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兆兆発止  作者: ぱんろう
精鋭暗殺部隊来襲編
72/150

72話:恐るべき兆能力

ニールスは、改めて辺りを見回した。

「どうやら、ここにはオーラ感知機はないようですね。不用心です。」

ペーターが口を開いた。

「お前たち、なぜ私たちが兆能力を発動してこなかったか、わかるか?」

「知らねぇし、知りたくもねぇよ。」

久蔵が言った。

「それは、私たちの兆能力が恐ろしいからだ!ははははは!」

「聞いてないわよ!」

智子が怒鳴った。

「まずは、ニールス。任せた。」

「任せてください。ペーターさん。」

ニールスが立ち上がった。智子やみつねは身構える。しかし、何も起こらない。

「拍子抜けにもほどがあるわ…」

智子がほっと一息ついたとき、

「ひっ!?」

腰を抜かした。みつねも同様に腰を抜かす。

「ねぇ、遊ぼうよぉ。」

「熱いなぁ。熱いよぉぉぉぉぉ。」

「!」

久蔵が辺りを見回すと、そこには多くの人々?が漂っていた。やけに遊びたがる子ども、熱がっている女性、ふらふらと動き回っている男性...

「負の残留思念を具現化するという兆能力、『ケアレス・キャスパー』か!」

「ひぇぇ、あれって首都警察宿舎七不思議の一つ、燃える幽霊だぁ!」

智子がかなり怯えていた。久蔵がため息をつきながら言った。

「あれは所詮、残留思念だ…驚かせるだけで害はない。」

「ケアレス・キャスパーへの認識が甘いですね。それはレベル2までの話です。」

残留思念の一つ、やけに遊びたがる子どもが久蔵に近づく。

「ねぇ、遊ぼうよぉ。」

「遊ばねぇよ!」

久蔵は子ども相手でも容赦なくすごむ。

「あっちでピコピコでもやってな、ガキが。」

「遊ぼうよぉ。遊べよぉぉぉぉぉ!」

子どもの残留思念が、黒いオーラを発し、そのまま久蔵に飛びかかっていった。

「躾が必要だな。」

久蔵がその子どもにキックを当てようとするが、すり抜けた。

「!」

「残留思念ですよ。触れられるわけがないでしょう。」

ニールスがにやっとしながら言った。久蔵のキックをすり抜けた残留思念は、そのまま久蔵と一体化した。そう、取り憑いたのである。久蔵はすとんと肩を落とした。

「久蔵君!」

腰が引けていたみつねは、なんとか立ち上がり、久蔵のもとに駆け寄ろうとした。しかし、ナイフを持ったペーターがそれを阻む。

「君の相手は、俺だぜ。」

ペーターは、持っていたナイフを手から放した。ナイフは落ちることなく宙に浮いている。ナイフはそのままみつねに向かって飛んでいった。

みつねはそれをかわすが、飛んでいったナイフは踵を返して再びみつねの方に向かっていく。

「かわすんじゃねぇぇ!」

「ひぃ!?」

突然ナイフが喋り始めた。

「俺の役割はものを切り裂くことだ!その役割を果たすために、お前は切り裂かれるものとしての役割を果たせぇ!」

ナイフが再びみつねに飛んできた。みつねは、それをかわすのではなく、柄を掴んで受け止めた。が、

「放せぇぇぇ!きええええええ!!」

ナイフが縦に回転し、みつねの手を切った。みつねは痛みに耐えられず、手からナイフを話した。

(なにこれ!?物に魂を宿しているの!?)

「みつねちゃん!それは、物に魂を宿す『付喪神(つくもしん)』!物にうかつに触れたらダメだよ!」

智子が周りの残留思念から逃げ回りながら言った。智子は久蔵の方に駆け寄る。久蔵は、未だ立ち尽くしていた。

「あんた!しっかりしなさい!」

智子が久蔵の肩に触れようとしたとき、

「ひぃーはっはっははは!久しぶりの肉体だぁ!」

「ひぃ!」

久蔵は明らかに人が変わっていた。子どもの残留思念に、意識を完全に乗っ取られたのである。

「せっかくだし、こいつの兆能力で遊ぶぜぇぇ!」

久蔵?は青色のオーラを発した。すると、カードの束が出現する。

「なんだぁ?これ。」

「まずいわ!かなり!」

智子が久蔵?から距離をとった。

「トランプですかね?試しに引いてみればどうですか。」

ニールスが冗談まじりに言った。それを聞いた久蔵?は、カードを引こうとした。

「トランプはソリティアに限る!キャンフィールドでもやるかなぁ!」

「ダメ!引いちゃダメ!」

智子の制止に耳を貸さず、久蔵?はカードを引いた。

「は?なんだこれ?」

カードには、恐竜の絵が描かれていた。

久蔵?が恐竜の絵が描かれたカードをしばらく見ていると、そのカードが突然発光した。久蔵?はそのまぶしさに思わず目をつむる。発光が収まり、久蔵?は恐る恐る目を開ける。

すると、カードに描かれていた恐竜が出現しているのが見えた。


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