97話:レオ・オーベルハウザー
「いい名前だな。」
フェルナンド伯爵が口にだす。その手にはレイピアを持っている。
「君に勝ち目はない。私の兆能力『ワールド・イズ・ノット・イナフ』にはな…」
「なんだ…その兆能力は…!」
フェルナンド伯爵は聞いたことのない兆能力に、唖然としていた。
「知っていなくてよい。」
「!」
オーベルハウザーがフェルナンド伯爵に触れようとする。フェルナンド伯爵は危険を察知し、ついに最終奥義を放った。
「レベルΖ!」
すると、辺りにあったものを消滅させた。フェルナンド伯爵のレベルΖ、あらゆるものを消滅させる逆念写だ。
「レベルΖか。つくづく思う。君を敵に回すのは惜しい…」
「消滅しやがれ!」
フェルナンド伯爵は、オーベルハウザーを消滅させようとする。しかし、オーベルハウザーは消滅しない。
「!なぜだ!」
フェルナンド伯爵は焦燥している。その様子を微笑しながら、オーベルハウザーはフェルナンド伯爵に近づいた。その拳には、オーラを纏っていた。
「君は、いいマリオネットになりそうだ。」
オーベルハウザーによる壱極集中のパンチが、フェルナンド伯爵に炸裂した。フェルナンド伯爵は勢いよく吹き飛ばされる。
一方、建物の正面口では、十兵衛が戦慄していた。
「!」
「どうした?じーさん。」
「フェルナンドが…やられた…!一瞬のうちに!」
「!」
それを聞いて、周囲の人間も驚く。とりわけ、秀助はひどく動揺した。
「あの馬鹿貴族が…?」
十兵衛はしばらく黙り込んだ後、口を開いた。
「こうなったら、交戦は多少どころではなくなるな…まあいいか。」
(テレパシーでどうとでもなるからな。)
(!これは!)
そう、十兵衛が、これまでの人生で面してきた多くの苦難は、テレパシーが解決してきた。十兵衛には絶対の自信がある。
中原が心の中で呟いた。
(…ミスター・リード首都警総監...それなら、もっと早く俺たちにテレパシーのことを教えてくれてもよかったじゃないか...)
(聞こえてるからな。)
「!あはは…」
中原は、ばつが悪そうに苦笑していた。それを笑いながら見ていた十兵衛が、皆の方を向いた。
(これからは、皆離れ離れになる。だから、テレパシーで連絡を取り合おう。とはいえ、私としか連絡できないが…)
その場にいた皆が深く頷いた。それを見た十兵衛はにやっとしていた。
(よし、今のうちに分担をしておこう。川路兄弟は私に同行してくれ。諌山君、アダムス君、五郎兵衛君、智子君、久蔵君は1階を頼む。後の皆は2階だ。)
そして、十兵衛と川路兄弟は建物に向かっていくのであった。
(まずは見張りからだ!善俊君!どこかに狙撃手がいる!)
それを聞いて、善俊はビジョンジャックをした。
しばらく狙撃手を探していると、それらしき人を発見したようだ。
(いました!11時の方向!建物の近くにある小屋から狙っているようです!…妙ですね…視界をズームさせているようです。)
(!それは『ズームビジョン』だ!俺に任せてください!)
善治がそう思って、水を小屋めがけて放水する。狙撃手は思わぬ攻撃に対応できず、そのまま倒されたようだ。善俊が、命中してます!と言った。十兵衛が2人を称えている。
(すばらしい連携だ。)
2人は顔を見合わせて笑っていた。十兵衛は、待機していた他のメンバーに呼びかける。
(構成員の始末はこっちに任してくれ!皆は手分けして五味川茉莉を!さあ、潜入開始だ!)
それを聞いて、他のメンバーも走りだす。ついに、SOCIOLOGIの本拠地に侵入したのである。




