りますか!!








「"ハイヒール"っと...はい、治りましたよ」

「あら本当に...ありがとう、これはお礼の果物ね」

「ありがとうございます。それじゃあお大事にしてください」



年配の女性は俺の隣に置いてある籠に果物を置いて立ち去っていく



「それじゃ次の人来てくださーい!!」



そしてまた俺の回復魔法治療を受けるために新たな患者さんがやって来る



これが俺が昨日の晩に提案したこと

日中やることが無かったから、なんか働ければなと思って考えついたことだ


ちなみに治療の代価はお金ではなく、食べ物や洋服などだ。簡単に言えば物々交換の延長線みたいなことだ



初めて最初のうちはみんな疑心暗鬼で人があまり来なかったが、何回かこなしてるうちに噂が噂を読んで長蛇の列になっていた




そして俺はただひたすら回復魔法をし続けた、次の日もまた次の日も


ちょっとしたささくれで来た人もいたけど、これで村の人たち全員に俺のことを知ってもらえることが出来た


この村で過ごして3日、俺はこの村で異質な存在ではなくなった


まさかこんな早くに俺の一番の目標が達成されるとは思わなかった。この仕事は俺が村に馴染むためにやろうと思ったことだからな



そしてそれから毎日...たまにリナちゃんやサナちゃんに誘われて畑仕事を手伝ったりしたけど、大体の日は回復魔法治療院を仮設テントの下で開いていた



噂は村を超えて流れ、遂には隣の村からまでも患者が来るようになっていた


この時の俺は「噂ってすげぇな」ってくらいにしか思ってなかったが、まさかあんな事態になるとは想像もしていなかった

お読みいただきありがとうございます

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