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兆兆発止  作者: ぱんろう
兆能力ファイトクラブ編
45/150

45話:緊急アナウンス

飛び降りた秀助は考えた。何か助かる方法はないかと。塵芥雲を再び作ろうにも、塵を集めるのには時間がかかる。四次元ゴミ箱の中はほとんど使い果たした。どうしようもないかと思っていた秀助に、あるものが目に入った。

「あ、あれは!」

それは、ドラゴンが登場する際に破壊した建物の残骸であった。

「今の俺なら扱えるはずだ!」

秀助はその残骸を引き寄せようとした。すると、残骸は次々に秀助の方へ飛んでいった。

「よし来た!」

秀助はその残骸に飛び移り、なんとか近くにあった建物に着地した。

「あんな距離でも引き寄せることができるのか…!さすがレベル3だ!」

ドラゴンは秀助の方に向かってくる。

「おっと、まだ追ってくるのか?しつこい奴め。」

秀助は引き寄せた残骸をドラゴンめがけて発射した。いくつかはドラゴンの稲妻によって破壊され、またいくつかはドラゴンの横を通り抜けたが、それでもほとんどの残骸は命中した。

「ぐぉぉぉぉ!」

ドラゴンはしばらくの間、痛みに悶えていたが、そのうち盛り返した。再び秀助に攻撃しようとする。

「ふっ。主に似て頭が悪いな…ゴミが戻ってくるとは思わなかったのか?」

ドラゴンの後ろから、先ほど命中せず通り過ぎた残骸が飛んできた。それはドラゴンの後頭部に命中。ついにドラゴンは倒れた。

『なんてことだぁぁぁ!しゅう君!ドラゴンをやっつけたぞぉ!』

実況が興奮していたが、会場は相変わらず阿鼻叫喚の嵐であった。城の登場により多くの死傷者が出ており、さらにはドラゴンの攻撃に巻き込まれた人まで現れたのである。そのとき、アナウンスが流れた。


「会場の皆さまにお知らせします。ただ今の戦闘に多くの観客が巻き込まれ、大変混乱をきたしております。マリアンヌを始めとして、治癒能力を使えるスタッフを動員しますので、すみやかにご避難ください。」


それを聞いて会場の観客が歓喜の声を上げた。

「聞いたか!?マリアンヌが治療してくれるぞ!」

「この人も治してくれるよな!?早く行こうぜ!」

城が登場した時点で数人が避難していたが、試合見たさに多くの観客が大怪我を負いながらも残っていた。しかし、マリアンヌの治療と聞いて、考えを変えたのである。多くの観客が避難し始めた。

「マリアンヌ…!おふくろ!」

秀助もアナウンスを聞いて観客についていこうとする。母に再会できるチャンスである。試合を放棄してでも行きたいと考えたのだ。

「待て!どこに行く気だ!」

それを、どこからともなく現れたフェルナンド伯爵が引き止めようとする。秀助は走りながら答えた。

「決まってんだろ!おふくろに会いにいくんだよ!」

「俺との試合はどうした!」

「おふくろのことに比べれば、お前との試合なんてどうでもいいんだよ!お前の勝ち!あんた勝者!」

「なんだと…!?」

フェルナンド伯爵は声を震わせていた。その瞬間、秀助めがけて砲弾が飛んできた。城に設置されていた大砲を、フェルナンド伯爵が起動させたのである。

「!」

秀助はそれをかわすことができそうになかった。どうしようもないと思ったそのとき、秀助は姿を消した。フェルナンド伯爵が辺りを見回す。

「!なんだ!どこに行った!」

秀助が再び姿を現した頃、秀助の側にもう1人の人物が立っていた。

みつねである。

「しゅう君!大丈夫!?」

「みっちゃん!なぜここに?じーさんたちを探しに行ったんじゃ…」

「うん…でも、会場が大変なことになっているから来てみたの…そしたらしゅう君に砲弾が迫っていたから…」

「みっちゃん…ありがとう…!」

秀助はみつねに心の底から感謝した。そして、

「アナウンス聞いたか?俺のおふくろに会えるかもしれねぇ。」

「うん!ここは任せて!時間稼ぎならできる!」

「すまねぇ…だが、その前に、これだけはやらせてくれ…」

「え?」

秀助はそう言うと、力を込め始めた。すると、先ほど倒したドラゴンが宙に浮かび始めた。

「!」

「ゴミってのは人間にとって不要なものだ…今そこでぶっ倒れているドラゴンは不要かつ有害極まりないんだよぉ!」

秀助はそのドラゴンをフェルナンド伯爵めがけて発射させる。フェルナンド伯爵もこれには対応できず、ただ逃げるだけであった。

「それじゃあ、あとは頼む!すぐに戻ってくるから!」

「うん!」

そう言って秀助は、観客の中に紛れ込んでいった。母に会うために。

「どこに行きやがったぁぁ!」

フェルナンド伯爵はドラゴンを消滅させながら言った。

「もうここにはいないよ。今からは私が相手だよ…!」

みつねが覚悟を決めた顔で言った。

「なにぃ?…よく見ればお前、昨日俺に怖気づいて降参していた女じゃないか…」


「ここからはエキシビションマッチだよ!」


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