16話:初任務
はれて首都警察官に就任した秀助たち4人は、任命式といった行事を終えてすぐ、首都警察の本部、その中でも十兵衛がいる首都警総監の部屋に呼び出されていた。
「忙しくさせてすまないな。まあ首都警察ってのはそれほど忙しいんだよ。」
「それでも限度はあるだろ…」
4人は任命式や諸々の手続きなどでへとへとであった。
「まあ聞けって。特に秀助、母に近づく最大のチャンスだぞ。」
それを聞いた瞬間、秀助の目の色が変わった。
「聞かせろ。」
へとへとだったのが嘘のように、十兵衛の話を聞く姿勢になった。
「実はな…来週、9月15日に兆能力ファイトクラブっていう大会が開催される。」
「…聞いたことないぞ…そんな大会…兆能力に関する大会といえば大体スポーツや技術に関するもののはずだ…」
雄康が不思議そうに言った。
「そうだろうな。なんせこの大会は非合法で行われるものだからな。」
「!」
「本来、兆能力を戦闘で使用できるのは一部の人間だけだ。私たちのような警察組織や軍隊などがそうだな。しかし、ときどきいるんだよ。兆能力者同士の戦闘を見たいって奴が。そして、それに応えるかのように戦う奴がな。」
十兵衛は秀助の方を見ながら言った。。
「俺はしたくてやってたわけじゃねぇ。成り行きでそうなるだけだ。」
「おいおい、何もお前さんのことを言ってるわけじゃないよ。」
十兵衛は笑いながら言った。
「それで、その大会ってのがある犯罪組織によって主催されているというわけだ。」
「それは、この前じーさんが言ってた、おふくろと関わりがあるっていう…」
「そうだ。」
「なんていう組織なんですか?」
善俊が問う。十兵衛はそれに答えた。
「SOCIOLOGIだ。」
「SOCIOLOGI?」
「『Special Organization for Counter-Intelligence, Onslaught, Liberty and Offenders over Global and International』、『地球規模及び国際社会中の対諜報、攻撃、自由、犯罪者のための特別組織』だ。」
「初めて聞きました…」
「兆能力を用いた自由な世界を創造する…という名目で世界征服を目論見る国際犯罪組織だ。世界各地の兆能力犯罪のほとんどは奴らが関係している。これらのことは警察関係者や一部の政治家にしか知られていない。大衆に知られると混乱が起きるからな…」
「なぜおふくろはそんな組織と?」
秀助にとって最も重要なことであった。しかし、
「それは私にもわからない。しかし、奴らのことだ。ろくでもないことを考えているに違いない。」
「…そうか。」
十兵衛にもそれはわからないようだった。しかし、一つ言えることがある、と十兵衛は付け加えながら言った。
「その大会に、五味川茉莉も顔を出すそうだ。」
「!!」
「あるつてから聞いたんだ。これは、組織に近づく最大のチャンスであり、秀助、お前にとっては母に会う最大のチャンスだ。そこで、兆能力ファイトクラブ対策チームを結成し、その大会会場に潜入する!」
「大会に参加するってわけか?」
「半分正解だ。16ある参加枠のうち、4枠を確保できた。チームのうち4人は大会に参加し、あとのメンバーは大会運営に関わる人間との接触を図る。それぞれ大会参加班と運営捜査班と名付けよう。」
「4人っていっても、今この場にいるのは5人、ほとんどが参加することになるのでは。」
みつねがそう言った瞬間、十兵衛はにやりと笑った。
「チームメンバーは他にもいるぞ。入ってこい。」
十兵衛がそう言った瞬間、3人の人物が部屋に入室した。そのうち2人は見知った顔であった。中原と善治である。




