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4話:合宿初日その2

「さて、あとはそれぞれのグループに現職の警察官が向かう。それぞれで挨拶を終えたら、今日は解散だ。」

そう言って、善信はその場を去った。引き換えに、数人の警察官がそれぞれのグループに向かって歩いている。とてもテキパキとしており、まさしく模範となる存在にふさわしかった。秀助らのグループにも一人の警察官が近づいてきた。

「よう、俺の名前は中原だ。中原尚王(なお)警部補だ。よろしく頼む。」

「「よろしくお願いします!!」」

秀助と善俊は即座に大きな声で挨拶をした。しかし、あとの2人はそれができなかった。中原はそれを逃さなかった。

「おい。お前ら、なぜ挨拶をしない?」

「あ、すみません…よろしくお願いします…」

「…よろしくお願いします…」

2人は中原に言われて挨拶をした。

「いいか。首都警察官として大きな声での挨拶は大切だ。大きな声が出せることってのは有事の際にも重要になる。それは覚えておけ。」

「「はい!!」」

秀助と善俊は大きな声で返事をした。あとの2人はそれができなかった。中原はそれも逃さなかった。

「返事もそうだぞ。」

「あ…すみません…はい。」

「…はい…」

2人は中原に言われて返事をした。

「おいおい、他の警察官だったら不合格にしてもおかしくないぞ…まあ、俺もそこまで甘くないつもりなんだがな…まあいい。とりあえずそれぞれ自己紹介して、今日のところは解散としよう。それじゃ、お前、名前と志望動機は?」

そう言って善俊を指さした。

「はい!私の名前は川路善俊です!父のような警察官になりたいと思い志望しました!」

「そうか。君が善俊か。まあ、川路警視正のご子息だからといって贔屓しないがな。よろしく。それじゃ、次、お前。」

次に指をさされたのは人見知りの女であった。


「は、はい!私は三島みつねです!子どもの頃に、ある首都警察官に助けられて、その人のような首都警察官になりたいと思い志望しました!」


「いい名前だな。声はもう少し大きくするように。よろしく。んじゃ次、お前。できるだけ大きな声で頼むよ。」

無表情の男であった。


「はい!私の名は園田雄康(たかやす)です!子どもの頃から憧れの職業で、それで志望しました!」


意外にも大きな声で自己紹介ができている。これには中原もあっけにとられた。

「なんだ、やればできるじゃねぇか。その調子で頼むよ。よろしく。最後、お前だ。」

そう言って秀助を指さした。

「はい!五味川秀助です!ある老人になれって言われました!」

「誰だ?そいつは?」

「はい!十兵衛という方です。」

「ほう。その人とお前はどういう関係なんだ?」

「助け、助けられた存在です。あ、もちろん俺が助けた側です。」

「そうか…それにしてもなんか聞いたことのある名前だな…」

「!」

秀助は訝しげな表情を浮かべた。

(現職の警察官にも認知されていないのか…レベル3だし警察の間では名が知られてるのかと思ったんだがな…あのじじぃ、何者だったんだ?同様に、おふくろのことも知らないらしい。警察関係者なら全員認知しているのかと思ったが…)

「まあいいや。今日のところはこれで解散だ。部屋に戻って、明日に備えてゆっくり休め。部屋は203号室と204号室だ。男女別々のほうがいいだろう?」

「は、はい!ご気遣いありがとうございます!」

「部屋のクローゼットに制服が入っている。午前の授業なんかはそれを着て参加するように。それじゃ、解散。」

最低限の連絡をして、中原はあっという間にどこかへ行ってしまった。

「ふぅ…最初の説明会でこんなに疲れるものかね。まあ、他の人より甘そうな人が付き添いでよかったな。」

秀助は疲れをあらわにしながらそう言った。確かに周りを見ていると、不合格認定されたと思わしき人が数人いた。

「さて、俺たちは部屋に行こうぜ。明日から大変だろうしな。」

秀助らは寝泊りをする部屋に向かった。そこでみつねと別れて男組は203号室に入った。部屋は風呂もトイレ、テレビまでもついており、まるでホテルのようなきれいさであった。1つの部屋につき3つのベッドが用意されていた。

「おいおい。警察学校って厳しいイメージがあったんだが、こんないい部屋で寝られるのか。」

秀助は目を輝かせていた。いや、その場にいた全員がしばらく目を輝かせていた。しかし、全員疲れていたのか、特に会話を交わすことなく眠りについた。明日からの訓練に備えて。


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