30話:無敵のマスクマン
フェルナンド伯爵と善俊の戦いが終わり、会場は盛り上がっていた。その中で、秀助と無敵のマスクマンの戦いが始まろうとしていた。
(氷使いとの戦いを見る限り、相手の兆能力は炎を操るもの…だが、そんなもん色々あるからな…)
秀助が、マスクマンの兆能力が何かを考えていると、
「はじめ!」
審判が試合開始の合図をした。マスクマンがオーラを出すことなく炎を出現させる。
『マスクマン!早速手から炎を出したぞ!』
『ええ、オーラを出すことなく炎を操れるのは、手練れの証です。』
「無色オーラってやつだな。」
「知っているのか。君はレベル2なのに。」
「無色オーラは兆能力使用を悟られないためにするものじゃないのか?」
「本来はそうだな。だが、手加減をするために使うこともある。」
「なんだと?」
秀助の顔つきが変わった。
「そのままの意味だ。レベル2ごときに本気を出す必要はない。」
「それは戦ってから判断してほしいものだな…」
秀助がダストメイカーを発動し、塵をマスクマンに向けて発射する。マスクマンは炎で塵を焼き払った。
『しゅう君!塵を発射した!しかし、当然ながら燃えてしまう!』
『そりゃそうでしょう。』
(まあ、そうなるわな…それなら、こいつでどうだ?)
秀助は四次元ゴミ箱を出現させ、ガラス片を取り出した。そして、それをマスクマンに向かって発射させる。マスクマンは、それをさっとかわした。マスクマンはお返しにと、炎の弾を手の平で作り出し、秀助に向かって投げつけた。
「『炎玉弾』!」
『マスクマン!炎の弾を作り出したぞ!』
秀助は予想外の攻撃に驚きつつもなんとかかわした。
「あんたの炎、手の平でしか生み出せないようだな。」
秀助は炎の弾をかわした後、マスクマンに向かって言った。マスクマンは手を組み、黙っている。
「兆能力範囲内で自由に炎を出現させる『焔炎領土』ではなさそうだ。もしそうなら、今ごろ何も言わず俺を火だるまにしているだろう。」
部屋では雄康が、マスクマンの兆能力が何かを特定していた。
「…炎を手の平から発生させるのは『パイロキネシス』の特徴だな…炎を扱う兆能力の中でも最高位だ。」
「大丈夫かな…しゅう君。」
善俊のこともあり、皆心配そうに見ていた。特に十兵衛はモニターを食い入るように見ている。
(秀助…)
唯一、モニターを見ていなかったトレイシーが十兵衛に話しかけた。
「ミスター・リード、弱い心拍の人間を見つけたわ。これは善俊君ね。医務室とは違う場所に連れられているみたい。」
十兵衛がトレイシーの方を見た。
「わかった。運営捜査班、行動を開始しよう。」
「え!大丈夫なんですか?私たちは、目をつけられているのでは?」
「ああ、だから変装するんだ。」
「変装?」
「すぐにわかる。行くぞ。トレイシー、案内してくれ。」
そう言って十兵衛は部屋を出た。それにトレイシー、雄康が続き、ため息をつきながら中原も出ていった。
秀助も雄康と同じく、マスクマンの兆能力を特定していた。
「その兆能力…パイロキネシスってところか。」
マスクマンはこれ以上秀助が話すのを止めるためか、再び手の平で炎玉弾を作り出し、投げつけた。秀助は、その技は何度も通用しない、と言いながら楽々とかわす。だが、炎玉弾は軌道を変えて秀助の方に向かってきた。
『炎の弾、しゅう君を追尾する!』
「なぬ!?」
秀助は塵を集めて、炎の弾にぶつける。すると、塵と弾がぶつかりあい、小さな爆発を起こした。
『また爆発だ!恐ろしい!これぞレベル3の恐怖!』
『こんなものではないでしょう。』
「無色オーラでよかったな。」
マスクマンが余裕の表情で秀助を見ていた。
(炎を手の平から放しても、自由自在に操ることができるのか。まあ、何はともあれ。)
秀助は指をくいっとする動作をした。マスクマンは最初その意味が分からなかったが、いずれ理解することになる。ガラス片がマスクマンの体を引き裂いたのである。
「ぐっ!」
「あんた、無意識のうちに動いていたな。俺を追うためか?俺とガラス片の間に立ったことに気がつかなかったようだな。」
秀助はワンウェイ・リユースでガラス片を引き寄せたのだ。次に秀助は、自身の体に触れた。肌の角質を紙屑に変えたのだ。それをマスクマンに向かって発射した。
『しゅう君!ガラス片を引き寄せつつも、肌の角質をゴミに変える!そのままマスクマンめがけて発射だ!』
マスクマンは、それを炎で燃やし尽くそうとする。当然、紙屑は灰になった。しかし、いくつかの不純物が紛れ込んでおり、それがマスクマンに命中した。
『おっとぉ?どうやら、燃えるゴミに燃えないゴミを仕込んでいたようだ!』
『これは素晴らしい応用です。』
「がはっ!」
「何も考えず紙屑を飛ばすわけないだろう?」
秀助は笑いながら言った。
「ははは。君を見くびりすぎたようだ。わかったよ。本気でいこう。」
マスクマンはそう言うと、紫色のオーラを発生させた。そのまま、炎玉弾を作り出す。しかし、先ほどの比ではない、かなり大きい弾だ。マスクマンはそれを秀助に投げつける。
『マスクマン!さっきのよりももっと大きい炎の弾を作り出した!これはどうなるかわかりたくないぞ!』
(まずいな…さっきのようにはいかないぞ。)
秀助は、少しでも相殺するために塵を集める。弾は秀助を追いかけ続ける。かなり近くまで来たところに、秀助は塵をぶつける。しかし、秀助の予想通り、先ほどのような相殺はできなかった。かなり大きい爆発が起きた。
『どぼーん!派手な爆発だぞ!2人はどうなった!?』
「しゅう君!」
部屋のみつねが心配そうに見ている。爆発により発生した煙が立ち込めている。その煙から秀助が出てきた。服がぼろぼろになっているが、致命傷にはならなかったらしい。
「かなり塵を集めたつもりだったが、それでもあれか。」
「当然だろ?レベル3最高火力だ。むしろそれで済んだのが異常だ。」
マスクマンは再び手のから炎を発生させようとする。そのとき、ガラス片がマスクマンの手元をかすめた。マスクマンは炎を発生させるのをやめた。いや、やめざるをえなかった。秀助はワンウェイ・リユースで引き寄せたガラス片を手に持っていたのだ。
「面白くなってきた...!」
秀助はにやりと笑って言った。




