48話:人形の逆襲
鳥山は高いところから善治を攻撃し続ける。善治はそれをかわしながら、涙でできた塊を鳥山めがけて投げつけるが命中しない。
「狙いが定まってねぇなぁ!下手くそ泣き虫!」
「てめぇ!こうなったらティアドロップで!」
善治の発言を聞いて、No.11と戦っていた善俊が驚きながら言った。
「それはやめてください、お兄様!皆も巻き込んでしまいます!」
「うるせぇ!そうでもしないと、あいつちょこまか逃げるんだよ!」
鳥山は相変わらず善治の頭上を飛び回っていた。
「落ち着きなさい!」
怒声を聞いて驚いた善治は、トレイシーの方を見た。そのトレイシーは力を込めていた。
「見てなさい。あの鳥を落下させるわ。」
すると突然、鳥山が心臓を抑えながら落下していった。ついには地面に衝突し、そのまま失神していた。
「まさか!他人の心拍を探知でき、さらには自在に操ることができる『傷心者』か!ビリビリ男をやったのもお前だな!」
複数いる内の、No.11の一人が言った。
「そうよ。よくわかったわね。レベル2だから、何度も使えるもんじゃないけど。」
「とんでもないのが味方にいたもんだな…」
一方秀助は、一刻の人形とNo.11、2人を相手にしていた。
「あのー、その心拍操るやつ、あの人形使いにもやってもらえます!?この人形鬱陶しいんですけど!」
「ごめんね。インターバルが必要なの。もう少し頑張って!」
トレイシーは申し訳なさそうな顔をしながら言った。秀助はため息をつきながら、狙いを人形に変えた。
「おい、泣き虫野郎!この巨漢の相手してくれ!」
秀助は善治に頼み込んだ。
「おい!?頼み方ってのがあるだろ!つーか、やめろ!その呼び方!」
秀助の頼み方にイライラしながらも、秀助と戦っていたNo.11の方に向かっていった。No.11もそれに気がつき、善治の方に向かっていく。
秀助は人形を睨む。
「さあ、もう一回ばらばらにしてやるよ。」
人形は剣を振り回しながら、秀助に近づく。秀助は荒ぶる剣をかわしながら、塵を集める。
「ふははははは!そんなもので攻撃できると思うのか!?」
一刻は笑いながら人形を操っている。秀助も同様に笑う。
「ふふふふ。そうだな。普通に攻撃すればな。」
秀助は四次元ゴミ箱を出現させ、塵をそれに入れ始めた。そして、そのまま塵を取り出して発射させた。飛んでいった塵は燃え始め、人形にぶつかっていった。
「ふははははは。無駄だ!」
人形は燃えなかった。ぶつかった塵はそのまま地面に落ちていく。
「どんな人形だよ!」
秀助は動揺した。燃えるゴミが通用しない!その間にも、一刻の人形は変形し、車状態になった。そして、秀助を追いまわし始める。逃げ惑う秀助、追いかける人形、他の皆がNo.11と戦っている中を駆け回っていた。
「おい、ゴミ野郎!なにやってんだ!」
善治が涙を流しながら言っていた。
「借りるぜ。」
「あ?」
秀助はそう言うと、人形の方を見た。人形は変わらず秀助に向かってくる。目前まで迫ったとき、秀助はゴミを人形にぶつけた。それは、善治が落とした涙の塊であった。塊は人形に大打撃を与え、動きを止めることができた。
「う、嘘――!」
秀助はそのままワンウェイ・リユースで塊を引き寄せ、再び発射した。一刻にめがけて。
「かはっ!」
塊は一刻の腹部に命中し、そのまま倒れた。これで、大会参加者勢は全員倒した。
「残るはNo.11、お前だけだ!」
秀助は、あちこちにいるNo.11に次々と指差す。No.11は笑いながら口を開いた。
「まるで、勝利宣言のようだが、本番はこれからだ!」
なんと、No.11の分身が増加し始めたのである。増加した分身は6体、No.11は本体含めて全部で10人となったのだ。
一方、十兵衛は走って会場に向かっていた。後ろからデイヴィッドが来ているのがわかったが、それどころではない。今はみつねの安全第一である。ようやく会場に着き、辺りを見回した。あらゆる場所が崩壊している。実況や解説さえも姿を消していた。ふと会場の真ん中に目をやると、一人の人影が見えた。
それは、間違いなくフェルナンド伯爵であった。
側には、みつねが傷だらけになって倒れていた。
「みつね君…!」
十兵衛は絶句した。




