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兆兆発止  作者: ぱんろう
兆能力ファイトクラブ編
34/150

34話:レベル3への道

眠っていた秀助であったが、ついに目を覚ます。しかし、辺りを見回しても女性の姿はない。秀助が横たわっていたベッドの横にはもう1つのベッドがあったが、そこには誰も横たわっていなかった。秀助は体を起き上がらせ、ベッドから降りる。しばらく部屋の中を見回していたが、いずれ部屋を出るためドアに向かおうとした。不思議なことに体が動くのである。あれだけ大やけどを負っていたのにも関わらずだ。部屋を出ると、一人の男が壁に寄りかかって立っていた。マスクマンである。

「よう、目が覚めたようだな。」

「マスクマン…」

「驚いたよな。あれだけの傷がきれいさっぱり無くなっている。痛みもだ。いろいろな治癒能力で傷を治療してもらったが、ここまでのは初めてだ。」

「ああ。俺もだ。こんな気分は、子どもの頃を…」

秀助は少し考えこんだ。しばらく考えこんだ後、

「誰が治療していたか、顔を見たか?」

とマスクマンに尋ねた。

「いや、見てないな。気分が良くてずっと寝ていたよ。」

「そうか…」

秀助はその場を去ろうとした。

「まあ、待てよ。」

マスクマンがそれを呼び止める。

「お前、レベル3になる方法を知っているか?」

「!」

秀助は足を止め、マスクマンの方に振り返る。

「突然何を…」

「お前の戦闘センスには、驚きの連続だった。あんなに熾烈で、楽しい戦いは初めてだったよ。」

マスクマンは目をつむり、腕を組みながら言った。

「だが、それなのにお前のダストメイカーはレベル3に達していない。」

「そうだな。」

マスクマンは間を置いて、

「それは、ダストメイカーをまだ理解していないということだ。」

と断言した。

「なんだと!」

秀助は声を荒げた。レベルが低い、能力がしょぼいなどとは、十兵衛やチンピラから言われてきた。しかし、そんなことを言われたのは生まれて初めてだ。

「いいか、よく聞け。お前は才能がありながら、その才能を開花させていない。才能ってのは人それぞれだ。だが、それを開花させるためには、誰もが自身の才能を理解しなければならない。」

秀助は黙って聞いていた。


「いいかい、しゅう君。お前はレベル3に達するだけの才能がある。そのために、お前は自身と、自身にとってのダストメイカーをもっと理解するんだ。」


「理解だと…」

秀助はその発言に理解できなかった。秀助は母探しのために一人旅を始め、ときには、兆能力を用いた戦闘も経験してきた。そのために、ダストメイカーという兆能力と長年向き合ってきたのだ。それなのにたった今、それをもっと理解しろと言われた。秀助はその発言を受け入れることはできなかった。

「無理に引き留めてすまなかったな。俺からは以上だ。明日の試合も頑張れよ。」

そう言ってマスクマンは去っていた。秀助はしばらく立ち尽くしている。すると、十兵衛たちがやって来た。

「秀助!お前…大やけどを負ったんじゃないのか…?」

雄康が秀助の姿を見て驚きながら聞いた。

「どうやら治癒能力で治療されたらしい。」

「治療した人は誰だった?」

十兵衛が尋ねた。

「それがよく見えなかった…起き上がった頃には、部屋には誰もいなかった。女性ってことだけはわかったんだが…」

「そうか…女性か…」

十兵衛は何か考えていた。

「とりあえず部屋に戻ろう。これからについて話す。」


部屋に5人が部屋に戻ると、既に治療を終えた善俊や、試合終わりの善治が戻ってきていた。

「お前本当にゴミ野郎か?さっきまで焼き焦げていたのに…」

善治は秀助の姿を見て驚いていた。

「そこら辺の話は後でしろ。重要なのはこれからの話だ。」

十兵衛が仕切る。

「まず、今日の試合で勝ったメンバー諸君、勝者の食事会にはこの大会の主催者が参加する。誰が来たのか、どのような会話をしたのかなど、内容をできる限り記憶しておいてくれ。」

「ああ、わかった。」

「それと、明日の試合は無理に勝たなくていい。」

「なぜだ?」

秀助がすぐさま尋ねた。

「見ていただろう?フェルナンド伯爵には誰も勝てない。レベル3だとしてもな。」

「…」

秀助は納得のいかない顔をした。

「いいか。この任務は大会の優勝を目的にしているのではない。SOCIOLOGIへの接近が目的なのだ。今夜の食事会で主催者と接触できれば、大会参加班においては十分な成果だ。」

秀助はそれ以上何も話そうとしなかった。十兵衛は解散、と言い今日の試合に勝利した3人に改めて頼んだぞ、と言いながら部屋を後にした。秀助もすぐに部屋を出てホテルに向かった。

食事会の時間になった。みつね、秀助、善治とフェルナンド伯爵が席に座っていた。そこに会話はない。秀助はフェルナンド伯爵の方をずっと見ていた。しばらくすると、一人のスタッフがやって来た。

「皆さま、お待たせしました。今大会の主催者がいらっしゃいました。」

そう言って部屋の扉を開く。


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