79話:もう一人の中原
「ああ、棺に入れるんですね。」
アダムスが取り押さえたランドリューを中原に引き渡す。中原は棺を出現させ、ランドリューを入れる。そして、棺を消滅させた。
「…中原首都警部…?」
アダムスが怪訝な顔をしながら口を開いた。
「ん?どうした?」
「コフィンテイカー…解除してません…?」
「んんー?」
アダムスが続けて言った。
「棺の消滅方法は消える時間によって見分けることができます。消えるのに時間が少しかかれば、解除しない消滅。一瞬で消えれば、解除による消滅です。」
「ほう?」
中原はにやにやしながら相槌をうっていた。
「中原首都警部!なぜコフィンテイカーを解除させたのですか!」
アダムスは中原に言い寄る。すると突然、中原は棺を出現させた。アダムスは危険を察知し、中原と距離をとる。
「誰だよ…お前!」
「ふふ!」
中原はアダムスを棺の中に入れようとする。アダムスはそれをかわすが、反撃しない。
「まさか…操られているのかよ!?」
アダムスは、中原が何者かによって操られていると思ったようだ。そのため攻撃できなかった。
(中原首都警部であることは確かだ…だが、どういう兆能力だ?)
中原の攻撃をかわしながら、アダムスは突破口を見出そうとする。しかし、やはり中原を攻撃することはできない。どうするか、アダムスが決めあぐねていたとき、中原が腕にオーラを纏い始めた。
「!壱極集中か!」
アダムスは動揺した。中原はその隙を見て、壱極集中のパンチをアダムスの腹部に命中させる。アダムスは勢いよく吹き飛ばされ、近くにあった建物の壁に強く打ちつけられた。
「がはぁっ!」
アダムスは、その場で気絶してしまった。中原は再び棺を出現させ、アダムスのもとにじりじりと近寄る。そのとき、
「中原首都警部!無事だったんですね!」
善俊と五郎兵衛がやってきた。中原は棺を消滅させた。
「ああ、お前らも無事だったか。ランドリューは取り押さえて棺の中に入れたぞ。」
「そうでしたか…それより、アダムス君は…」
善俊がアダムスを心配そうに見ていた。中原は即座に答えた。
「ああ、気絶しているだけだよ。どうやら、ランドリューにやられたらしい。」
「そうですか…近くに救急車が来ていますし、そちらに運びましょうか。」
五郎兵衛がアダムスに駆け寄ろうとする。しかし、
「いや、いい。応援を呼んである。そっちに連れていってもらおう。あそこの公園に来るようにしてある。」
そう言って中原は、公園の方に向かっていった。善俊らは、アダムスを抱えて中原についていった。
一方、車で現場に向かっていた中原らは、渋滞に巻き込まれていた。
「ちくしょう!こっちは緊急車両だぞ!通せよ!」
クラクションを何度も押しながら、善治がいらいらした様子で言った。
「仕方がないわね...走って行くしかないわ!」
トレイシーがそう提案し、2人も同意する。3人は車から降り、走ってガソリンスタンドに向かっていった。
善俊ら3人は人気のない公園に着いた。日が落ちかけていることもあり、とても暗い。善俊や五郎兵衛が辺りを見回す。
「本当に、ここに応援が来るんですか?」
それを聞いた中原は、ふふ、と笑いながら振り返った。
「お前らには、ここで消えてもらおう。」
「!」
中原が棺を出現させた。
「どういうことですか!中原首都警部!」
中原は何も言わず、ただじりじりと近寄ってくる。善俊と五郎兵衛はそれに合わせるように後ずさりをする。中原が善俊らを襲おうとしたとき、どこからかナイフが飛んできた。
「!」
中原はそれをかわし、ナイフが飛んできた方向を見る。そこには、数人のタギーとNo.5が立っていた。
「よくもやってくれたな…No.4!」
「!」
善俊と五郎兵衛は中原の方を見る。No.5は続けて言った。
「よくも、私の同胞を…それに、関係のない人間も狙う、その腐り様...こうなったら、お前も標的だ!」
中原はそれを聞いて大笑いをした。
「そりゃ、ないよ。No.5。僕は、へまをした人間を粛清しただけだよ。それが、SOCIOLOGIのルールだろう?」
「SOCIOLOGIだって!?」
善俊は、思わず声を上げた。中原―その正体はNo.4―と、No.5が善俊の方を見る。
「そうだ。私たちはSOCIOLOGIの幹部だ。なぜ、教えるかって?それは、君たちを確実に消せる自信があるからだよ。」
No.5がにやっとしながら言った。
「川路さん、まずいですね…かなりまずいです…」
「ああ、僕も何がなんだか…どうすればいいんだ…この状況…」
2人は突然のことに情報の処理が追いつけず、ただ立ち尽くしていた。
「そうだよなぁ…そうなるよなぁ…でも、そうやって立ち尽くしていた方が、楽に死ねるよ。」
中原を装ったNo.4が棺を出現させ、改めて善俊らに近寄る。そのとき、炎を纏った矢がNo.4めがけて飛んできた。No.4はそれをかわし、棺の中に入れた。
「炎の矢?まさか!」
No.4は矢が飛んできた方向に目をやった。そこには、アダムスが立っていた。
「大丈夫…としちゃん、ゴローちゃん。窮地のときこそ、落ち着かなきゃ。」
アダムスは、紫色のオーラをゆらゆらさせていた。




