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兆兆発止  作者: ぱんろう
精鋭暗殺部隊来襲編
74/150

74話:屋根上の戦い

みつねはクラウチングスタートの姿勢をとっていた。

(もう恐れない…!)

みつねは2つの物めがけて急発進した。まずは殺傷力が高く小回りも利くナイフ。みつねはそのナイフに膝打ちをした。

「ぐぎゃ!」

ナイフはそのまま飛ばされ、動かなくなった。ただのナイフに戻ったのだ。

「な、ナイフ!」

配線コードが動揺していた。しかし、ナイフの敵打ちと言わんばかりに、みつねに向かっていった。

(勢いよく攻撃すれば、普通の物に戻せる!)

みつねは向かってきた配線コードに拳を当てようとした。が、配線コードはひらりとかわした。

「!華麗にかわされた!」

配線コードはみつねと距離をとる。

「おほほほほ!」

配線コードは、再びみつねに向かって飛んでくる。

(やっぱり、スピードで翻弄するしかない!)

みつねはクラウチングスタートの姿勢をとった。

「またそれか!私は、同じ手に引っかかるほど甘い配線コードではない!」

配線コードは地面を這いずり回り始めた。みつねは発進し、配線コードの側で急停止する。

「な!?急停止ができるなんて!?」

「さあ、普通の配線コードに戻りなさい!」

みつねは配線コードに強烈なかかと落としをした。それは配線コードに命中し、配線コードは動かなくなった。

「やったー!」

みつねは屋根の上でバンザイしながら言った。


「って、それどころじゃない!2人とも大丈夫かな?」

一方、宿舎は大騒ぎであった。みつねが天井を突き破ったことにより、さすがに下の階にいた首都警察官も異変に気がついた。また、取調室前にいた見張りの首都警察官が、トイレに行ったきり戻ってこないニールス&ペーターを不自然に思い、取調室に入ったのだ。本部内は軽い騒ぎになった。数人の首都警察官が宿舎に集まるが、残留思念や魂を宿した物たちが大暴れしている。

「な、なんだ、あれは!」

「ニールス。もはや逃げることは難しい。派手にやるぞ。」

「はい。ペーターさん。最大出力でいきます。」

ニールス&ペーターは残留思念と魂が宿った物をできるだけ量産し始めた。ぱたぱたと羽ばたく本、一直線に飛び回る紙切れ、ゆらゆら揺れながら大暴れしているベッド...

「おい!こいつを召喚してもいいか!?」

残留思念や物に追い詰められた久蔵が、あるカードを智子に見せた。それを見た智子は驚いた顔をした。

「あんた、それ…!」

「いいよな!?宿舎は間違いなく壊れるが、ちょうどコンクリート造にしてもらいたかったところなんだ!ちょうどいいだろ!」

「うん!わかった!」

「よし!ちなみに、責任は折半だからな!」

「うん!…え?ちょっと待って!やっぱり…」

智子を遮って、久蔵は1枚のカードを掲げた。


「ティラノサウルスを召喚!」


掲げられたカードが発光し、巨大な影が建物を破壊しながら出現した。

「お、おい!あれは…!」

「間違いない!久蔵の兆能力だ!野郎!宿舎を壊す気か!」

残留思念や物と対峙していた首都警察官がその影に目をやりながら言った。そこにいたのは、ティラノサウルスであった。

「さらに、エクイップカード『ブレス機』を発動!場のティラノサウルスに装備する!」

すると、ティラノサウルスが口から炎のブレスを吐き始めた。それは残留思念や物を燃やし尽くす。首都警察官はブレスから逃げ回る。

「まずい!逃げろ!誰か、消防を!」

ティラノサウルスの出現は、場をより混乱させた。そんな中、ニールスとペーターが見つめ合う。

「ニールス!もはや、逃げることもできない!もはや、あの手段しかない!」

「ペーターさん…あれをやるのですね…」

「そうだ!ニールス!また、どこかで会おう!」

「ええ、ペーターさん…」

ニールスとペーターは、固い握手をした。まず、ニールスが叫んだ。


「全ての残留思念さん!僕の体を乗っ取ってください!」


すると、その場にいた残留思念が、ニールスの体に向かっていく。残留思念は、そのままニールスの体と一体化していった。一方、ペーターは身につけていたモノクルに手をやった。


「愛するモノクルよ!俺の命を捧げる!万物を滅ぼす呪物と化せ!」


そう言うと、ペーターはその場で倒れた。しばらく動かなかったが、ペーターが身につけていたモノクルだけが宙に浮かび始めた。

「我が愛する肉体よ。了解した。」

モノクルはある男の手に落ちた。ニールスである。しかし、明らかに別人だ。

「さあ、ここからが真の勝負だ。」

ニールスだった男は静かに言った。


「命を賭したニールス&ペーターに捧ぐ。このホーゲル・キュルテンが…『月光遺物』による…完璧な勝利を…」


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