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兆兆発止  作者: ぱんろう
兆能力ファイトクラブ編
30/150

30話:無敵のマスクマン

フェルナンド伯爵と善俊の戦いが終わり、会場は盛り上がっていた。その中で、秀助と無敵のマスクマンの戦いが始まろうとしていた。

(氷使いとの戦いを見る限り、相手の兆能力は炎を操るもの…だが、そんなもん色々あるからな…)

秀助が、マスクマンの兆能力が何かを考えていると、


「はじめ!」


審判が試合開始の合図をした。マスクマンがオーラを出すことなく炎を出現させる。

『マスクマン!早速手から炎を出したぞ!』

『ええ、オーラを出すことなく炎を操れるのは、手練れの証です。』

「無色オーラってやつだな。」

「知っているのか。君はレベル2なのに。」

「無色オーラは兆能力使用を悟られないためにするものじゃないのか?」

「本来はそうだな。だが、手加減をするために使うこともある。」

「なんだと?」

秀助の顔つきが変わった。

「そのままの意味だ。レベル2ごときに本気を出す必要はない。」

「それは戦ってから判断してほしいものだな…」

秀助がダストメイカーを発動し、塵をマスクマンに向けて発射する。マスクマンは炎で塵を焼き払った。

『しゅう君!塵を発射した!しかし、当然ながら燃えてしまう!』

『そりゃそうでしょう。』

(まあ、そうなるわな…それなら、こいつでどうだ?)

秀助は四次元ゴミ箱を出現させ、ガラス片を取り出した。そして、それをマスクマンに向かって発射させる。マスクマンは、それをさっとかわした。マスクマンはお返しにと、炎の弾を手の平で作り出し、秀助に向かって投げつけた。

「『炎玉弾』!」

『マスクマン!炎の弾を作り出したぞ!』

秀助は予想外の攻撃に驚きつつもなんとかかわした。

「あんたの炎、手の平でしか生み出せないようだな。」

秀助は炎の弾をかわした後、マスクマンに向かって言った。マスクマンは手を組み、黙っている。

「兆能力範囲内で自由に炎を出現させる『焔炎領土』ではなさそうだ。もしそうなら、今ごろ何も言わず俺を火だるまにしているだろう。」

部屋では雄康が、マスクマンの兆能力が何かを特定していた。

「…炎を手の平から発生させるのは『パイロキネシス』の特徴だな…炎を扱う兆能力の中でも最高位だ。」

「大丈夫かな…しゅう君。」

善俊のこともあり、皆心配そうに見ていた。特に十兵衛はモニターを食い入るように見ている。

(秀助…)

唯一、モニターを見ていなかったトレイシーが十兵衛に話しかけた。

「ミスター・リード、弱い心拍の人間を見つけたわ。これは善俊君ね。医務室とは違う場所に連れられているみたい。」

十兵衛がトレイシーの方を見た。

「わかった。運営捜査班、行動を開始しよう。」

「え!大丈夫なんですか?私たちは、目をつけられているのでは?」

「ああ、だから変装するんだ。」

「変装?」

「すぐにわかる。行くぞ。トレイシー、案内してくれ。」

そう言って十兵衛は部屋を出た。それにトレイシー、雄康が続き、ため息をつきながら中原も出ていった。


秀助も雄康と同じく、マスクマンの兆能力を特定していた。

「その兆能力…パイロキネシスってところか。」

マスクマンはこれ以上秀助が話すのを止めるためか、再び手の平で炎玉弾を作り出し、投げつけた。秀助は、その技は何度も通用しない、と言いながら楽々とかわす。だが、炎玉弾は軌道を変えて秀助の方に向かってきた。

『炎の弾、しゅう君を追尾する!』

「なぬ!?」

秀助は塵を集めて、炎の弾にぶつける。すると、塵と弾がぶつかりあい、小さな爆発を起こした。

『また爆発だ!恐ろしい!これぞレベル3の恐怖!』

『こんなものではないでしょう。』

「無色オーラでよかったな。」

マスクマンが余裕の表情で秀助を見ていた。

(炎を手の平から放しても、自由自在に操ることができるのか。まあ、何はともあれ。)

秀助は指をくいっとする動作をした。マスクマンは最初その意味が分からなかったが、いずれ理解することになる。ガラス片がマスクマンの体を引き裂いたのである。

「ぐっ!」

「あんた、無意識のうちに動いていたな。俺を追うためか?俺とガラス片の間に立ったことに気がつかなかったようだな。」

秀助はワンウェイ・リユースでガラス片を引き寄せたのだ。次に秀助は、自身の体に触れた。肌の角質を紙屑に変えたのだ。それをマスクマンに向かって発射した。

『しゅう君!ガラス片を引き寄せつつも、肌の角質をゴミに変える!そのままマスクマンめがけて発射だ!』

マスクマンは、それを炎で燃やし尽くそうとする。当然、紙屑は灰になった。しかし、いくつかの不純物が紛れ込んでおり、それがマスクマンに命中した。

『おっとぉ?どうやら、燃えるゴミに燃えないゴミを仕込んでいたようだ!』

『これは素晴らしい応用です。』

「がはっ!」

「何も考えず紙屑を飛ばすわけないだろう?」

秀助は笑いながら言った。

「ははは。君を見くびりすぎたようだ。わかったよ。本気でいこう。」

マスクマンはそう言うと、紫色のオーラを発生させた。そのまま、炎玉弾を作り出す。しかし、先ほどの比ではない、かなり大きい弾だ。マスクマンはそれを秀助に投げつける。

『マスクマン!さっきのよりももっと大きい炎の弾を作り出した!これはどうなるかわかりたくないぞ!』

(まずいな…さっきのようにはいかないぞ。)

秀助は、少しでも相殺するために塵を集める。弾は秀助を追いかけ続ける。かなり近くまで来たところに、秀助は塵をぶつける。しかし、秀助の予想通り、先ほどのような相殺はできなかった。かなり大きい爆発が起きた。

『どぼーん!派手な爆発だぞ!2人はどうなった!?』

「しゅう君!」

部屋のみつねが心配そうに見ている。爆発により発生した煙が立ち込めている。その煙から秀助が出てきた。服がぼろぼろになっているが、致命傷にはならなかったらしい。

「かなり塵を集めたつもりだったが、それでもあれか。」

「当然だろ?レベル3最高火力だ。むしろそれで済んだのが異常だ。」

マスクマンは再び手のから炎を発生させようとする。そのとき、ガラス片がマスクマンの手元をかすめた。マスクマンは炎を発生させるのをやめた。いや、やめざるをえなかった。秀助はワンウェイ・リユースで引き寄せたガラス片を手に持っていたのだ。

「面白くなってきた...!」

秀助はにやりと笑って言った。


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