84話:緊急招集
たった一日の間に、ほとんどのメンバーが精鋭暗殺部隊と対峙することになった。この事態を重く見た十兵衛は、2日後にメンバー全員を招集した。たった一人、病室で昏睡状態にある秀助を除いて。
「すまないな。急に集まってもらって。」
「いえ、それは構いませんが…なぜ皆を…?」
中原が聞く。十兵衛は少し間を空けて、口を開いた。
「SOCIOLOGIの本拠地に乗り込む。それを実行するときが来た。」
「!」
その場にいた全員が驚きの表情を隠せない。皆が呆気にとられていた間、十兵衛は続けて言った。
「それに伴い、フェルナンドをデイヴィッドと接触させ始めた。一週間後には、本拠地に乗り込むことができる。五味川茉莉救出メンバーの私たちは、本拠地近くの温泉街にて、本拠地襲撃のタイミングまでそこで待機だ。というわけで、今から出発だ。バスを用意してある。」
すると、みつねが口をはさんだ。
「ちょっと待ってください!しゅう君はどうするんですか!?」
十兵衛は答えた。
「秀助は、まだ昏睡状態にあるだろう?彼には無理をさせたくない。」
今度は善治が口をはさんだ。
「ですが、ミスター・リード首都警総監。彼は、重要な戦力にはなります。気にくわない男ですがね…」
「お兄様…」
十兵衛はそれにも答えた。
「それは間違いない…が、彼一人のために待つわけにはいかない。それは、敵に襲われたお前さん方ならよくわかるはずだ。」
「…」
誰も言い返すことができなかった。それぞれ精鋭暗殺部隊には苦しめられたからだ。菊千代が口を開く。
「あの、せめて最後にしゅうちゃんを見舞いに行っても…?」
「…いいだろう。だが、皆で行くぞ。」
こうして、皆が秀助のいる病院に向かったのであった。特に襲われることなく、病院に着くことができた。しかし、どうも病院内は慌ただしい。コードブルーでも出されたのだろうか、などと皆が思っていたとき、看護師が慌てた様子で声をかけてきた。
「あの!首都警察の皆さんですよね!?大変なんです!」
看護師は一息置いて言った。
「五味川秀助さんがいなくなったんです!今、手が空いている人で探しているのですが…」
「そ、そんな!昨日まで私は彼のもとにいたのよ!?」
菊千代がひどく焦燥している。それは、菊千代だけでない。
「あのゴミ野郎!どこに…」
善治は頭を抱えていた。下を向いていた十兵衛が口を開く。
「勝手にさせろ。奴がどこに行こうと、私たちの居場所や動向までは追えないさ。」
「ですが…!」
善治が口をはさもうとするが、十兵衛はバスの方に向かっていった。他のメンバーもそれに続く。みつねや善俊、雄康らは歩き出さない。それを見た十兵衛が言った。
「いいか、私にとっても不本意だ。しかし、個人の事情を考慮する余裕はないのだよ。」
十兵衛は力強く拳を握っていた。血が出るほどに。みつねたちはそれを見て、しぶしぶバスに乗り込むのだった。
遡ること一日前、人気のない夜の山奥を、一人の男が歩いていた。秀助である。しばらく歩いていると、木造の山小屋が見えた。秀助はしばらくその山小屋周辺を見回す。
「おい!誰もいないのか?」
秀助は大声を出して、誰かに呼びかけた。すると、一人の男が出てきた。
「誰だ?こんなところに…って!秀助…?」
どうやら、秀助の知人らしい。秀助はにやっとしながら言った。
「まだここに住んでいたんだな。おかげで、探す手間が省けたがな…久しぶりに会えてうれしいぜ?師匠。」




