66話:敵襲
「!」
秀助はそれをなんとかかわそうとしたが、菊千代をおぶっていたこともあり思うように動けない。少しかすってしまった。
「ちっ。やっぱりこのばーさん邪魔だな。」
ぼそっと呟いた。そのとき、
「誰がばーさんだ!」
菊千代が再び目を覚ました。
「ばーさ…諌山首都警部!敵です!」
菊千代は完全に目が覚めたようだ。秀助から離れて、臨戦態勢になった。男は再び姿を消している。
「気をつけてください!相手は姿を消します!」
男が再び姿を現した。今度は秀助の頭上だ。
「狙いは俺か!」
秀助は男のナイフを再びかわす。攻撃に失敗した男はまたもや姿を消す。
「『霧隠れ』ね!一時的に姿を消すことができる兆能力よ!」
菊千代が呂律の回らない口で言った。菊千代は兆能力を発動させようとしたが、
「あらっ。」
その場で転んでしまった。
「諌山首都警部!くっ!そこか!」
菊千代は笑いながら言った。
「ごめん!ごめん!転んじゃった!てへぺろりん♪」
ただ足がもつれただけであった。秀助はいらっとして、いらないことを言ってしまった。
「もういい!ばーさんは引っ込んでろ!」
その発言に、菊千代はかちんときた。
「誰がくそばばぁだって!?」
「そこまで言ってねぇよ!」
菊千代は秀助に殴りかかろうとした。が、そのパンチは偶然にも、秀助の背後に現れた男に命中した。
「ぐはぁっ!」
男はそのまま吹き飛ばされて、気絶した。
「助けられた...ありがとうございます...」
秀助はしばらく呆気にとられた。これで危難は去った…と思ったそのとき、
「きゃぁっ!?」
菊千代が突然、何者かに後ろから襲われた。黄色いスカーフで首を絞められている。
「くそっ!もう一人いたのか!それも、同じく霧隠れの!」
秀助はその辺に落ちていた缶ゴミをいくつか宙に浮かべ、それを男めがけて発射した。菊千代にもぶつかるのだが、お構いなしだ。ていうか、菊千代の方がゴミを多くくらっていた。
「ぐぇ!」
「きゃぁぁ!」
男は菊千代から離れて姿を消そうとする。秀助は、すかさずワンウェイ・リユースで缶ゴミを引き寄せた。それは男の後頭部に命中して、男はそのまま倒れこんだ。
「ちょっと!もう少し気をつけて攻撃しなさいよ!」
「すまん。でも、仕方がなかったんだ。」
秀助が笑いながら言っていたとき、後ろから男が現れた。菊千代はそれに気がつき、秀助に向かって叫んだ。
「しゅうちゃん!後ろ!」
ぐさっ
「え?ごふっ!」
カットラスが秀助の腹を貫いた。秀助は血を吐きながら、その場に倒れ込む。
「しゅうちゃん!?」
そう、霧隠れを使う男はもう一人いたのだ。
秀助は、なんとか意識を保っていたものの、立ち上がることができない。男は姿を消していた。
「どこに行ったのよ!出てきなさい!」
菊千代が辺りを見回しながら言った。しかし、姿を現さない。菊千代は、秀助の方に駆け寄ろうとする。
「近寄るな!」
「!」
秀助は、そんな菊千代を静止した。
「聞こえなくなる…静かにしてくれよ…」
菊千代は秀助の発言を理解できていなかったが、じきに理解した。秀助の辺りに紙屑がしかれていたのである。
(見えないときは、聞けばいい…紙屑を踏んだ音で見つけ出してやる…ふふっ、とっしーと戦ったときを思い出すぜ…)
秀助は大怪我を負っていながら、善俊との戦いを思い出し、笑った。そのとき、秀助の頭上に男が現れた。
「紙屑を飛び越えたのね!なんて跳躍力なの!」
菊千代は兆能力を発動しようとした。しかし、
「そうくるだろうと思ってたさ…」
秀助はにやっとしながら言った。すると、辺りに落ちていた缶ゴミを、男めがけて発射させた。
「!」
「負けだ!お前の!」
缶ゴミは男の頭部に命中する。意識を失った男は、そのまま地面に叩きつけられた。
菊千代は辺りを見回している。しかし、敵が襲いかかってくる様子はない。どうやら、さっきので全員倒したようだ。倒された3人の男たちは、燃え始めていた。
「...SOCIOLOGIの人間ね...話には聞いていたけど、むごいわ...」
菊千代は秀助の方を見る。秀助は意識を失っていた。
「しゅうちゃん!」
菊千代は秀助のもとに駆け寄るのだった。




