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歪み

何だかどう書けばいいか解らなくなってきました…………

「ん、ん、ん?ここであってるよな?」


 誰だよ!!少年はそう思うが口には出さない。

 というか声が出ていない。

 少年は唖然としていた。


 え、普通少年が椅子に縛り付けられてたら『大丈夫か?』とか『何があった!?』とか言うでしょ。何この人?おかしくないか?


「お、あれがドアか」


 青年は少年には気も留めず少年の近くにあるドアを見つける。


 青年の名は凪楽(なぎら)(れん)

 彼は目が見えない。

 が、その凄まじい感覚の鋭さにより常人を超えた身体能力を獲得している。

 その獲得には、視覚情報が入ってこない為常に耳、鼻、肌等をフル活用していたことも起因していることだろう。


 煉は少年の姿を捉えてはいたが、まったくもって動かないため、オブジェか何かか、あるいは死んでいる、と判断していたのである。


 煉はドアノブに手を掛け、この部屋を後にしようとする。


 と、


「おい、お前!助けろよバカこの野郎!!」


 少年が叫んだ。

 煉は目を丸くし、こいつ、喋った!?と動きを止める。

 というか、日本人か、こいつ。


「縛り付けられてんの見て解んない!?速くほどいてよ!」


 少年は足をジタバタと動かす。

 煉はやれやれといった感じで少年を縄から解き放った。


「はぁ、もうビックリしたわ!完全にスルーしてたじゃないか!」


「スマン、オブジェか何かかと」


「いやいやどうみても人間だから!あんたの目おかしいんじゃないか?」


 おいおい、それが恩人への態度か少年。


「まぁ、そうだな。目が見えないんだよ俺」


 煉のあっさりとした盲人宣言。

 その言葉に嘘偽りはない。

 だが、何事もなく普通に歩行する人物を盲人と=で結び付けるのはいくらなんでもムリがある。


「嘘つけ!」


 と少年は煉を一蹴。

 だが正直言って煉からすると

 なんでこんなに責められてるんだ俺……

 といった感じなのだが。


「まぁいいや、貴方と会うことももうないだろうし。じゃあね! 」


 少年は1人で勝手に話を終わらせると、壁にポッカリ空いた穴から外へ出ようとした。

 だが。すぐさま身体を硬直させる。

 少年は穴の前に立ち気付いた。


 外、めっちゃ暗ぇーーーーー!


 正直言って何故か部屋の中より暗い。少年は青年(煉)がどうやってここへ来たのか不思議に思う。


 まぁそれはともかく。

 少年はこのままでは多分あの瓦礫の山には戻れないし目的地(・・・)にもたどり着けず倒れるだろうと悟る。


 どうする……?


 とここで少年は煉の存在に気付く。


 今まで流れで気にしなかったが、彼は日本人だ。日本語が通じる。


 又更に暗闇の中を難なく歩き、壁を破壊する奴なのだ。

 とんでもない奴だが、頼りになる。こいつについていけば取り敢えずは大丈夫だろう。


 そう少年は判断した。


「やっ、やっぱりまだついていこうじゃないか」



 ーーーーー



 遅い……

 サルタスは何をやっている?もう戻ってきてもいいころだろうに………


 ドゥータスは苛々していた。


 ドゥータスの居る場は彼らの住居。

 といっても辛うじてマオウの隕石から生き残った小さな家で、家具も何もなくコンクリートが剥き出しの状態なのだが。

 まぁ、住民は不便さは感じていないようだ。


 ドゥータスはマフィアの総長だった。

「だった」というのは、件の隕石により構成員が激減。ドゥータス含め9人になり、最早マフィアと呼べなくなっていることがあるからだ。


 ドゥータスのもとにあった食糧は最早尽きていた。

 それでもドゥータス含む9人が生き残っていたのは、サルタスら仲間が肉を持ってきてくれるからだった。


 サルタスら3人は2時間ほど前に出ていた。いつもは30分ほどで戻って来るのだが………。

 まぁ、肉に関してはドルドの方も肉を見付けたと言っていたからいいのだが。


 ドゥータスは知らない。

 自分が死なぬ為に喰っていた肉が、人の肉であったという事実を。


 ドゥータスは仲間の身を案じた。その一番の理由としては魔物の存在が挙げられるだろう。


 魔物。生物とは似て非なる存在。

 五年前の隕石投下の後マオウは人類共通の敵を創り出す。

 それが魔物である。


 魔物は生物遺伝子を基盤(ベース)として魔力を帯びた粒子によって形作られる、宇宙の意志に反する存在である。

 魔力とは基本原子を操作するという魔法の根本的な力のことを指すが、操作する際に操作される原子は超高熱のエネルギーを纏う。そのエネルギーも又魔力と呼称されるのだ。


 その魔物の力は明らかに普通の生物の限界を超えている。

 しかも魔物はその魔力により普通の物理攻撃、現象の干渉を受けないのだ。

 あまつさえ食糧を必要とせず、死期も訪れない。生きる為のエネルギーは自らの身体を形作るものから得られるからだ。それも、半永久的に、だ。


 サルタス達には銃を持たせてはいるが、それも魔物の前では意味を成さないだろう。魔物は意味もなく人を襲う。ほぼそれだけが魔物の行動理念なのだ(つまりは低脳ということでもあるが)。

 その圧倒的な力の前に成す術なく瞬殺されることだろう。


 無事だといいが……


 ドゥータスは元々マフィア等に関わりを持つような性格ではない。どちらかと言うと温厚なほうである。

 唯親がマフィアの総長だった。唯それだけのことだったのだ。


 ふとドゥータスは左の扉を見やった。

 ドゥータスの居る部屋には扉が2つあり、もう1つは正面の扉である。正直言って寝室や出入口に繋がる正面の扉はよく使っていたが、左の扉は一度も使ったことがなかった。


 ドゥータスは疑問に思う。

 いつも肉を運んでくる時は左の扉から出てきていた。


 と、その時である。

 ドゴーーーン、という衝撃音が響き渡った。

 左の扉の方からだ。


「なっ、何だ?何があった!?」


 ドゥータスは動揺する。

 巨大な魔物でも来たのだろうか!?

 不安という感情がドゥータスの胸の内を黒く塗り潰し、突き動かす。


 確かめねば。一体何があったのか。


 ドゥータスは扉の前に立ち、扉を開いた。

サルタスら3人は煉にやられた奴らです。

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