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兆兆発止  作者: ぱんろう
最終決戦編
145/150

145話:悲しき人形

「なんだと!」

秀助はポッケに入れていた手を出す。

「ふふふ。私が、ただやられているだけだと思ったか?君がレベルΖ(ゼータ)を発動したんだ。私も発動しないと、アンフェアだと思わないか?」

秀助は歯をぎしぎしさせる。

(この野郎…!)

それでも、スペースデブリがオーベルハウザーのもとに向かっていた。

「だが、手遅れだ。」

そのとき、オーベルハウザーの前に何者かが立った。怪我を負っていたクリントンである。

「何をやっているんだ!」

「知らねえ!体が勝手に動いたんだ!」

(くそっ!攻撃は止められない!せめて、軌道だけでも!)

スペースデブリは、そのままクリントンの体を貫いた。

「がはっ!」

「お前!」

クリントンは、その場で倒れこんだ。

「ぐほっ…兄ちゃん…あのお嬢ちゃんによろしくな…」

クリントンはそれ以上動かなくなった。秀助は頭を抱える。

「くそおおおおおお!!なんということだ!」

それを見て、オーベルハウザーがほくそ笑んだ。


「これが私のレベルΖ『恣意座視(しいしざ)理念理論(りねんりろん)』!兆能力範囲内のものなら、自由に「意味」を付与することができる!もはや、腕など必要ない!」


秀助は、手を挙げようとするが、誰かに阻まれた。善俊である。

「とっしー!何を!」

「知らない!体が勝手に動くんだ!」

「!まさか!」

秀助はオーベルハウザーの方を見る。

「ふふ、そいつの制服に、『私の命令を聞く服』という「意味」を付与した。それも、意識は保ったままな。せいぜい、殺し合いを楽しむんだな。」

「てめぇ…」

秀助は恨めしそうな顔でオーベルハウザーを見る。

「私を見ている暇があるかな?彼は、兆能力を発動しているが?」

「!何!」

秀助は辺りを見回す。確かに、善俊の姿が見つからない。

「しゅう君!右からだ!かわせ!」

秀助は言われた通りにかわした。すると、顔の右側に、風を切るような感覚を感じた。

(!これがとっしーの新技か!)

オーベルハウザーは、苦しみながらも愉快そうに秀助を見ていた。

「私にレベルΖ(ゼータ)を発動させたのは、後にも先にも、君だけだろう!前言撤回だ!君は、ミスター・リードが命を捨ててまで守る価値がある!だから、こっちも全力でいかせてもらう!」

秀助の周りに城壁の一部や、建物の残骸が集まってくる。

「!」

「そいつらは、私の番犬だよ。『ご主人様に歯向かう敵に、鋭い殺意を持つ』という「意味」を付与した。」

「うわああああ!」

秀助は手を挙げる。スペースデブリが秀助に襲いかかる残骸などを破壊するが、懸念があった。

(とっしーに当たらないか心配だ!おそらく、自身を守ることもせずに、俺に攻撃してくるだろう!)

「しゅう君!僕の心配はしなくてもいい!自分の心配をしろ!君だけが、君だけがあの男を倒すことができるんだ!ミスター・リード首都警総監がいなくなった、今な!」

「!」

秀助は、さらに手を高く挙げた。

「当たってくれるなよ!」

さらに多くのスペースデブリが残骸を破壊していく。しかし、途中で、

「ごほっ!」

という声が聞こえて、秀助は手を下げた。


「気にするなと言っているだろう!甘ちゃんが!手を下げるなあ!」


「!恨むなよ!」

善俊の声を聞いて、秀助は再び手を高く挙げた。すると、無数のスペースデブリが空に見えた。

「そうか!仲間を殺してまで、助かりたいか!はははははは!」

オーベルハウザーは高笑いしている。そのとき、女性の声が聞こえた。聞き慣れた声だ。


「とっしー君は死なないよ!私たちが助けるから!」


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