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兆兆発止  作者: ぱんろう
兆能力ファイトクラブ編
41/150

41話:世界三大兆能力者

誰が言い始めたのか、ハンフリー・デイヴィッド、フランツ・アウステルリッツ・フェルナンド伯爵、ミスター・リードこと平塚十兵衛の3人を、世界三大兆能力者と呼ぶようになった。

それぞれ、目まぐるしい活躍をしていた。デイヴィッドは俳優として人気を集めながらも、慈善事業で多くの人々を救った。どういうわけかSOCIOLOGIに所属しているが。フェルナンド伯爵は兆能力者としてひたむきに技術を高め、様々な兆能力の世界大会で名を挙げてきた。ミスター・リード―大勢の人間はその名を知るのみで、本名や姿を知らない―は、首都警察のトップとして、これまで多くの兆能力犯罪を解決してきた。その活躍は日本にとどまっていない。しかし、彼ら唯一の共通点であり、世界三大兆能力者と称される最大の理由がある。

それは、兆能力の知識量であった。

「フェルナンド。本人以外の人間が、『コフィンテイカー』からものを取り出すにはどうすればいいと思う?」

「そんなこと聞かなくてもわかってるだろう。本人を殺さない程度にぶちのめせばいい。瀕死状態になると棺のコントロールができなくなるからな。」

(嘘だろ…!なぜコフィンテイカーだとわかった!)

中原はつい顔に出してしまった。デイヴィッドが、すかさず中原を指差す。

「そこのお前、なぜわかったという顔をしているな。なに、簡単な話だよ。異次元に転移するといっても、ものを取り出すためには三次元のスペースが必要だ。こんな狭い通路でそれをできるのは、コフィンテイカーだけだ。」

フェルナンド伯爵が付け加える。

「ダストメイカーの四次元ゴミ箱など、狭い通路で使えるものは他にもあるが…人一人を収容するとなると、コフィンテイカーぐらいってのもあるな。」

(…すごい…これが世界三大兆能力者の知識か…)

雄康が感心してしまうほど、彼らの兆能力知識は並外れているのである。

「デイヴィッド、わけは知らないが、この男の棺から何かを取り出せばいいんだな?」

「ああ。女だ。」

2人がじりじりと距離を詰めてくる。追い詰められた中原は言った。

「いいのか!?それ以上近づくとコフィンテイカーを解除するぞ!」

他の4人が中原を守るように取り囲んだ。中原がコフィンテイカーをいつでも解除できるように。

「とはいえ。ダメですよ!中原首都警部!その女性はしゅう君の…」

「今そんなこと言ってられっかよ!」

「フェルナンド、取引をしよう。」

十兵衛はフェルナンド伯爵に声をかけた。

「お前さんの目的はこの私だろう?」

「そうだ。お前とは前から戦ってみたいと思っていたんだ。だが、お前はいつも俺の誘いをのらりくらりかわしてきた。」

フェルナンド伯爵は怒りで声を震わせながら言った。

「その誘いに乗ろうじゃないか。」

「!…本当か!」

フェルナンド伯爵は顔色を変える。

「ただし、あのデイヴィッドを捕まえたらだ。そうすれば、明日にでもやってやる。」

フェルナンド伯爵はデイヴィッドの方を向いた。そのまま念写でロープを出現させ、それでデイヴィッドを捕えようとする。

「お前、あいつの言うことを信じるのか?今日じゃなく、明日と言ったぞ?今までのらりくらりかわされてきたんだろう?」

「!」

フェルナンド伯爵は十兵衛の方を向いた。

「おいおい待てよ、フェルナンド。私がそんな男だと思うかい?」

フェルナンド伯爵は、自分の誘いを断ってきた過去の十兵衛を思い出す。怒りに震えたフェルナンド伯爵は、ロープを操る。中原を囲んでいた4人の間をくぐり抜け、ロープは中原の首を絞め始めた。

「ぐっ…」

「中原君!やめろ!フェルナンド!」

フェルナンド伯爵はやめようとしない。むしろロープをますます締めつけていった。

「コフィンテイカーを解除させたくなければ、本人にその隙を与えなければいいだけだ。」

中原はしばらく苦しんでいた。そのうち、いくつかの棺が登場し、ぱかぱかと開いていった。いくらかの棺が開いた後、ある棺から五味川茉莉が飛び出してきた。

「まずい!」

善俊が茉莉を受け止めようとするが、受け止められなかった。茉莉が空中に浮き始めたのだ。

「…これは…!」


「『サイコキネシス』!」


茉莉が浮いたのには、デイヴィッドが関わっていた。ハンフリー・デイヴィッドの兆能力は、『サイコキネシス』であったのだ。ダストメイカーがゴミを操るように、ものを宙に浮かべ、操る兆能力は多く存在する。しかし、あらゆる万物を自在に操ることができるのは、このサイコキネシスのみである。

サイコキネシスによって、茉莉はデイヴィッドに引き寄せられ、ついにデイヴィッドの手に渡った。その隙に、フェルナンド伯爵は5人をロープで縛りあげた。

「よくやった。フェルナンド。No.11!」

「お、終わった?」

デイヴィッドに呼ばれ、物陰に隠れていたNo.11が顔を出した。

「こいつらを連れていけ。特等席にな。」

「ああ、わ、わかった。」

No.11が5人を連れていこうとする。それをフェルナンド伯爵が止める。

「せめてリードは置いていけ。」

「まあ待て、フェルナンド。こいつには見せたいものがあるんだ。それが終わってからでもいいだろう?」

No.2は茉莉を、No.11は5人を連れてどこかに去っていった。フェルナンド伯爵はもどかしい気持ちになりながら、その場を後にするのであった。


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