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兆兆発止  作者: ぱんろう
首都警察邁進編
9/150

9話:最後の訓練

2人が和解してからの訓練は順調であった。秀助ら4人は、誰一人として不合格になることなく、訓練の日々を過ごす。そしてついに、最後の訓練が実施されることとなった。志望者はグラウンドに集められた。そこには善信がいた。

「諸君、よくここまで残った。今日は最後の訓練だ。」

その場にいた全員が顔を引き締める。さすがここまで残ったことだけのことはある。動揺するのではなく、むしろ覚悟を決めた者の顔をしていた。

「最後の訓練は、付き添いなしのパトロールだ。どのような犯罪が起きようとも、君たちだけで解決しなければならない、責任感がとても重大な訓練だ。自信がなければ、まだ間に合う。覚悟のある者だけが残りなさい。」

もちろん去る者はいなかった。

「よろしい。それでは、各グループ上官の指示に従い、訓練を始めなさい。これは最後の訓練でもあり、首都警察官として最初の任務でもあると思いなさい。無事を祈る。」

善信の話が終わると、上官が各グループの方に向かい歩き出す。中原が秀助らのところまで来た。

「何度も聞いたと思うが、これが最後の訓練だ。とりあえずパトカーに乗りなさい。パトロールする場所は前回と同じだからな。」

4人は大きな声で返事した後、パトカーに乗り込んだ。それぞれのパトカーが首都警察学校を後にする。4人は窓の外を注意深く見る。以前中原に教えられたことを実行していたのだ。中原はうれしそうな笑みを浮かべながら、パトカーを目的地へ走らせる。

「…あいつの能力は…あれだな。あいつの能力は…多分これだ。」

「園田、うるさい。」

パトカーは目的地に着いた。以前も来た場所だ。強盗にあった銀行も見える。秀助はあの日を思い出しながらそれを見ていた。

「さあ、俺がいるのはここまでだ。あとは4人だけでパトロールするんだ。」

4人はパトカーを降りた。中原が窓から顔を出して、敬礼しながら4人を鼓舞した。

「頑張れよ!首都警察官の諸君!」

4人は同じく敬礼をし、パトロールを開始した。その間私語はない。ただ首都警察官として、周りを注意深く見回した。しばらくは沈黙が続いたが、ある出会いをきっかけに破られる。

「おや、」

「おまわりさん、」

「お勤めご苦労様です。」

以前にも会った3人組の男だった。

「どうも。」

4人は驚きつつも返事をした。

「聞きましたよ。」

「銀行強盗を捕まえたんでしたって?」

「さすがです。体が濡れずにすんでよかったです。」

そう言いながら、男たちは去っていった。歩調を完璧に揃えて。

「なあ、少し気にならないか?あの男たち。」

秀助はあの男たちを怪しむ。

「確かに変わってるけど、だからってなんでも疑うのはよくないよ。」

「違うんだ…最後の男、なんて言った?体が濡れずにって言ったよな。どういうことだ?」

「…それは銀行強盗のうち、一人が水を操る兆能力を持っていたからだ...俺が最初に気づいたんだぜ...すごいだろ...」

「そんな情報をなぜあいつらが知っている?」

「確かに…話を聞いたほうがいいかもね。」

みつねがそう言うと、善俊もしぶしぶ3人組に話を聞くことに同調した。そうして、4人は3人組の男を追いかけた。しかし、男たちが向かった方へ行くと、そこには大勢の人が歩いていた。大通りに出たのである。

「今日はかなり人がいるね…」

「あの目立つ3人組だ。きっと見つけ出せるはずだ。」

秀助らは人ごみをかきわけながら3人組を探す。そのとき、通行人Aの兆能力が発動した。針を出す能力だったらしく、数本の針が4人に飛んでいった。

「なに!?」

4人はなんとかそれを避ける。幸い誰にも当たらずに済んだ。急な兆能力の発動に4人のみならず周囲の人が注目した。

「おい!あんた!自分が何したかわかってんのか!」

秀助は通行人Aを怒鳴る。通行人Aは焦りながら、

「ち、違う!勝手に能力が発動したんだ!信じてくれ!」

と弁明した。

「ですが、正当な理由のない兆能力の使用は違反です。なにか身分証明書ありますか?」

「いや、善俊、こいつを相手している余裕はないぞ。奴らに追いつけなくなる。それに、軽い兆能力使用違反なんて、大して罰則もないだろう。」

「だが、違反は違反だ。首都警察官としてしっかりと対応しなくては。」

善俊が真面目に通行人Aを取り締まろうとする。仕方なく秀助は待つ。そのとき、今度は通行人Bの兆能力が発動した。炎を繰り出す能力で、レベル1とはいえ勢いの強い炎が4人に向かってくる。

「うわああ!」

秀助が即座にダストメイカーを発動させ、塵で防ごうとする。しかし、塵で防ぐことはできず、4人はまたも避ける。

「ご、ごめんなさい!勝手に暴発しちゃって!」

通行人Bも自信の能力が発動したことを自覚していない。秀助は混乱した。

「一体どうなっていやがるんだ!」

「…落ち着け秀助。この現象の正体がなんとなくわかった…」

「なに!?」

「…さっきの男が能力を暴発させたとき、2人分のオーラが見えた…一人は炎を暴発させた男だ…そして、もう一人…おそらくこいつは、男に触ることによって、兆能力を発動したんだ...その能力の名前は、『タッチ・アンド・ゴー』…!」

「『タッチ・アンド・ゴー』って言うと、触った相手の兆能力を強制的に発動させる兆能力だね?」

「…そうだ…何者かが俺たちを狙っているんだ…」

「一体なんのために?」

みつねが不安そうに言う。

「さあな。だが、もしかするとあの男たちが関係しているかもしれん。」

「だけど妙だね。どれだけ辺りを見回しても、彼ららしき人影は見えないよ。」

そうして話し合っているうちに第3の兆能力が襲いかかってくる。砂を操る能力のようだ。4人はそれも避ける。

「少なくとも、この状況を打破しなければな…とっしー!お前の兆能力範囲はどれくらいだ?」

「だいたい半径100mぐらいだね。それがどうかしたのかい?」

「周りの人間の視界を片っ端からジャックしろ。」

「なぜだい?」

「簡単な話だ。見えない敵は、俺たちに攻撃を当てるために、俺たちをずっと見ている。確かにこの騒ぎに注目している人間は多数いるが、俺たちをずっと見ている奴は少ないはずだ。」

「わかったよ。やってみよう。」

「場所がわかったら私に教えて!捕まえにいくから!」

善俊は目をつむりビジョンジャックを発動させる。その間、秀助がダストメイカーでゴミを集め、ある程度の攻撃を防げるように準備した。善俊は通行人の視界を次から次にジャックした。興味なさそうに通りすぎる者、兆能力を暴発させた通行人に注目する者など様々な視界があったが、確かに秀助の言うように4人に視線をやる者はなかなかいない。そんな中、

「いたぞ!みっちゃん!11時の方向だ!」

善俊は4人に視線をやる人物を特定した。みつねは人物の位置を聞いた瞬間、ワイルド・スピ―ドを発動し、その人物を捕らえに行った。果たしてその人物とは!?


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