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氷が溶ける、その日まで  作者: 海道 蓮
一章 願いを叶える力をこの手に
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今日という日

プロローグだけでは話が繋がらないと思い、一話ものせます!


ここだけでもためておいてよかった……




「飯塚!飯塚和真!!」


窓にもたれて、たそがれていた俺は乱暴に振り向かせられた。


「なんですか?」


俺ーー飯塚和真(いいづか かずま)を呼ぶ教師にぶっきらぼうに言う。


「なんですか、じゃないだろう!なんなんだ、これは?

私はサデリンの悲劇についての作文を書けと言ったはずだ。そうだろう?」

「はい、そうですね」

「じゃ、なんだこれは!!ここに書いてあるのはサデリンの悲劇じゃなくて天地戦争のおとぎ話じゃないか!?えぇ?」


俺は突きつけられた作文用紙を、軽くのぞき込むように見てから言った。


「はい、そうですね」

「そうですねって……」


俺の回答に教師は頭を抱えるようにしてわざとらしいため息をつく。


「もういい。お前は放課後補習な」

「はい、わかりました」

「……全く、他の教科は成績優秀なのに、どうしてサデリンについてだけは毎回補習を受けるような成績なんだ?飯塚」


俺はそれには答えず、また窓の方を向く。教師は返事などハナから期待していないとでもいうかのように、「明日五時半な」と言って去っていった。


「また補習か?お前サデリンのときは大変だな〜」


また後ろから声をかけられる。彼は伊崎雄一(イザキ ユウイチ)。俺の数少ない友達であり、親友の一人だ。ちなみにバカの部類に入る人間である。


「うるさいぞ雄一。お前の場合全部だろ」

「おっ、よく分かってんじゃん。さすが俺の親友だわ!」

「そんなのクラスのやつ、誰だって知ってるんじゃね?」


苦笑混じりに答えると雄一は満面の笑みを浮かべた。にしてもこいつ、二週間前に母親死んだばっかりなのによく笑ってられるよな。ま、俺が言えた口じゃないケド。

雄一の母親は最近全国各地で起こっている、光に包まれたら次の瞬間死んでいた、という謎の現象によって亡くなった。ガンを抜き、最近の死亡理由の第一位になっている。 光って死ぬことから、学者にデスライト現象と名付けられた。

この死亡理由ランキング、六位には、ある日失踪→何年か、あるいは何日、何ヶ月後に死体で発見。

という物騒な理由ものっている。どちらも俺にとってはあまり身近には感じられないものなのだが。

だけどーー

問題はその二つが、サデリンの悲劇の次の日から起きているということだ。


『サデリンの悲劇』


それは、サデリンと言う名の街で起きた怪奇現象を指す言葉である。

この怪奇現象が起きた原因は不明である。が、悲劇自体を引き起こしたのが無知な子供の仕業であるとされているため、街、村を問わず全ての学校の教育課程に組み込まれている。引き金となった子供の詳細は依然不明のままである。

怪奇現象を具体的に説明すると、ポルターガイスト現象にデスライト現象を組み合わせたようなものだ。デスライト現象と違うのは光った人はそれだけでは死ななかった、ということくらい。光った被害者たちは一斉に同じ事を口にした。

『天魔戦争が再開された。人間は滅びゆく運命にあるのか……』と。

デスライト現象を目の当たりにした被害者はこう言った。

『神の雷だ。』

『悪魔の焔だ。』

医学者たちはこれらの者の頭がおかしくなった、と捉えている。実際、被害者たちはおかしな行動を始終していた。けれども、俺は頭がおかしくなったなんて思ってはいない。天魔戦争がどうのこうのとかいうのは分からないが、神の雷や悪魔の焔には心当たりがある。というか見たことがあるのだ。


一度だけ、目の前でデスライト現象を見た。あの時、俺には光が風の刃ーーかまいたちのように見えた。当然他の人には光にしか見えなかったわけで……。だから誰にも話してない。バカにされるのがオチだ。今日は特に何もなく、明日もこんな退屈な一日が待っているのだろうと思い、俺はため息を一つついた。


でもーー

平和は突然、終わりを告げた。

いや、本当はもうとっくの昔に終わっていたのかもしれない。




ーーヤットミツケターー


次の日の登校中、声が聞こえた気がして俺は振り返った。おかしな物は何もない。いつもと変わらない、もう見飽きた道。


(気のせいか……)


毎日雄一と合流する地点に着くが、彼の姿はない。遅れるなら連絡しろよな、と思いながら俺は学校までの道のりを一人で歩いた。

俺が教室に入った途端、学校中に鐘が鳴り響く。生徒は一斉に窓から外を見上げた。中には上まで行こうとする奴もいた。この学校には、もうずっと使われていない鐘が屋上に設置されていた。それがいきなり鳴り出したのだ。簡単に鳴らせる代物ではない。そもそも屋上は封鎖されている。

誰かのイタズラとは考えられないのだ。


「何なんだ、今日……」


和真の呟きは朝の喧騒にかき消されて、誰の耳にも届かなかった。




まだまだ話は始まっていませんが、

頑張りたいと思います!

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