146話:いつもの4人
少し遡る。秀助がレベルΖを発動し、初めてスペースデブリを引き寄せていたときであった。中原たちが夜空を見上げている側で、みつねがぼそっと呟いた。
「やっぱり、私もいかなきゃ。」
横にいた雄康も同意した。
「みつね、俺もいく。」
それを聞いたみつねは、しゃがんで手を後ろで組み始めた。
「乗って!」
雄康は困惑した。
「おんぶするってのか?」
「これじゃないと、他の人に止められる!」
「わかったよ…」
雄康は、仕方なくみつねの背に体を預ける。それを見て黙っていない者がいた。
「何してはるの?」
「まさか、戻る気じゃないだろうね。命令違反だよ。」
伊里と七郎次である。
「あー、えーと。」
雄康が返答する前に、伊里が叫んだ。
「なんでそんなに密着してんの!?」
「え?そっち?」
七郎次は困惑する。
「伊里、後でお前とも密着してやる。それも、熱いのをな。」
「雄康君!?君は何を言っているのかな!?」
「いってよし。」
「伊里!?」
みつねは、足にオーラを纏わせる。そのみつねの前に、トレイシーが立ちはだかった。
「!トレイシーさん!」
「あなたたち、どうするのよ?」
「えっと…」
みつねが返答に困っていると、トレイシーが続けた。
「中原には、どう説明するの?」
「…」
「とりあえず、お花を摘みに行ったでいいかしら?」
「!トレイシーさん!」
トレイシーはにやっとしている。
「でも、これだけは約束して。あそこで、何を見ても、動揺せず。走り続けるのよ。」
「はい!ありがとうございます!」
トレイシーはサムズアップをして、兵士を全て倒していた中原たちの方に向かっていく。
「2人もありがとうね!きっと、皆帰ってくるから!」
そして、そのまま発進していった。残された2人は、城の方を見る。
「やれやれ、彼も相当の人気者だね。」
「そうやな。」
(五味川はん、死んだら承知せえへんで。)
トレイシーも城の方を見た。
(絶対に、動揺しちゃダメよ…たとえ、誰か死んでいても…)
そして現在に至る。
「この声は、みっちゃん!」
「しゅう君!とっしー君は、私たちが捕まえたよ!だから、気にせず攻撃して!」
どこからかみつねの声が聞こえる。
「馬鹿野郎!なぜここに来た!」
秀助は怒鳴った。
「お前も操られるぞ!とっしーみたいに!」
今度は雄康の声が聞こえてきた。
「相手はなんていう兆能力だ!」
「!ヤスまでいるのか!なんてこったい!」
「いいから教えろ!」
「ダメだ!説明するには、あまりにも時間が足りない!それよりも、お前らの自殺行為を糾弾した方が有意義な時間の使い方になる!」
善俊が叫んだ。雄康が、善俊の制服を掴んでいたのだ。
「いいじゃないか!そんなことは!せっかく、いつもの4人が揃ったんだ!つまらないことで喧嘩している暇はない!」
「そうだよ!しゅう君!それに、私は今のところなんともないよ!」
「!なんだって!」
秀助はオーベルハウザーの方を見る。オーベルハウザーは辺りを見回していた。
(そうか!目で認識しなければ、どうにもできないのか!)
「みっちゃん!絶対に止まるなよ!絶対にだぞ!」
秀助はみつねに警告する。
「わかってる!どのみち止まれないし!」
それを聞いて、2人が動揺する。
「「え?」」
「ちょっと待って…あそこに誰か倒れてる…!」
そのとき、みつねはあるものを目にした。十兵衛の亡骸である。




