144話:秀助のレベルΖ
「レベルΖだと…?お前が…?」
オーベルハウザーは少し狼狽していたが、すぐに笑い始めた。
「ははははは!これは最高のジョークだ!きっと、死んだミスター・リードも笑ってくれるだろう!」
秀助は険しい表情で言った。
「だったら、見せてやるよ。」
そのとき、オーベルハウザーの手が吹き飛ばされた。
「!うがああああああああ!」
「これで両腕がやられたな。つまり、お前は戦えなくなった。」
「レベルΖだって…?それは、禁術の中でもトップクラスの技術…壹極畢僉だけでなく、それまで取得したのか!?」
善俊が瞠目している。
(そうだ。とっしー、レベルΖだ。方法は凄く簡単、何も技を出さず、ただオーラを強めるだけだ。それなのに、難しいのはなぜか。それには3つの条件が関係していたんだ。)
秀助は、オーベルハウザーを見下している。
秀助は、レベルΖに必要な3つの条件を見出した。
第一に、オーラの強さ。かなりの大きさが必要だ。そのためにも、Ε技が必要だった。
第二に、オーラの大きさの維持すること。オーラが大きい状態を維持しなければならない。そして、それを可能にするには壹極畢僉ができなければならない。そもそも、これが難しかった。
そして最後に、何もしないこと。相手と対峙しているときに、何もしないというのは攻撃してくれと言うようなものだ。しかし、それをしなければ、レベルΖは発動できない...
(じーさんの無為自然や則天去私というのは、そういう意味だったんだ...これらを達成することによって、ダストメイカーがありのままの力を引き出した!)
オーベルハウザーはなんとか立ち上がっていた。
(3人に感謝しないとな…師匠、善治、そしてじーさん。見ていてくれ!皆のおかげで取得したレベルΖ…こいつで、あの野郎を倒す!)
「がああぅ、がはっ!」
オーベルハウザーは失った手を見て苦しんでいた。その近くに、煙がたっているのが見える。そこには小さい物体が転がっていた。
「まさか!こんなもので、私の腕をおお!」
「よく見てみろ。」
「!」
オーベルハウザーは、言われた通り、その物体をまじましと見る。
「これは!何かの部品!一体、どこからこんなものを!」
「ふっ。」
秀助は空を見上げた。
「まさか…!宇宙から引き寄せたとでも言うのか!これは、人工衛星の部品だとでも!?」
「その通り!これが俺のレベルΖ…『スターダストメイカー』だ!!宇宙塵やスペースデブリを操ることができる!」
秀助は、手を天に掲げる。
「さあ、スターダストメイカーの真髄を見せてやろう!」
その夜、多くの人間が、「流れ星を見た」と発言している。あるいは、動画に収めてSNSに投稿した者もいる。ある場所では、手をつないだ親子がその流れ星に見惚れていた。
「ねえ、お母さん!見てよ!流れ星だ!」
「あら、本当、綺麗ね。」
山奥の勝も、小屋から出て流れ星をじっと見ていた。
「秀助…」
流れ星のようなものは、仲間たちも目撃した。
「なんだ?あれは。」
「綺麗やなあ。」
「それにしても、近づいてきてないかな?きてるよね?」
七郎次の言う通り、それは近づいてきている。
「見ろよ。綺麗だよな。あれが、お前の体を貫くんだぜ。」
秀助は手をズボンのポッケに入れながら、オーベルハウザーに言った。まもなく、流れ星のような物体―つまりそれは、スペースデブリであった―がオーベルハウザーの体を貫いた。その速度は、目視できるものではない。突然かのように、オーベルハウザーの体に穴を開けていった。
「ぎゃあああああああああ!」
オーベルハウザーは、声にもならない悲鳴をあげながら、その場をのたうち回っていた。
「最後の仕上げだ。人を不快にするその口に、詰め物をしてやるよ。」
秀助は再び手を挙げた。オーベルハウザーは、苦しみながら、叫んだ。
「お前にはわからんか!この世界のおかしさが!兆能力を使うなというのは、翼がある鳥に飛ぶなと言っているようなものだ!!」
「今みたいな争いが増えるぐらいなら、鳥かごの中にいる方がよっぽど心地よいさ。」
秀助は笑いながら言った。
「このわからずやがああああああ!!」
オーベルハウザーは天にも届くような大声で言った。
「レベルΖ!」




