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兆兆発止  作者: ぱんろう
精鋭暗殺部隊来襲編
65/150

65話:強くなりたい

十兵衛はしばらく辺りを見回していたが、一人料理を箸でつついていた秀助を見つける。十兵衛は飲み物を注文して、秀助のもとに向かっていった。

「おやおや、諌山君が酔いつぶれてしまったんだな。」

苦笑いしながら十兵衛は秀助の側に座った。

「じーさん、こんな人が俺のペアなんて…とても不安なんだが…」

秀助が酔いつぶれた菊千代を見ながら言った。

「彼女は首都警部でもかなりの腕利きだよ。君たちの同期2人分の働きができるさ。」

「だとしてもだな…」

秀助は黙り込んだ。十兵衛は、到着したビールを勢いよく飲んでいた。

「なあ、じーさん。」

「ん?」

秀助は口を開いた。


「レベルΖ(ゼータ)はどうやったら取得できる?」


「!」

十兵衛は、ジョッキをテーブルに置いた。

「そうか…やはり、あのとき、フェルナンドは使ったんだな?それを…」

「ああ…」

十兵衛はビールをぐいっと飲み、ジョッキを空けて言った。

「秀助、レベルΖ(ゼータ)のことは忘れろ。」

「忘れねぇ。あれは、おふくろを助けるために...そして、仲間を守るために、絶対に必要な力だ。俺はそう直感した。」

秀助は食いさがらなかった。十兵衛はビールのおかわりを注文しながら、言った。

「秀助、合宿の座学で、兆能力の使用が制限されるようになった歴史を学んだよな?」

「ああ。江戸時代に突如出現した兆能力…最初のうちはもっぱら悪用されていた。さらには、2度の世界大戦が勃発した。兆能力によって、格差や差別もひどかったんで、それの使用を制限しようとする動きがでてきたってやつだな。」

「そうだ。しっかり勉強しているじゃないか。レベルΖ(ゼータ)は、2度目の世界大戦時、米軍によって生み出された。あまりの強大さゆえに、世界大戦が終わると即座に、レベルΖ(ゼータ)は闇に葬られた...つまり、現在において、タブー中のタブーなのだよ。」

十兵衛はおかわりのビールをぐびぐび飲みながら、続ける。

「私はこれまで様々な兆能力犯罪に向き合ってきた。ときに、私でも苦戦した者は腐るほどいる。そんな私でも、知っているレベルΖ(ゼータ)の取得者は、3人だけだ。」

「!」

「私も知らないのだよ。それを取得できる方法が…」

十兵衛は再びビールをおかわりしながら言った。それを聞いた秀助は下を向いた。

「なにも、レベルΖ(ゼータ)だけが強くなる方法じゃないさ。」

十兵衛は到着したビールを飲んで言った。それから秀助は口を開かなかった。


そうこうしているうちに、お開きの時間となる。秀助は、酔いつぶれた菊千代を抱えて、レストランを出る。

「秀助、諌山君を送ってやりなさい。家はここだ。」

菊千代の家を教えて、十兵衛は本部の方に帰っていった。秀助は菊千代の方を見る。

「諌山首都警部、起きてください。帰りますよ。」

返事はない。それから何度も呼びかけるが、やはり返事はない。次第にいらいらするようになり、

「おい!ばーさん!起きてくれよ!」

とつい叫んでしまった。すると、

「誰がばーさんだってぇ?」

と、菊千代が面相を変えて返事をした。

「いやっ。あっ、あのお開きになったんで帰りましょう。一人で立てますか?」

「ふふふ。」

菊千代が少し笑った後に、言った。

「立てなーい。だから、おぶって?」

菊千代はあざとく言った。秀助は、かなり引いたが、さすがに酔っている女性に無理をさせるわけにはいかない。仕方なく、菊千代をおぶっていくことにした。

「あらまぁ」

伊里がにやにやしながら見ていた。秀助は、他人の視線から逃れるようにその場を後にするのであった。

菊千代をおぶってしばらく歩いていると、人の気配がした。秀助はばっと振り返る。しかし、誰もいない。秀助は中原が襲われた話を思い出した。まさか、自分のところにも?と警戒しながら、辺りを見回す。すると、後ろからナイフを持った男が襲いかかってきた。

「!」

男はターバンを巻いている、インド人であるようだった。秀助はなんとか男のナイフをかわす。

「おい!諌山首都警部!起きてください!」

菊千代は起きる様子がない。仕方なく、おぶった状態で応戦することにした。

(とはいえ、こいつできるな。)

男は秀助の目の前で姿を消した。

「!姿を消した!」

秀助は、いつどこから襲われてもいいように、塵を集め始めた。すると、後ろから男がナイフを突き立ててきた。


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